ハイデルベルクの北に位置するヴィスマールは、漁業と貿易の要として発展してきた港町である。
ヴィスマールの港には大小の船が行き交い、港で荷揚げされた新鮮な魚介類や異国の品を取り扱う市場には、それらの品を求めて集まった人々で活気に満ちています。
ヴィスマールの漁業組合を訪れたパーティーは、日に焼けた逞しい男に迎えられた。
- ギュンター
- わざわざ足を運んでもらって、すまないな。
- だが、この町はいいぞ。
- まず、飯がうまい。新鮮な魚はもちろん、異国の様々な珍味も手に入れられる。
- そして、いい女が多い。なんたって世界中から、いろんな肌の色、目の色、髪の色をした女達が、この町へやってくるからな。
- あんたらも、この町のことを知れば、きっと気に入ると思うぜ。
そう言うと、ギュンターは豪快に笑った。
- ギュンター
- まぁ、その前に仕事の話だ。あんたらも、大体のことは聞いていると思うが、今回の目的は精霊魚の捕獲だ。
- だが、たかが魚と侮っちゃあいけねぇぜ。奴は頭が良い上に、慎重な奴でな、滅多に人前に姿を現さねぇ。
- 俺は、十年の間、奴を追い続けて、ようやく奴の居場所を突き止めたが、潜るにはちっとばかり深いところでな。
- そこで、錬金術の先生に相談して、海の中でも息ができる薬を作ってもらったんだが、漁師連中はみんな気味悪がって、誰も飲みたがらなくてな。
- それで、あんたら冒険者に依頼することになったわけだ。まぁ、あんたらにとっちゃあ、海の中は不慣れなところだろうが、協会の試験を潜り抜けたあんたらなら、すぐに慣れるだろうさ。
- さぁ、これで仕事の話は終わりだ。出発は明日の朝だから、今夜は存分に楽しんでくれ。
翌朝、港へと向かったパーティーは、ギュンターが用意した船に乗り込むと、海を北上した。
港を出て数日後、天候に恵まれた一行は、目的とする海域に辿り着いた。
- ギュンター
- ここまでは、精霊の加護を得られたようだな。
- これが、海の中でも息ができる薬だ。飲むだけで効果を得られるから、潜る前に飲んでくれ。
- 海の中では、海に慣れている俺が先導するから、あんたらは後から付いてきてくれればいい。
- そういや、あんたらの身に着けているのは精霊武具だろ? それなら、海の中でも邪魔になることはないから、そのまま着けていていいぜ。
手渡された薬を飲み、海の中へと潜ったパーティーは、慣れない海の中での呼吸に戸惑いながらも、徐々に環境に適応していった。
海の中の環境に慣れてきた一行は、ギュンターの先導により、海の深みへと向かった。
潜り始めてしばらくすると、先導していたギュンターが危険を知らせる合図を送ってきた。
周囲から近付いてくる魚の群に気付いたパーティーは、武器を構えて迎え撃った!