精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.411  (第6回:2011/9/24)

E-No.411

本名:デザートローズ
通称:デジー
一言メッセージ
 レポートを書く手を止めて、デジーは溜め息を吐いた。
 頭上は抜けるような空、今日もピクニック日和である。キシカタは相変わらず、丘の中腹に生えた大樹の下で寝転がっている。彼には今日も小鳥がたかっており、ぴいぴいちいちいと賑やかにさえずっていた。
 何でこんなに小動物に好かれるんだろうと疑問に思いつつ、デジーは手元のレポートに目を落とした。昨日の分がまだ半分も終わっていない。
 くすんだ金髪を引っ掻き回しながら、デジーは昨晩の事を思い出していた。

 昨日の晩、結社から支給されていた携帯電話に着信があった。例に漏れず野宿していたデジーは仰天して飛び起きた。こちらでは使えないものと思い込んでいたからだが、それが魔法による着信と気づいてからは憂鬱になった。掛けてくる相手は決まりきっているからだ。

「……もしもし」
『もしもしデジー、元気?』

 聞こえて来たのは予想通り、頭が痛くなる程明るい声だった。
 げんなりしながらデジーは答えた。

「……ええ、何とかやってますよ、ブルー」
『そう言う割には元気のない声ね。まぁ、良いわ。いつもの事だし』

 そんな風に締めくくってから、ブルーは軽く笑った。
 デジーを含む「号持ち」は結社の人員の三分の一を占めるが、その中にも階級が存在する。
 大半の号持ちが所属する「標準」、数人の標準を束ねる中間管理職「上級」、そして結社の長と幹部が所属する「最上級」おの三段階となっており、ブルーは「上級」の人間だった。デジーを直接管理する上司であり、そして彼が手に入れられなかった「青薔薇」の名を受けた少女だ。17歳ながら飛び級でさっさと大学を卒業している「天才」で、現在はもっぱら研究に時間を費やしている。
 ちなみに号持ちの号は、位が上がるほど長い。標準クラスですら縮めた愛称で呼ぶぐらいだから、上級以上の号は推して知るべしだ。ブルーが「ブルー」としか名乗らないのも、本来の号が長過ぎて面倒だからである。

「……ええと、それで、どうしたんです?」

 デジーが彼女を促すと、ブルーは『あ、忘れてた』などと言ってこう続けた。

『調査ははかどっているようね、デジー。そちらの世界の「精霊術」という概念、とても面白いわ。あなたも楽しんでいるのではなくて?』
「……まぁ、面白くないと言ったら、嘘になりますけど……」
『それなら丁度いいわ』
「え?」
『最上級からの通達よ、デジー。そちらでの調査期間の延長が決まったわ』

 その時デジーは一瞬、何を言われたのか分からなかった。何度か目を瞬かせてから、恐る恐る聞き返した。

「……本当ですか?」
『どうして私が嘘つかなきゃならないのよ? 現時点では、延長期間は五日を予定しているわ。あなたは、そちらに行って何日目だったかしら?』
「六日目です」
『それじゃああと九日ね。場合によってはもっと伸びるかもしれないけれど……ま、色々遊んでらっしゃい。そっちにはあのバカも居ないんだし』

 そこまで言ってから、不意に『ああっ!』とブルーが大声を上げた(耳がキンキンした)。

「こ、今度は何です?」
『デジー、まさかとは思うけれど、そっちにアイアンローズ行ってないわよね?』
「ア、アイリーですか?」

 出くわす度に散々自分をいじりいじめ倒して遊んでいく同僚を思い出し、デジーは身震いした。
 あんなのがこちらに来たら何をされるか分からない。いや、あの変態の事だからキシカタにも何かしでかすかもしれない。それだけは避けたい、お互いの為にも。

「い、いえ、見ていません」
『そう? ……それじゃ、そっちには行ってないのかしら。行ったら絶対あなたをいじりに行くものね、あの変態』

 ブルーの言葉は辛辣だ。
 以前「ちょっと血液分けてもらえません?」とか何とか言われて以来、彼女も部下の一人である彼を毛嫌いしている(一応ブルーも『花も恥じらう乙女』ではあるらしい)。

『あいつ、また黙ってゲート使ったみたいなの。どこにもいなくて……まぁ、いいわ。あいつはこっちで探すから。それじゃあね』

 ぷつん、とそこで通話は途絶えた。デジーは唖然としたが、いつもの事だと諦めて携帯電話を閉じた。置いて行かれるような気分になるのは、彼女との会話では珍しい事ではなかったからだ。
 結局その後は上手く眠れず、翌朝、むくりとキシカタが起きだしているのに気がついて慌てて飛び起きたと言う有様だった。

 それで今、こうして空を見上げている。
 調査期間が延長になった。元の世界への期間が延びて不安には思う一方、何となく嬉しいと思っている自分がいる。
 デジーはペンを止めたまま、横たわるキシカタに目をやった。
 今日でまだ六日目の付き合いでしかないが、彼の事は妙に気になる。自分の心配がお門違いであるということは分かっているが、それでも彼が心配になる。余りにも、あらゆるものから遠ざかっているように見えるから。
 だが、どうして自分はこんなに心配なのだろう。彼とは出会ってたったの六日目であり、そう遠くないうちに別れる予定の相手である。これまでも一人で旅をして(放浪して?)いたのだから、デジーと離れたあとも何とかしていくだろう。それなのに、何故だろうか。
 いつもの、場違いな感情移入か。お節介か。それとも一風変わった存在に対する好奇心か。どれも当てはまりそうで、どれも違う気がする。今の自分の感情がデジーには分からない。
 分かるのは、彼と過ごす時間が少しだけ延びた。それだけだ。

 デジーはもう一度溜息を吐いた。キシカタはまだ寝転んだままぼうっとしている。
 髪の毛を引っ張っている小鳥に苦笑いしながら、デジーはレポートの続きをひねり出すべく、紙面に意識を集中させたのだった。

お知らせ

登録状況
【クエスト】 継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録
【イベント】 コロシアム
精霊術の習得
治癒:清浄 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 治癒 のLvが上昇! [2→3]
アイテムの購入
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
必中 Lv1 を獲得!
装備品の強化
強化によって 防具 のLvが上昇! [3→4] [-400SP]
防御 が上昇! [30→40]
霊玉の装備
【主力:スロット2】 腐食 Lv1 を装備!
メッセージ送信
サンタ [342]1件 のメッセージを送信!
キシカタ [380]1件 のメッセージを送信!

イベント(精霊武術会【秩序杯】)

イベント名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]
精霊兵『朱雀』
 [NPC]
精霊兵『白虎』
 [NPC]

イベント(精霊コロシアム)

イベント名
対戦相手さや
 [E-No.420] (1試合目)
カルア
 [E-No.249] (2試合目)
ララ
 [E-No.181] (3試合目)
異界の魔王ヴィー君
 [E-No.250] (4試合目)
ライト
 [E-No.452] (5試合目)

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢25歳身長182cm体重70kg
異世界の魔術結社に所属している魔法使いの男。
こちらの世界を観察し、レポートするよう結社に命じられたため
びくびくしながらやってきた。
気が弱く根暗。いつもおどおどして何かにびくついている。

水を介して植物を操る魔法を得意とする。
ただし、操った植物は魔法を解くとその場で枯れてしまうのが欠点。
元々生えていた植物を使うと土地に与えるダメージが大きいため、
常に複数の植物の種を持ち歩いている。

気を抜くと、たまに頭のてっぺんからお花が生えている。

アイコン一覧

12345678

ステータス

HP潜在PSPGP
100006001,700
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
Lv0Lv0Lv3Lv4Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
7治癒回復--30----水界:睡蓮
10治癒清浄10101010×
11結界障壁結界------30緑界:葛藤
12結界反射結界30------黄界:向日葵
39結界保護結界----30--紅界:薔薇
124結界庇護------30×

装備品

主力: 片手LvCP攻撃防御精度総SP
砂薔薇の短剣
柄に薔薇が彫り込まれた質素な短剣。元々は儀礼用だった。
2101010300
スロット1フェイント Lv1
スロット2腐食 Lv1
スロット3
補助: 盾LvCP攻撃防御精度総SP
虚ろな四分の一
薄いあかがね色の金属を伸ばして作った盾。叩くとちょっと間が抜けた音がする。
310300600
スロット1
スロット2
スロット3
防具: 中鎧LvCP攻撃防御精度総SP
北海の護衣
いつも着ている黒いコート。持ち主の魔力を高める力を持つ術具。
4204001000
スロット1飛行 Lv1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1001105555141100
補助00128100

所持アイテム (4/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉主1フェイント Lv1 (武器)100
2霊玉主2腐食 Lv1 (武器)100
3霊玉防1飛行 Lv1 (防具)100
4霊玉必中 Lv1 (武器)100
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