精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.411  (第13回:2011/11/12)

E-No.411

本名:デザートローズ
通称:デジー
一言メッセージ
「え、伸びるんですか?」

 意図せず跳ね上がったデジーの声に、携帯電話の向こうでブルーが苦笑するのが分かった。

『あら、随分嬉しそうじゃない?』
「いやその、嬉しくないと言ったら、嘘になりますけれど……」

 久方ぶりにブルーから掛かって来た電話は、デジーの滞在がもう五日伸びる、という知らせだった。これで合計の滞在日数は二十日になり、当初の予定より十日伸びた事になる。
 それはつまり、キシカタと過ごす時間がそれだけ伸びた、という事だ(それより先に、何らかの理由で彼が居なくなってしまわなければだが)。嬉しいというより、ほっとしたという印象が強い。

『ひょっとして、そっちで誰か「いいひと」でも出来たのかしら?』
「ええと、ブルー、それは地味に心に刺さります……」

 片手で数えても指が余る程度にしか恋愛経験のないデジーにとっては、かなり辛辣な台詞であった。ブルーは「あら、ごめんなさい」とだけ言ったが、すぐに笑い出す。

『まぁ、楽しんでもらえるのは嬉しいわ。私はあまり他の世界の探索に行けないから、あなたが少し羨ましい』
「…………」

 「上級」の号持ちである彼女は言うなれば「中間管理職」である。
 異世界の調査は号を持っていない普通の構成員か、号持ちでも最下層の「標準」に位置する人間が飛ばされる事が多い。「上級」は結社内で複数の業務を掛け持つ事が多いため、彼らを調査に向かわせる事は滅多にない。
 結社に入って一年足らずで「上級」の号持ちになってしまったブルーは、恐らく一、二回程度しか異世界の調査に行った事がないだろう。

『それじゃ、通話代も馬鹿にならないからそろそろ切るわね。報告、楽しみにしてるから』
「あ、ブルー、待って下さい!」

 切ろうとした彼女に、思わずデジーはそう呼びかけてしまっていた。声に出してから「しまった」と思うがもう遅い。彼女に聞いてどうする、という気持ちも湧いたが、既に出した声は取り消せない。

『何よ、あなたから呼び止めるなんて珍しいわね』
「いえ、その……聞いてみたい事が、ありまして」
『私に?』

 こうなった以上、ごまかせる程デジーは器用ではない。腹をくくって話してしまう事にした。

「……強くなりたいんですが、どうすれば、いいんでしょうか」
『…………』

 無言。
 デジーも何も言えず、しばらく気まずい沈黙が続いた。
 やがて、携帯の向こうからブルーの溜息が聞こえた。

『……それは、どういう意味かしら? 精神的に? それとも、戦力という意味で、かしら』
「オレにも、良く分からないんです」

 何よそれ、というブルーの声は聞こえなかった。
 デジーの言葉は最初はおずおずと、次第に早口に、畳み掛けるような声色になって行った。みっともないとは思ったが、止められなかった。

「……こっちで、とてもお世話になっている人がいるんです。詳細は分からないんですが、その人は、すごく面倒な事に巻き込まれているみたいで……どうにか、力になりたいんですけど、オレは何も出来なくて、何も聞けなくて、それが嫌で何とかしたくて、それで……!」
『強くなりたい、と』

 思わず、頷いてしまう。向こうに見えないのだから意味はないと分かっていても、つい。
 デジーの声色から、ブルーは彼が本気だと読み取ったらしい。からかう事もなくしばらく黙っていたが、少しして、低い声でこう言った。

『その人は、女性? それとも男性?』
「……男性です」
『術を使うのかしら』
「攻撃には、カタナを使ってますけど……呪術や儀式の類は、多分オレよりもずっと、上のレベルです」
『……それなら、何もしなくていいと思うのだけれど。その人はきっと、自分の身は自分で守れるんじゃなくて?』
「それは分かってます、でも」

 デジーはぎり、と奥歯を噛んだ。

「あの人は、自分がすごく大変な事になっているはずなのに、オレの事を心配してくれました。自分は大丈夫だから、って、自分は平気だって、何回も言っていて、オレは、その言葉に、甘えたくないんです……!」

 少し前の会話を思い出す。
 いつもは遠くを見ている彼が、何度も言い聞かせるように、自分は大丈夫だと言っていた。大丈夫どころでない事態に巻き込まれているのは明白なのに、それでも大丈夫だと言い続ける姿が、デジーには辛かった。
 自分が無力なのは分かりきっているが、それでも何か、力になりたいと思った。

『……相変わらずお人好しね。そんなだからアイリーみたいな奴に懐かれるのよ』
「え?」
『何でもないわ。……答えは一つ。今のあなたに出来る事を精一杯やりなさい。それしかないわ』

 ブルーの言葉にデジーの頭は軽く恐慌状態に陥った。
 さりげない爆弾発言に加え、帰って来た『答え』がごく当たり前の事だったからだ。それ以上の事が分からないから聞いているのに。

「い、いくら何でも適当過ぎませんかっ!?」
『何を期待してたのか知らないけれど……あのね、戦闘に関する術は私は門外漢よ? あなたの使う植物の方がよっぽど戦闘向きだわ。……まさか、まだ「命を使い捨てているみたいで嫌だ」だなんて言ってる訳?』
「そ、そうですけど……」
『それならば貴方は、どうして戦闘に植物を使おうと思ったの?』
「……オレは、弱虫、だから……だから、どうしても戦わなきゃならなくなった時、好きなものが一緒なら、何とかなるかもって思って、それで……でも、それは間違ってたんです! だから、他の方法を探そうと」
『それを本当に間違いと断定してしまっていいのかしら?』

 滑り込むようなブルーの言葉は、あっさりとデジーの心の最奥に突き刺さった。

『私だって日々沢山の薬草をすりつぶして薬にしているわ。あなただって、庭で薬草を育てて使っているでしょう? これは私達の命を長らえさせる為に、植物の命を使い捨てる事にはならないの?』
「そ、それは……」
『もっと言うならば、楽しむ為に花を育てている人達はどうなるの? 切り花やイケバナは? 貴方の言いようでは、それらも命の使い捨てということにならない?』

 一言も返せず、デジーは携帯電話を握りしめたままうなだれた。
 ブルーが溜息を吐く気配がした。それから、諭すような声色で話し始める。

『デジー、物事には優先順位というものがあるわ。そしてそれは人によって違うの。貴方が本当にやりたい事は何? 貴方はどうしたいの? 何を守りたいの?』
「オレ、は……」
『まずは、その事を良く考えなさい。話はそれからよ。……じゃあね、頑張りなさい』

 ぷつん、と無機質な音がして、通話がそこで途切れた。
 デジーはうなだれたまま、しばらく、その場を動く事が出来なかった。

お知らせ

登録状況
【クエスト】 継続登録、戦闘設定登録、精霊術設定登録
【イベント】 ペアマッチ
精霊術の習得
結界:浄化結界 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 結界 のLvが上昇! [10→11]
アイテムの購入
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
水冷付加 Lv1 を獲得!
装備品の強化
強化によって 防具 のLvが上昇! [6→7] [-700SP]
防御 が上昇! [60→70]
霊玉の装備
【補助:スロット3】 素早さアップ Lv1 を装備!

メッセージ

イオ [360]
おお、そぉんなかしこまんなよおデジー?俺ぁイオってんだー、基本こんななんだー(両手をひらひらと振って口もとの笑みを深くする)
しかし花が咲くとは驚いたよなあ。花の匂いに花咲か兄さんと来た日にゃ、いやあ、戦場が美しくなるってもんさ……(両手を組んで顎にあて)



ところで頭のお花ちゃんが紹介されたがってんぜ?
キシカタ [380]
(遣る瀬ないものを感じてか、眉をひそめたデジー。そんなデジーを、男はいつもの遠い眼差しで眺めていたが、――ふと、口の端に笑みのような表情が浮かび)「デジーは、優しいなァ」(そして、微かに笑みの混じった声音。それは少し前、勢い良く喋った時の口調に似ていた)

(しかしその笑みの欠片のようなものも、直ぐにうつろう。キシカタの視線の方向は、流れるままに、またデジーから――というよりも、近くにあるもの全てから離れ、そしてまた不意に、少しだけ戻っては、デジーが茶器を扱う手元へ漂ったり、彼の動きを追ったり、近くの梢に注がれたりする。ただ、礼を言われた時、ふっと視線がデジーに戻った事も、確かで)

「……、………」(暫し無言のまま視線だけが動きを止め)「……、……礼、言われるほど、……大したもんじゃ、ネエけど……、あァ、……、……ただの、……護身呪」(思い出した様に、そう告げた)

(キシカタは、差し出されたカップを、ゆっくりと受け取る。青白いほど色の白い、痩せた、長い指は、以外と言うべきか、存外にティーカップを扱い慣れているような動きを見せた。花の柄に数秒、目をやったあと、カップをゆるく口元に寄せ、湯気とともに立ち上る香りを嗅ぐ)

(砂糖やミルクも、手にはとらないが、無視をしていたり気がついていなかったり、というわけではなく、単に『紅茶をストレートのまま飲む』様子に見えた。傷だらけで酷く荒れ果てていて時代も何も分からないような格好の男に、全くそぐわないその動き)

(一口、紅茶を口に含む。揺れる水面を半眼で見詰め)「……、…………旨い」(ぽつん、と。味に感想を言う事も、酷く珍しかった。そしてキシカタは視線を上げ)「……、……」(空いている方の手で、ゆっくりとデジーを手招きした。無言のままだが、確かにそれは手招きで)


イベント(ペアマッチ)

イベント戦の設定
「イベント登録」で「対戦相手指定設定」「霊玉の装備」などの設定を行えます。
イベント名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢25歳身長182cm体重70kg
異世界の魔術結社に所属している魔法使いの男。
こちらの世界を観察し、レポートするよう結社に命じられたため
びくびくしながらやってきた。
気が弱く根暗。いつもおどおどして何かにびくついている。

水を介して植物を操る魔法を得意とする。
ただし、操った植物は魔法を解くとその場で枯れてしまうのが欠点。
元々生えていた植物を使うと土地に与えるダメージが大きいため、
常に複数の植物の種を持ち歩いている。

気を抜くと、たまに頭のてっぺんからお花が生えている。

アイコン一覧

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ステータス

HPMP増加量スタミナ潜在PSPGP
1100122407003,400
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
Lv0Lv0Lv3Lv11Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
7治癒回復--30----水界:睡蓮
38治癒活力30------
10治癒清浄10101010×
11結界障壁結界------30緑界:葛藤
161結界多重障壁------30
1378結界力場結界------30×
169結界封壁結界30------紫界:桔梗
12結界反射結界30------黄界:向日葵
39結界保護結界----30--紅界:薔薇
13結界浄化結界--30----
56結界防護結界------30
124結界庇護------30×身界:立浪草
123結界清浄結界--30----藍界:矢車菊

装備品

主力: 片手 (武器)LvCP攻撃防御精度総SP
砂薔薇の短剣
柄に薔薇が彫り込まれた質素な短剣。元々は儀礼用だった。
521525101,500
スロット1フェイント Lv1
スロット2腐食 Lv1
スロット3必中 Lv1
補助: 盾 (防具)LvCP攻撃防御精度総SP
虚ろな四分の一
薄いあかがね色の金属を伸ばして作った盾。叩くとちょっと間が抜けた音がする。
4204001,000
スロット1精度アップ Lv1
スロット2麻痺耐性 Lv1
スロット3素早さアップ Lv1
防具: 中鎧 (防具)LvCP攻撃防御精度総SP
北海の護衣
いつも着ている黒いコート。持ち主の魔力を高める力を持つ術具。
7307002,800
スロット1飛行 Lv1
スロット2防御力アップ Lv1
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1151106255160100
補助00136100

同調値一覧

霊玉名 (武器)同調値
腐食5
必中5
フェイント5
霊玉名 (防具)同調値
防御力アップ5
素早さアップ2
麻痺耐性4
飛行5
霊玉名 (武器・防具)同調値
精度アップ5

霊玉名: 【青字】 同調値は上昇可能 / 【赤字】 同調値は上限に達している

所持アイテム (11/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉主1フェイント Lv1 (武器)100
2霊玉主2腐食 Lv1 (武器)100
3霊玉主3必中 Lv1 (武器)100
4霊玉補1精度アップ Lv1100
5霊玉補2麻痺耐性 Lv1 (防具)100
6霊玉補3素早さアップ Lv1 (防具)100
7霊玉防1飛行 Lv1 (防具)100
8霊玉防2防御力アップ Lv1 (防具)100
9霊玉睡眠付加 Lv1 (武器)100
10霊玉水冷付加 Lv1 (武器)100
11霊玉腐食 Lv1 (武器)100
トップページ冒険結果一覧 > E-No.411  (第13回:2011/11/12)