精霊伝説
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E-No.301

本名:ヴァーサ・ライン
通称:らいん
一言メッセージ

+唐突に十幾年前+

何も知らぬというのはいい気なものだ。
強固に作られた船底をいいことに、馬鹿騒ぎをしているのが海底に居ても尚聞こえてくるようだ。
それが真っ当な手段で真っ当な人たちが騒いでいるというなら、水を差す必要はない。
けれどもそれが――略奪を是とし生業としている者達の船であることが分かっているのなら話は全くの別物だ。

船の数、その大きさ、外観。
そのどれもが予備情報として聞いていたものと一致する。標的であることは間違いなさそうだ。

ぼちゃん、と少し大きな音がした。
船底から視線を外してそちらに目を遣ると――まあ、見事に、捨てられていた。
酒樽だったと思わしき空の樽、肉のまだ残っている骨、果実くず。

そして、決して多くはなかったけれど。無念の表情を貼り付けたまま――――

かあっと血が沸騰するのを感じた。
生粋の魔性であったなら、捨てられたそれに喰いついこそすれ怒りはしなかったろう。
それはある意味では飼い慣らされてしまっていることの証左ではあったのかもしれない。

けれど、今の俺が"魔性"に戻るには十分過ぎるものだった。
命令は履行しなくてはならない。
少し手荒にはなるだろうが、それくらいならまあ‥上も許してくれるだろう。

今となっては俺たちは暴れなくなって久しい。
その原因は、気性の荒い奴が早死して子孫を残さなくなったからだとか、銃器の標準装備化が進むに連れてだとか色々と言われている。
だから殆ど、陸で今現在もその威を知るものはないけれど‥かつては海神の名を冠されたこともあった。

船を沈めやすい巨躯を有する海竜種は多い。
俺と縁がある者だけでも2桁には至るだろう。

それを差し置いて呼ばれた由は、ひとえに‥海上でも維持できる、機動性にある。

水を掻いて加速し、そのまま速度をつけて海面から俺は躍り出た。
優雅に昼餉を楽しんでいる賊たちが揃ってこちらに目を遣っていた。

何も知らぬ、というのはいい気なものだな?
俺は先ほどまで鰭だった腕を今度は翼として舞い上がる。
眼下で暫時硬直していた賊たちは俄かに我に返ってどよめき始めたけれど、もう遅い。

船は大小含めて五隻。
俺の仕事は、まずはその中でも大きいほうから動力を奪うこと‥帆を砕くことだ。
五隻の中心にあるこの船だけは3本のマストを持っているが、他の船は1本のみだ。

俺の頭には強靭な角が生えている。
錬鉄の一撃にも堪えうるそれは‥もちろん、速度を載せてしまえばかなりの貫通力を有する。
‥まあ、あまりに直線的であるからして通常戦闘ではとても使えたものではないのだが。
虚を衝いた時の効果は‥やはり、大きかった。

あまりに抵抗が微かなものであったから少し不安ではあったのだが、マストはそのどれもがきっちり大破していた。
もう思うようには動けまい。
翼を傾け大きく旋回しながら俺は海面に飛び込み、再び加速して飛び上がって別の船を襲う。

――ある程度帆を奪ってからは海底に再潜伏して、彼らの視線を海面に釘付けにしておけという話だったな。
実際、海から船を襲う存在というものは自由に泳ぐ術を持たぬ者達にとってはかなりの恐怖となるらしい。
逃げ場がない形となるのだから、当然といえば当然なのだが。

窮地に陥ると飛び込む奴も出て来たりはするが、まだ二隻が無事に残っているし脱落者は出てこない。
‥万一逃れようとしてきた輩は示威も兼ねて喰いつかねばならないが、幸い今回は船を捨てて逃げようとする者はなかった。
健気にも返り討つ気でいるらしい。仲良く銃を構えて海底を警戒している。
何も知らぬ、というのはいい気なものだ。

岩礁の裏に伏せてあった味方から、催涙弾が遍く彼らの船に投げ込まれるまでそう時間は要さなかった。
雌雄は決したに近い。
あとは晴れるタイミングを見計らって彼らと合流して船上に上がり。
獣にも劣る所業を態々見せてくれた賊らに、魔性宜しく暴れて牙を奪うだけだった。



「うん、任務完遂ご苦労さま」
「はっ」

敬礼をしようとしたけれど、それは差し出された紅茶に依って遮られた。
背後の扉は既に閉ざされている辺り‥上官、部下の立場外での会話をということなのだろう。

はじめはいくらか戸惑ったものだが、人となりに触れるにつれてもう慣れた。俺も完全な化身は少し疲れる。
促されるがままに、来客用に誂えられている椅子に半身を預けつつ亜人態にまで化身を緩める。

男性にしては珍しい、緩い弧を描いた綺麗な金髪を燦然と揺らしながら上司は――リヒト大尉は俺の前に腰を下ろした。
片手には俺に出してきたものと同じ器を握り、もう片方には沢山の資料を抱えながら。

勧められるが侭に、俺は先に一口紅茶を含む。
鮮烈な香りは少し俺の鼻には効きすぎるけれど‥それを求めることができる人間はこの香りがたまらないのだという。
旨いとは言えないけれど、癖になるのはなんだか少しわかる気がする。

表情こそ緩んではいるけれど、資料はめまぐるしい勢いで捲られていく。
見てのとおり忙しいのだろう。
尚更その才を買われ、若くして総参謀から声が掛かるともなると激務にならない方がおかしくはある。
実際、今回の任務だって凶悪無比な賊のものだったとはいえかなりの辺境に赴かされた。
渡された作戦案は実に簡素極まりないもので、成功するかどうか蓋を開けるまで不安だったけれど――
素人を盤面で嘲笑うように見事に賊の挙動を読んでみせた。

敏腕故にか、よくない噂も耳にしないでもない。
しないでもないが、個人的にはないと思っている。
‥‥既に語るに落ちているというか、いいように騙されているのかも、という気もしないでは、ないけれど。

「賊は、酷かったろう?」
「‥賊だからな。酷いのは大凡いつものことだが‥まあ、増して酷くはあったな」

制圧してわかったことではあったけれど‥あの賊は人身売買にも参じているようだった。
大尉からの支持書には船底を穿たないこと、火矢を用いないこと、踏み込んでから制圧まで迅速に済ませることと記してはあった。
算のうちであったことはまあ間違いない。

然し、辺境とはいえ彼処まで腐敗は進んでいるものなのか。

「僕としては、もう暫く力を貸して欲しいんだけどね?」
「結婚したから退役云々の話か?暫くはまだ軍に身を置くことにす‥。‥」

なんとなく、何故今回あんな討伐戦に出向かされたのかが、今腑に落ちた。
‥掌の上からは逃れられないか。
まあ、そうは言っても義憤は義憤であるが故にそうそう引っ込むものではない。

「‥まったく、人が悪いな?」
「君の事だから、頼めば頷いてくれるかなーとは思っていたんだけどね?"暫くは"まだ、これからも頼むよ」

にやりと口角を歪めた笑みは、ちょっとだけ牙を立てたくなるようなものだった。

お知らせ

登録状況
【クエスト】 継続登録、メッセージ登録
精霊術の習得
放出:地撃波 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 放出 のLvが上昇! [8→9]
アイテムの購入
抽選に外れたため 水の加護 Lv1 を購入できなかった……
抽選に外れたため 硬質化 Lv1 を購入できなかった……
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
→ [+1] … 失敗 [2%]
火の支配者 Lv1 を獲得!
装備品の強化
強化によって 防具 のLvが上昇! [2→3] [-300SP]
攻撃 が上昇! [20→30]
霊玉の装備
【防具:スロット2】 猛毒耐性 Lv1 を装備!
【防具:スロット3】 鉄壁 Lv1 を装備!
メッセージ送信
フリッツ [118]1件 のメッセージを送信!

トレード

瑞希 [90]
水の支配者 Lv1 を受け取りました!

瑞希「はい、これ欲しいって言ってたよね?よかったら使って!」

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーミルザム
 [E-No.35]
瑞希
 [E-No.90]
フリッツ
 [E-No.118]
らいん
 [E-No.301]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢118歳身長216cm体重???kg
そこそこルーツの旧い海竜種。

海草やおさかなを食んで暮らしていたらうっかり船に体当たりして沈めてしまい、討伐指定された少し間の抜けた親を持つ。
きょどって為されるが侭の親に代わって助命を請いながら大暴れした。

結果的に話が通じることを買われて海軍に従属するのを条件に討伐隊のトップに助命を受け入れられる。
人に近い姿が帯びられるようになったり、死に掛けたり。
潤沢な経験とともに紆余曲折を経て正式に入軍することとなり、説得役になったり前線を張ったり奮戦した。

数十年来、軍に勤め倒していたものの実子が入軍したのを機に退役。
実の親を養いがてらちょっとした宿を営んでいたが、
経営は実家の近辺で営み始めた(結構な辺境)こともあり、閑古鳥ですら鳴きを潜めるほどで。
食料確保には困らないものの、軍勤めだった頃と比べて退屈に過ぎて引っ越そうか割と真剣に悩んでいた。

今でも軍で懇意にしたひととは文通、または直接顔を合わせるなりでそれなりに関係性は維持しており、
そんな旧知から時折訓練を一通り済ませて増長気味になっている若手を被害者面して出迎え、
送り出してはその船を沈めてくいころす‥手前までやってから送り返す、ということをほぼ副業としてやっていた。
その途で受けた傷で声が出ない。
とはいっても、軍での訓練により自由に使役出来るようになった魔力で補助できているので疎通に不便はない。

小額ながらもそれで貰える手間賃というか。
お小遣いというか。
お情け賃というかが主収入になってしまっていた。

これはあんまりではないかと、一念発起。

副業で貰えるおかねと、副々業として魚を売ったり握ったりして引っ越すだけのお金をこつこつ貯め、めでたく都会に新しく家を建て直し引越した。
都会に転じてからしばらくは平穏かつ賑やかな生活を暫くしていたのだが、ふとあるとき"精霊協会"の話を耳に挟む。

冒険。

任務も義務も規律もない日常。
そんなフレーズに見事に魅了されてしまい、少し仕事が鈍ったところをこれまた見事に親に看破される。
はじめは誤魔化していたものの、親の目は欺けなかったらしく。
宿を夫婦と奥さんが手を取り合ってハッスルきりもりしはじめて。
"精霊協会"受験をみな揃ってプッシュしはじめて。

親には、これまで散々世話になってきたんだから、少しくらいお前の好きにやってくれないかと言われ。
妻には、私が大暴れしていいですよ、ってあの頃あなたに命じたときと同じ顔をしていると妙なことを言われ。

ちょっとくらい自分の時間を持ってもいいじゃないかと退路を遮断されつつ諭され――
その競争倍率などは小耳に挟んでいたし、根っからの武闘派の俺なんかじゃあとても受かるはずも無いよなあと思いつつも、半信半疑ではじめての"受験勉強"をはじめて――――



気が付いたら、受かってた。



<‥‥あれ?>



幾重の試験を勝ち抜いたという感覚は、今も薄い。
故にか未だ、協会員の一に加わったという自覚は薄いようだ。

アイコン一覧

12

ステータス

HPMP増加量スタミナ潜在PSPGP
1050112209002,500
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
Lv0Lv9Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
4放出魔力の槍----30--水竜式氷柱術
5放出魔力の刃30------××
6放出魔力の矢--30----×氷雨
37放出魔力の槌------30××かみくだく
134放出地撃波------45××
51放出火炎30------
52放出水冷--30----
181放出狙撃10101010×

装備品

主力: 遠隔LvCP攻撃防御精度総SP
竜珠
形態変化や魔力行使の補助媒介。精霊武具の他に、恩師から貰った物と自前の物がある。
4240001000
スロット1アイテム精製の極意 Lv1
スロット2
スロット3
補助: 腕甲LvCP攻撃防御精度総SP
ふるびた包帯
古傷を被覆して隠すための包帯。主に喉用であるが、それが故に時々大変なことになる。
4240001000
スロット1
スロット2
スロット3
防具: 重鎧LvCP攻撃防御精度総SP
飛竜用の皮鞍
空を駆ける竜種用に誂えられた鞍。あらゆる天候、速度に対応しているらしい頑強な品。
313000600
スロット1土重耐性 Lv1
スロット2猛毒耐性 Lv1
スロット3鉄壁 Lv1
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力146125252511090
補助0000

所持アイテム (6/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉主1アイテム精製の極意 Lv1100
2霊玉防1土重耐性 Lv1 (防具)100
3霊玉防2猛毒耐性 Lv1 (防具)100
4霊玉防3鉄壁 Lv1 (防具)100
5霊玉火の支配者 Lv1100
6霊玉水の支配者 Lv1100
トップページ冒険結果一覧 > E-No.301  (第8回:2011/10/8)