冒険者の心から冒険心が失われないように、人々の心から信仰心が失われることはありません。
万物に宿りし精霊を対象とした精霊信仰は、世界各地の人々に信仰されており、信仰の中心として建設された教会では、困窮した人々に救いの手が差し伸べられています。
ハイデルベルクにある教会を訪れたパーティーは、穏やかで威厳に満ちた初老の男性と、その後ろに控えるようにして立つ若い女性に迎えられた。
- フィリップ
- 私どもの要請に応じていただきありがとうございます。
- 皆様もご存知のことと思いますが、シュヴァルツヴァルトの森を彷徨う死者達の噂が、人々の間でまことしやかに囁かれております。
- 幸いなことに、森を彷徨う死者達による被害はまだ出ておりませんが、人々の間に広がる不安を払拭するため、当教会では神官を派遣して真相を究明することになりました。
- しかしながら、神官のみで調査へ赴くには危険な場所であるため、冒険者の皆様に護衛を要請させていただいた次第でございます。
- クリスティーナ
- フィリップ様、冒険者の皆様と協力して、必ずや噂の真相を究明して参ります。
クリスティーナと共に教会を出立したパーティーは、シュヴァルツヴァルトの森へと向かった。
シュヴァルツヴァルトの森に辿り着いた一行は、鬱蒼とした森の中へと足を踏み入れた。
森の中は、生い茂る木々により、昼間にも関わらず薄闇に包まれており、黒き森の異名に相応しい様相を呈していた。
- クリスティーナ
- ……派遣任務と聞いて楽しみにしていたのに、何て憂鬱な森なのかしら……これなら、まだ教会での堅苦しい生活の方がマシだわ……
クリスティーナの微かに漏らした呟きも、森に広がる重々しい雰囲気を変えるものではなかった。
森の中を進んでいた一行は、前方から近付いてくる人影に気付いて立ち止まった。
- クリスティーナ
- ……どうやら、噂は本当だったようですね。
- 魂のない彼らには、どんな言葉も通じないので、気をつけてください。
- 彼らを止めるには、肉体を完全に破壊するしか方法がありません。
- 躊躇する必要はありません。今、彼らを動かしているのは偽りの魂で、彼らの本当の魂は既に安らぎを得ています。
パーティーは武器を構えて、近付いてくる死者を迎え撃った!