精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.380  (第16回:2011/12/3)

E-No.380

本名:キシカタ
通称:キシカタ
一言メッセージ

キシカタは害意に対してさえ反応しない時がある。
デジーはそれが心配だった。
キシカタの遊離の証明の様で、恐いのだ。


それは以前街中で起こった。
デジーが屋台によっている僅かの間に、キシカタが三人の男に囲まれていた。

「テメエ、人を転ばせといて、知らん顔で行こうってのか!」
「おい、聞いてんのかよ」
「なあこいつ頭おかしいんじゃねえのー?」

嘲笑混じりの声を聞いてデジーに怒りが生まれる。
彼は穏やかな性質だが、友人が傷つけられそうとなれば話は別だ。
ポケットから出した幾つかの種子を手にして、足早に近付く。

「その大層なもん、使えんのかよ?」
「使えねーだろ、置いてけよ」
「そうそう! もったいねえから俺たちが使ってやるって!」

男達の狙いは最初からそれだった様だ。キシカタが手にしている二本の刀を奪い取ろうとした。
するとそれまで自分の身に起こっている事に全くの無関心だったキシカタが、初めて動いた。ただそれも、するりと身を躱し、刀を男達の手の届かないところまで引いただけであったが。

「舐めてんじゃねえぞ!」

大柄な男が吼える。
キシカタの異様な風体を見ても尻込みせず因縁をつけてきた辺り、腕には自信があるらしい。隆々とした太い腕が伸び、乱暴にキシカタの肩を突いた。ぐらりとキシカタが揺れる。
その瞬間、デジーは自分でも驚くほどの憤りを覚えた。

「その人に触らないで下さい」

硬い声で言い放ったデジーの手から勢い良く蔓草が繁茂し、男の腕を払いのけ、キシカタの周りに生け垣を作る。

「な、なんだ!?」
「助けてくれ! 絡み付いてきやがる!!」

悲鳴を尻目に、デジー自身は蔓草に遮られる事なくキシカタに歩み寄る。
転ばせた云々は、難癖だろう。
なぜならキシカタは酷くふらついた動きで歩くが、それでいて人ごみを歩いても決してぶつかったりはしないのを、デジーは何度も間近に見ていた。
わざと転び、なにがしかのものを強請り盗るのはよくある手口だ。

「あなたたちは何者ですか? オレたちは精霊協会を訪ねた冒険者です」

正直、相手の氏素性など興味はない。こちらの立場を明かすのは『精霊協会の模擬戦に挑む実力がある』と言外に伝えるためだ。
案の定、男達は後ずさった。
蔓草はデジーとキシカタを守る様に繁茂しているだけで男達の背後にはない。じりじりと後退した後、彼らは一気に駆け出し、散り散りに逃げ去って行った。

それを睨む様に確認しながら、デジーはほっと息を吐く。
二人を取り巻いていた蔓草も枯れ始め、端から砂になって行く。

そこで漸くデジーはキシカタが自分を見ている事に気付いた。
いつもは遥か彼方に向かっている瞳が、デジーの顔に注がれている。

「き、キシカタさん、お怪我は……」
「デジー、怪我は」

短い言葉だった。しかし、酷く明瞭だった。

「え? オレ? オレは何ともありませんよ」
「……デジー」
「は、はい」
「俺を、守らなくていい」

デジーは泣きたくなった。
自分の身勝手な感情移入だとしても泣きたくなった。
キシカタが繰り返すのは「大丈夫」と「俺を守らなくていい」、いつもこの二つ。

キシカタが感謝していないとか、そういう事ではないのだ。
デジーには、「俺を守らなくていい」という言葉がどうしようもないほど遣る瀬なくて、そして、害意に対してさえ反応しなかったキシカタが、ただ悲しかった。



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以前からデジーには疑問があった。
それはキシカタの体型だ。

(キシカタさんって、凄くスタイル良いような気がしていたけど、……確かに良いんだけど、……やっぱり、ちょっと、違う、よな)

今日は珍しく立ったまま大樹の側にいるキシカタの方をちらちら見ながら、デジーは考える。
夕焼けの中、刀を持たずにただ立ち尽くしているキシカタは、酷く痩せていて、そしてとても背が高い。

(顔小さいし、モデル体型、……いや、そんな暢気な話じゃないのは分かってるんだけど……)

キシカタの体型は奇妙だった。
手足が長過ぎるように思うのだ。
180cmを超えるデジーより背が高い上に、とんでもなく痩せているからそう見えるのかと思っていたが、やはり少し、違う。

(まるで、オレくらいの身長の人間の手足を、伸ばしたような……)

その予想が当たっている事を、デジーは知らない。
違和感を『……個人差ってあるよね』と心の声で宥めながら、デジーは夕食の準備をしていた。店で買った出来合いのものばかりだが、焚き火で炙ると美味しいものも多いから、デジーは手を抜かない。

「キシカタさん、ハムとサーモン、どっちが良いですか?」

返事が返ってくる事は少ないが、こういう問いかけもデジーは欠かさなかった。たとえ返事がなくとも無視するようなまねは出来ないのだ。
その時、ふわりとキシカタが振り返った。珍しく反応があったかと嬉しくなったデジーがそちらを見る。

すると、振り返ったキシカタが、人差し指を唇にあてた。

こんなはっきりとしたジェスチャーは初めてだ。
手招きや視線などは幾らか知っていたが、これほどはっきりと、まるで『普通の人』のように仕草で意思を伝えてきたキシカタに驚き、思わず動きが止まる。

キシカタはまた向き直って、遠くを見ている。
何を見ているのだろう。いつもの遥か遠くを見る眼差しとは違う気がして、デジーは微かな胸騒ぎを覚えた。

「……何か、ありますか?」
「……、臭う。……、……近くはネエが、遠くもない」

問い掛けも返事を期待しての事ではなかったが、返ってきたのは、いまいち要領を得ない言葉。
しかしデジーには朧げながら分かった。

何か懸念があるのだ。
もしかしてまたアレのようなものがうろついているのかもしれない。
うろついて……キシカタを捜しているのかもしれない。
そう察して、ぞっとした。

「キシカタさん……!!」

切羽詰まったデジーの声に、またキシカタが振り返る。
いつの間にか男の手には枝が一本、握られていた。
濃い緑の葉を付けた細い枝。

(何だろう、常緑樹? 見たことない……けど、綺麗な木だ。清らかな感じ……)

キシカタの細く長い手が、左右に枝を振った。
葉が擦れて、しゃらしゃらと軽やかな音がする。
まずその場で鳴らした後、キシカタは、デジーの頭上と己の頭上でも同じ様に枝を振った。

(……、……凄い。あの枝を振るたび、場の神聖さが増した。まるで、守られているみたいに……)

その後、キシカタは手にしていた枝を大木の側の地面に刺して立てると、いつもの様に茫洋とした様子で座り込んだ。
デジーも夕食の準備を再開する。


その夜は、何も起きなかった。

お知らせ

登録状況
【クエスト】 継続登録
精霊術の習得
増幅:防御II を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 増幅 のLvが上昇! [13→14]
アイテムの購入
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
抽選に外れたため 腐食 Lv1 を購入できなかった……
抽選に外れたため かばう Lv1 を購入できなかった……
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
風雷付加 Lv1 を獲得!
装備品の強化
強化によって 補助 のLvが上昇! [6→7] [-700SP]
攻撃 が上昇! [36→42]
精度 が上昇! [24→28]

メッセージ

デジー [411]
(側に行ってから、いつもよりも、ずっと近くにいるようなキシカタの言葉に目を見開く。少し照れたような、困ったような顔をして、消え入りそうな声で)
……あ、ありがとう、ございます……気合も気力も、持てば良いんですけどね。
(いつものようにキシカタの視線が遠くに行かず、比較的近くに留まったままである事に、少なからず驚いていたが、一際はっきりとした彼の言葉に、泣きそうに顔を歪めた。が、すぐに堪え、居住まいを正し、背筋を伸ばして)
……はい、自分の身は、自分で守ります。(いつになく真剣な顔で、まっすぐにキシカタを見て)貴方に、オレの分まで守って頂いてしまっては、貴方の守りを緩めてしまうかもしれない。それはオレも嫌です、から。
(そうは言ったものの、まだ未練は残っている様子で、ぽつりと)でも……貴方の無事をお祈りする事だけは、許して頂けませんか。オレは、貴方に何かがあったら、すごく悲しいです。(手に持ったティーカップを見下ろして、ぽつりと呟いた)
(それから、自分もクッキーを齧り始める。普段とやや様子の違うキシカタに驚きつつ頷いて)砂糖とミルクが入ると、お茶としては風味が違ってしまいますしね。次はダージリンか、アールグレイにしてみようかな……そう言えばキシカタさん、紅茶、お詳しいんですか?
(尋ねながらキシカタを見上げるが、彼の笑みが余程意外だったのか、ぽかんとした様子で見つめている。伸ばされた手に、また泣き出しそうな顔をしたが、今度はどこか嬉しそうでもある。黙って目を伏せて紅茶を飲んでいるが、避けようとする様子はない)

イベント(武術会【秩序杯】)

イベント名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]
精霊兵『青龍』
 [NPC]
精霊兵『白虎』
 [NPC]

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーキシカタ
 [E-No.380]
デジー
 [E-No.411]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢???歳身長198cm体重???kg

キシカタ。

全てを切り裂きながら逃げている男。
いつも大抵、ぶつぶつと独り言を言っている。

元は覡。今は狂人。

元々半分しか無かった人間らしさは、さらに半分程、どこかに忘れてきた。
神の声も聴けず、人の声も聴けず、妖の声も聴けない。


どこからともなく花の香りがする。


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両手に刀を持った長身の男。
乱れた黒髪から覗く目付きは悪い。
酷く痩せていて、露な上半身には無数の傷跡。
下半身は襤褸の様な袴と壊れた赤鎧の足摺を纏っている。

辺りをうろつき、始終不明瞭な独り言を口にしている不気味な男だが、他人との会話や意思疎通が全く出来ないわけではない。
ただ様々なものから遊離しているようだ。

首から一つ、薄碧く透き通った勾玉を下げている。

近くに寄ると何故かどこからともなく花の香りがする。



※プロフ絵・アイコンは頂き物です。(感謝)

アイコン一覧

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ステータス

HPMP増加量スタミナ潜在PSPGP
1150132605004,500
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
Lv14Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0Lv0Lv3Lv0

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
1増幅強打40------××
1増幅強打II80------××
2増幅連撃----40--××
2増幅連撃II----80--××
210増幅瞬斬----40--××
128増幅神速----40--×
129増幅超神速----60--×
130増幅命中----40--×
3増幅防御------40×
3増幅防御II------80×
50増幅状態異常耐性増幅10101010×
265増幅結界斬------40××
24中和打消10101010×
26中和解呪10101010×
27中和魔力消散10101010
66中和敵対心低下10101010×

装備品

主力: 二刀流 (武器)LvCP攻撃防御精度総SP
木花之佐久夜毘売
84640163,600
スロット1攻撃力アップ Lv1
スロット2結界斬 Lv1
スロット3水冷付加 Lv1
補助: 二刀流 (武器)LvCP攻撃防御精度総SP
木花知流毘売
73420282,800
スロット1火炎付加 Lv1
スロット2風雷付加 Lv1
スロット3土の加護 Lv1
防具: 重鎧 (防具)LvCP攻撃防御精度総SP
緋縅鎧
310300600
スロット1覚醒 Lv1
スロット2治癒力アップ Lv1
スロット3スタミナアップ Lv1
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力13598404613890
補助1201084051

同調値一覧

霊玉名 (武器)同調値
攻撃力アップ5
火炎付加5
水冷付加5
風雷付加5
結界斬5
霊玉名 (防具)同調値
治癒力アップ5
スタミナアップ5
覚醒5
霊玉名 (武器・防具)同調値
土の加護5

霊玉名: 【青字】 同調値は上昇可能 / 【赤字】 同調値は上限に達している

所持アイテム (16/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉主1攻撃力アップ Lv1 (武器)100
2霊玉主2結界斬 Lv1 (武器)100
3霊玉主3水冷付加 Lv1 (武器)100
4霊玉補1火炎付加 Lv1 (武器)100
5霊玉補2風雷付加 Lv1 (武器)100
6霊玉補3土の加護 Lv1100
7霊玉防1覚醒 Lv1 (防具)100
8霊玉防2治癒力アップ Lv1 (防具)100
9霊玉防3スタミナアップ Lv1 (防具)100
10精製霊玉原石 Lv1 (精製するとランダムに霊玉を入手)100
11霊玉風雷付加 Lv1 (武器)100
12霊玉風雷付加 Lv1 (武器)100
13霊玉挑発付加 Lv1 (武器)100
14霊玉HPアップ Lv1 (防具)100
15霊玉睡眠耐性 Lv1 (防具)100
16霊玉先制 Lv1 (防具)100
トップページ冒険結果一覧 > E-No.380  (第16回:2011/12/3)