精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.411  (第8回:2011/10/8)

E-No.411

本名:デザートローズ
通称:デジー
一言メッセージ
 この世界に来て、増えたものが幾つかある。
 精霊協会がある街の地図、馴染みの食料品店が数カ所、そして三冊の本。

 ここを取り巻く情勢やこちらの世界の仕組みについて、デジーは精霊協会での訓練時や買い出しの際に情報収集をしていた。それらは帰還後の報告のために逐一メモを取り、手帳に貼り付けている。
 が、それ以外の時間は基本的に何をしても良い。だから大半の時間を、デジーはキシカタの近くで過ごしていた。
 キシカタは大抵、独り言を言いながら彷徨っているか、人気のない場所で寝転んでいる。その時の彼は本当に動かないので(眠ってはいないが色々不安になるぐらい動かない)デジーは隣で数時間ぼんやりして過ごすことがよくあった。
 その間に調べた情報をまとめたり、レポートを書いたり、自分の術の訓練をしたりしているが、どれも一段落がついてやる事がなくなってしまった時は、本を読む事にしている。
 ここの探索はかなり急な話だったから、デジーは暇潰しに使えそうな物を何も持って来なかった。
 だからデジーはこの街で本を調達し、それを読んでいた。あまり荷物を増やす訳にも行かないから一冊の本を大事に読んだが、それでも別の物が読みたくてたまらなくなる時があって、既に三冊目に突入している。

 そして、今日も本を読もうとしていた。
 今日のキシカタは、通りと通りの隙間にひっそりと残った広場に寝転んでいた。デジーはその隣で昼食をとり、レポートのまとめを終わらせ、明日以降の術の準備をしていたが、どれもすぐに一段落ついてしまって、またやる事がなくなってしまった。しようがないので本を取り出し、ページを開く。が。

(うーん、何だろう……)

 今日は何故か、頭に文字が入ってこない。集中できず無駄にページを捲ってしまうが、内容はちっとも頭に入ってこない。

(……やめよう)

 溜息を吐いてデジーは本を閉じた。こういう時もある。
 疲れてるのかなぁなどとぼやきながら伸びをしていると、ふと、花の香が漂って来た。顔を上げる。キシカタはちゃんとそこに寝転んでいる。花の香も彼からしてくる。今日はまた毛色が違う香りで、どこか涼やかというか、爽やかな気配の香りである。
 ……昨日、キシカタの周りを行ったり来たりしながら香りの元を探っていたら、いつの間にか周囲の人間の視線が痛くなっており、キシカタ自身にもちらりと視線を向けられてしまうという有様に陥ったので、意を決して香りの元を聞いてみた。
 普段のつぶやきを止め、しばらく無言になった後、意外とあっさりキシカタは答えてくれた。

「……なんか、知らネエけど、……、香りがする」
「し、知らないんですかっ?」

 かくんと頷かれてはどうしようもない。結局この話題はそこで終わったのだが、奇妙な事に、この香りは変化する。時間、場所、ひょっとしたらキシカタの状態も影響するのかもしれないが、本人が分からないものをデジーが分かるはずもない。
 ただ、花の香りはデジーにとって決して不快な事象ではないので、それからはあまり気にしないようにした。寧ろ最近は香りがするとほっとしさえする。キシカタが居るのが分かるからだ。
 先日も感じたが、ごく稀に、彼の気配が恐ろしく薄くなる。直視しているのにも関わらず、認識が出来ない。いきなりキシカタ限定で自分の目が見えなくなったように感じる。目を擦って見直して、彼がそこに居るのを確認して息をつく。
 今のところは、その兆候はない。

(……本当、何なんだろうなぁこの人)

 寝転んでいるキシカタに視線を向けて、考える。

(よくよく思えば、色々不思議な人ではあるけど……どんなに気配を消すのが上手い人でも、あそこまで消えられないよなぁ。まるで、……そのまま居なくなっちゃいそうな感じに、までは)

 先日感じた怖気を思い出して、ぶるりとデジーは身震いした。あの感覚はあまりにも居心地が悪すぎるので、出来るならもう御免被りたい。

(まさか、存在のあり方自体がオレと違うとか、そういうんじゃ、ないよな)

 もしもそうであったら最早、デジーの手に負える領域ではない。

(……もしそうだったら、オレ、)

 どうしたら良いんだろう、とまで考えた所で、デジーはそんな風に考えた自分に驚いた。
 そもそも自分はどうする気なのだ。滞在が延びたとはいえ、ここに居るのは現時点であと一週間足らずである。最終的にデジーは元の世界に帰らなければならない。キシカタがこの後どうするかは分からないが、別れる可能性が高いだろう。今、突然目の前で消えられたとしても、それは単に別れが早まっただけの事である。それなのに自分は、何を不安に思っているのか。
 ふう、と溜息を吐く。空を見上げる。今日は良く晴れている。周囲の建物の屋根で区切られた空は、小さく切り抜いた青いガラス板のようだ。まるで箱庭の中に居るようで面白い。
 そう思った時デジーは、酷く充足している自分に気がついた。

(そうか、オレ、楽しんでるんだ)

 今更のように思い至る。こちらに来てから色々な事があったせいで、ちっとも気がついていなかった。
 キシカタとの、針の穴に糸を通すような意思疎通も、彼に付き合ってあちらこちら彷徨って歩くのも、寝転んだ彼の側で長い間ぼんやりするのも、戸惑いながらもデジーの本心は楽しんでいる。嫌であればいかに気弱なデジーとはいえ、ここまで彼との付き合いが続くこともなかっただろう。
 それもこれも突き詰めれば、結局、デジーはキシカタを気に入っているという点に尽きる。
 色々な事象の捉え方がデジーとは違うし、そもそも狂ってしまっている節が幾つも見受けられるがそれでも、デジーは既に彼を友人として認識している。一緒に同じ花を愛でることができる相手は、デジーにとっては友人と同意義だった。
 そんな友人をないがしろには出来ない。友人がいきなり居なくなってしまったら寂しいし悲しい。
 だからキシカタの気配が薄くなると不安になるのだ。友人を不意に失いそうで怖くなるから。

(……できるなら)

 視線を下ろし、抱えた膝に顔を埋める。

(できるなら、お別れはちゃんとしたいよなぁ。見送りは無理でも挨拶ぐらいはしたい。予告無しで居なくなられるとか寂しすぎるし……まぁ、キシカタさんの方はどうか、分からないんだけど)

 キシカタの気配がちゃんとそこに在る事を確認して、目を閉じる。
 花の香りは、まだ漂っている。

お知らせ

登録状況
【クエスト】 継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録
【イベント】 ペアマッチ
精霊術の習得
結界:多重障壁 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 結界 のLvが上昇! [5→6]
アイテムの購入
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
防御力アップ Lv1 を購入! [-400GP]
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
結界斬 Lv1 を獲得!
装備品の強化
強化によって 主力 のLvが上昇! [3→4] [-400SP]
攻撃 が上昇! [5→10]
防御 が上昇! [15→20]
強化によって 補助 のLvが上昇! [3→4] [-400SP]
防御 が上昇! [30→40]
霊玉の装備
【防具:スロット2】 精度アップ Lv1 を装備!
メッセージ送信
サンタ [342]1件 のメッセージを送信!
キシカタ [380]1件 のメッセージを送信!

イベント(精霊武術会【混沌杯】)

イベント名
パーティ名
メンバーベルテ
 [E-No.6]
ローラ
 [E-No.42]
テオ
 [E-No.178]
デジー
 [E-No.411]

イベント(ペアマッチ)

イベント名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢25歳身長182cm体重70kg
異世界の魔術結社に所属している魔法使いの男。
こちらの世界を観察し、レポートするよう結社に命じられたため
びくびくしながらやってきた。
気が弱く根暗。いつもおどおどして何かにびくついている。

水を介して植物を操る魔法を得意とする。
ただし、操った植物は魔法を解くとその場で枯れてしまうのが欠点。
元々生えていた植物を使うと土地に与えるダメージが大きいため、
常に複数の植物の種を持ち歩いている。

気を抜くと、たまに頭のてっぺんからお花が生えている。

アイコン一覧

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ステータス

HPMP増加量スタミナ潜在PSPGP
1050112205001,900
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
Lv0Lv0Lv3Lv6Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
7治癒回復--30----水界:睡蓮
10治癒清浄10101010×
11結界障壁結界------30緑界:葛藤
161結界多重障壁------30
12結界反射結界30------黄界:向日葵
39結界保護結界----30--紅界:薔薇
56結界防護結界------30
124結界庇護------30×

装備品

主力: 片手LvCP攻撃防御精度総SP
砂薔薇の短剣
柄に薔薇が彫り込まれた質素な短剣。元々は儀礼用だった。
421020101000
スロット1フェイント Lv1
スロット2腐食 Lv1
スロット3必中 Lv1
補助: 盾LvCP攻撃防御精度総SP
虚ろな四分の一
薄いあかがね色の金属を伸ばして作った盾。叩くとちょっと間が抜けた音がする。
4204001000
スロット1
スロット2
スロット3
防具: 中鎧LvCP攻撃防御精度総SP
北海の護衣
いつも着ている黒いコート。持ち主の魔力を高める力を持つ術具。
4204001000
スロット1飛行 Lv1
スロット2精度アップ Lv1
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1101106055145100
補助00136100

所持アイテム (7/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉主1フェイント Lv1 (武器)100
2霊玉主2腐食 Lv1 (武器)100
3霊玉主3必中 Lv1 (武器)100
4霊玉防1飛行 Lv1 (防具)100
5霊玉防2精度アップ Lv1100
6霊玉結界斬 Lv1 (武器)100
7霊玉防御力アップ Lv1 (防具)100
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