精霊伝説
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E-No.503

本名:ニェヴィン・ノスチ
通称:ニェー

【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ
ほんの少しだけ、開かれた窓の隙間から流れるひやりとした夜風が、人形の髪を僅かに揺らした。
窓から差し込む柔らかな月の光が、質素な宿の一室を薄らと青く浮かびあがらせている。
そこに浮かぶのは、設えられた簡素なベッドとサイドテーブル、古い木の椅子と、人形が初めて手にしたと言える僅かな荷、と―――

さらり、と白金の糸が流れる。

服を纏わない人形の身体と、人形に植え込まれた人工の髪はこの小さな青い世界の中ではその調和を乱す様に白い。
人工の身体の関節の隙間から僅かに漏れる青白い光はまるで息づくかの様に光の強さを変え、蛍火を纏うかの様な人形は、その青白い光に照らされ、さながら亡霊の様でもある。

人形は、青白く光る指が握り込んでいる青を見詰める。
その青は、光を受けて本の少しだけ、色を薄くした。



***



「トレゾア オドロク ?」

人形は、その薄青に透き通る瞳を僅かに見開き、一度瞬かせる。
思っても見ない事を言われた時に、人がその様な仕草をする事が多い、と人形は人を観察し、学んだ。
真似ているつもりなのだ、人を。
その視線は、自分と似たような背丈の青い髪の少年へと向けられている。
今、人形が身に纏う服を与えてくれた少年は、「そう」と小さく頷いた。

人形は、首を傾げる。
その仕草もまた、人形自身が学んだものだ。
自分がこの服を着た姿を、トレゾアに見せて驚かせよう、と少年は言う。
何故驚くのだろう、と人形は思う。
人間は裸でいられないから服を身に纏う、それ以上の意味がこの服というものには存在するのだろうか。


「―――… ウン。 ワカッタ。」

暫くの沈黙の後に、人形は頭を縦に揺らした。
リビドは、言う事を聞いてもいい人だと、人形は判断している。
彼がそう言うという事は、自分にはわからないが何か意味のある事なのだろう。
裸体を見せる事に戸惑う事も無く、服を脱ぎ捨てる。
トレゾアから服を与えられた時には、どうやって着て良いものかわからずかなりの時間を要したのだが、この服は着方を教えてもらっても更に着るには時間がかかりそうだった。
リビドの説明を、小さく口の中で反芻しながら学んでゆく。
その白い身体が、少しずつ青を纏う。


「ワタシ アオ スキ」

唐突に呟かれたその言葉は、人形が意識して発せられたものでは無く、言葉を口にした人形自身も直後に首を傾げたが、人形が感じるどこか落ち着かないような気持は嫌なものでは無かった。
その服が似合うかどうか、問う人形の顔は何処か心配そうな色が浮かんでいる。
何故そのような表情を浮かべるのか、それは人形自身にもはっきりとはわからない事だろう。


服を着せてくれると、少年は唇に紅を引いてくれた。
二人並んで、小さな鏡を覗く。
そこに映った二人の顔は、どこか曖昧で人形にはそれがどんな顔、とははっきりと判断できるものでは無かったが、鏡の中で華やかに浮かぶ二つ並んだ紅が小さく動く様を、人形はじっと見詰めてから、その紅を大きくした。

「マタ パン カイニ イコウ ネ?」

人形の薄青の瞳は、自分の顔に並ぶ少年の顔を見詰める。
その様子は、鏡を見る少年にも伝わっただろうか。



夕暮れ、夕飯の後に人形は着せてもらった服を脱いだ。
リビドは、まだ待っていればいいのに、と不思議そうな表情を浮かべる。

「トレゾア タブン カエッテ コナイ」

人形は言う。
更にその不思議そうな表情を強くした少年に、人形は暫く何事か考えていたようだったが、うまく言葉が見つからなかったのか、小さく頷くに留めて服を着替えた。



その日、トレゾアは帰らなかった。



***



傷薬が無くなったからと、どうしたらいいだろうと宿の周囲を彷徨っていたのは、リビドが人形に服を買ってくれた翌日の事だった。
突如声をかけられ、その相手が非常に奇抜で見た事も無い様な人間だったこともあり、人形はゼーレと名乗るその女性に対して警戒の色を見せる。
しかし、トレゾアの教育もそこ迄行き届いてはいなかったらしい、ゼーレがトレゾアの名を出すとその警戒は薄くなったようだった。

人形が、ゼーレの様子に僅かに瞳を見開いたのは、最初にトレゾアに服を見せたいと頷いた後のことだった。
そのふっくらとした唇を這う舌を、その瞳は追う。
どうして舌を舐めるのか、人形は不思議だった。
ゼーレが何を考えているか、その胸の内を読み解くには人形は無知すぎた。
そして、お買い物にはお金が無いと出来ない、という言葉に僅かに俯いた。
昨日、リビドのパンを買ってくる事ができたけれど、今日はお金は持っていない。

「オカネ」

モッテ、ナイ と、相手には聞こえない程の声で小さく小さく呟いた。
ゼーレは、人形がお金を知らないと思っているらしい、「こんなの」と宙を掴むゼーレの仕草を、人形は不思議そうに眺めている。
そして、突き出された拳の中の金貨を目にし、驚きの表情と共に手と掴んだ中を今度に見遣っている。
金色の髪が、せわしなく揺れた。

お金を持っていない、という人形に、ゼーレは何が欲しいのかと問う。
傷薬が欲しい、と応える人形に、誰か怪我をしたのか、予備が無くなったのかと問いかけるゼーレに、人形はゆっくりと口を開いた。

「…トレゾア ケガ シテ カエッテ クル」

そう、多分。
きっと―――…

「ダカラ クスリ ヨウイ スル」

傍から見れば、トレゾアがただ怪我をして帰ってくるのではないかと人形が心配をする様にしか、見えないだろう。
その言葉を聞いたゼーレは、人形を薬屋に連れて行き薬を買ってくれた。
人形は、何故ゼーレが薬を買ってくれるのか理由がわからずに慌てていた。
知らない人から、物を貰ってはいけないと、トレゾアから言われている。
それでも、人形は傷薬が欲しかった。
「アリガトウ」、人形の喋り方は何時もぎこちないものだが、されにそれに輪をかけた様な話し方で人形は礼を述べた。


「ニェヴィン ワタシ ノ ナマエ」

別れ際、人形はゼーレに名を名乗った。
少なくとも、人形はゼーレに対しては悪い感情は持ちあわせていはいないらしい。
欲しかった薬を手に入れる事ができて、人形は小さく笑んだ。
義足を鳴らし、去っていく後ろ姿に、人形は手を振る。
ゼーレが、どのような表情を浮かべているのかも、知らずに。



***



人形は、ぎこちない仕草でゆっくりと青を纏ってゆく。
近くまで、来ている。
少しだけ開かれた窓の隙間は、人形にとって不必要な換気の為なのでは無く、その足音を拾う為のものだ。

柔らかさの無い指で紅を引く。
直線的に唇にのせられた紅を、唇を合わせて広げる。
それは、リビドに教えられた仕草では、無い。


人形が僅かな靴音を耳にしたのは、紅を引き終わりコンパクトの鏡を覗きこんだ時だった。
無機物で出来ている人形は、重い。
けれども、窓辺に向かうその人形の足取りは、さながらトゥーシューズを履いて舞う踊り子の様に軽やかだ。

月明かりの中、夕の色を呈するその髪をみとめ、人形は軽やかな足取りで部屋を出た。
青の服と、それを彩る青白い光を纏い宿の玄関へと向かう人形の姿は、何処かこの世のものでは無い様な不思議な透明感を纏う。

階段を下り、食堂のカウンターの横を抜け、玄関の扉の前に立つと人形は自分の姿を見降ろした後に、薄く青く色付く髪を撫でた。


気配はもう、すぐそこに。


ドアノブを握る。
軋む音を鳴らしながら重いドアを開けると、少しだけ背の高い影が、月明かりを遮った。



「オカエリ ナサイ」



紅の花が、綻ぶように 咲いた。

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、戦闘設定登録、プロフィール登録、セリフ登録、装備設定登録
精霊術の習得
結界:浄化結界 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 結界 のLvが上昇! [3→4]
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
攻撃 が上昇! [5→8]
精度 が上昇! [5→12]
同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
精度 が上昇! [5→15]
同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
防御 が上昇! [0→3]
精度 が上昇! [10→17]

メッセージ

ディグ [31]
男は愉しそうに青年の髪を引っ張りながら、笑っていた。
そして不運にも隠れたもう一つの小さな影に気付く。それはとても目敏く。

―なんだよ。人形風情がァ。

指で中指を突き刺し、ファッキングのサインを見せしめる。
その意味は知らずとも、青年の表情からして楽しみを感じるものではなかった。
オボロネ [150]
オボロネ
「―――……」
オボロネ
「……………おや?」
オボロネ
「……こんにちは、どうかなさいましたか?」
 此方を見る視線に気付き、
 神父がゆるりと首を傾ぐとしゃらりと涼やかな音が鳴る。
オボロネ
「……何かお困りでしょうか。
 道に迷った…わけではなさそうで…?
 お一人でしょうか、どなたかご一緒の方は……?」
リビ [164]
(あれは、ニェー?
いけない子。トレゾアに着いてきちゃったのかな……
一人にして、悪い事しちゃったかも)

(ああ、でもソレを言ったら僕もいけない子か)
ゼーレ [269]
ッ!!!!

ッキャー!!ニェーちゃん、似合う!似合うよ!!
そうよ、女なんだから着飾ラなきゃね!
その点トレゾアは気が効かないんだかラ。
ほら、くるって回って見せて?

また可愛い服があったら買ってきてあげルからね。
良い子で待ってルんだよ?

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーリビ
 [E-No.164]
ゼーレ
 [E-No.269]
トレゾア
 [E-No.498]
ニェー
 [E-No.503]

プロフィール

クラス
種族
性別不明年齢???歳身長160cm体重???kg
製造年月日:No date
製作者:No date
通算稼働期間:No date
現行稼働期間:トレゾアに拾われてより
身長:160cm(修理される度に若干上下する) 体重:推定100kg(修理される度に上下する)


*****


長年廃棄場に破棄されたまま放置されていた人形。
胸に記されていたニェヴィンの文字が呼び名の由来となっている。
精霊兵と同じく、無機物の身体に精霊石が埋め込まれているが、そのつくりは精霊兵とは異なるようで、特に製作者の命令を忠実に実行する特性は有していない。

視覚、聴覚、触覚はあるが嗅覚と味覚は備わっていない。
また、触覚はかなり精密にはできているのだが、温度を感じる事は出来ない。
また、人形の特性上痛覚も持たない。
喉の奥は声を発生させる装置があるのみで塞がっている。
また、涙や唾液などの体液が分泌される事も無い。
体温も無い。

トレゾアに拾われてから、トレゾア、リビドと行動を共にしている。
しばしば誘拐されそうになるが、その重さが原因で失敗される。

アイコン一覧

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ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
1000000010200100
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
0004.5200000

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
11結界障壁結界------40
39結界保護結界----40--
13結界浄化結界--40----

装備品

主力:遠隔(武器)LvCP攻撃防御精度
カルバン・クライン
トレゾアから借り受けた銃。
218012
スロット1
スロット2
スロット3
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
ヒトならざる腕
人形の腕。
210515
スロット1
スロット2
スロット3
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
青のビスチェ
リビドが選んでくれたビスチェ。
210317
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力109135252796126
補助0000

所持アイテム (1/25)

No種別装備アイテム名価値
1素材精霊兵の破片75
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