精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.333 (第3回:2012/9/29)

E-No.333

本名:トラインフェネス・リアルシッゾ
通称:トライ

【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ
(吟遊詩人もどきが精霊協会の門を叩く、その一週間ほど前の話)


 彼は誰時よりもなお暗い、まだほとんど「夜」と言えるほどの時刻。
 トライは灯りもつけず、真っ暗なままの部屋の中で出立の準備を進めていた。人ではない彼は夜目が利く。窓の外から入る、沈みかけた月の光だけでも、活動するには十分だった。極力音を立てないように動いているためゆっくりとではあったが、やがてトライは荷物をまとめ終えた。後は家の主にバレぬうちにこっそり出発すれば良い。
 善は急げと荷物を背負い、外へ通じる扉に手をかけた途端、不意に周囲が明るくなった。

「何処に行く気だ」

 不機嫌な声が背中に突き刺さる。恐る恐る振り向けば、寝巻姿でこちらを睨んでいる男がいた。眼鏡をかけた痩せ気味の男で、その手には火を入れたランプを持っている。
 彼はトライの友人で、魔術師のヒディナだ。トライの正体と「本来の姿」を知ってなお友人関係を続けてくれている稀有な人間でもある。
 ここはヒディナの家で、一週間ほどトライはここに滞在していた。
 それというのも。

「そのまま出て行く気だったろう、お前」
「い、いやいや違うよヒディナ、お、おれはちょっと、散歩に」
「そんな大荷物背負って、こんな夜明けも遠い時間帯から散歩に出るバカがどこにいる」
「ヒディナいつもおれの事バカ犬って言うじゃん」
「一丁前に揚げ足取るんじゃないバカ犬」

 すっかり言いくるめられてしまって、トライは釈然としない顔で眉根をよせた。

「だってさ、誰にも何も云わずにこっそり、夜明け前に旅立って行く――っていうの、何だか格好良くない?」
「格好が良い悪い以前に最低限の礼儀が守れん奴なんぞ問題外だ。お前、この一週間でどれだけ俺の家の食糧を消費したと思ってる?」
「ええと、その、抑えてはいたんだけど……お腹すいちゃって……」
「それにだ、俺がここ三日間どれだけお前に精霊術の基礎知識を叩き込んでやったか。忘れたとは言わせんぞ、礼の一つもなしに出てく気だったか」
「それは忘れたくても忘れらんないです……」

 ヒディナは精霊協会所属の冒険者でもあった。あまり身体が丈夫でなかったため二、三年で冒険者家業から引退してしまったが、元々が術者であったために精霊術にのめり込み、短い間に自分なりに研究を進めていたようだ。
 彼はその時の経験を活かし、試験勉強としてトライに基本的な精霊術の仕組みを教えてくれたのだが……最後の二日間に味わった地獄のような勉強漬けの時間は、流石のトライも当分忘れられそうにない。
 自然語尾が尻つぼみになる彼に、ふんと鼻を鳴らしてヒディナが続けた。

「簡単に忘れられたら困る。忘れられんように教えたんだからな」
「あはは……」
「だから、さっさと行け。行って受かってこい。落ちたら承知せんぞ」

 きょとんとしてトライは、不機嫌そのものの顔をしたヒディナを凝視した。不器用にではあるが、励まされたと言う事に気がついたのはその二秒後だ。
 途端、トライは満面の笑みを浮かべて言った。

「そうだよね、あなたが教えてくれたんだもの。落ちる訳ないよね!」
「当たり前だ。……『途上』、は着ているな。『足』は持ったか」
「うん、持ってるよ。大丈夫」

 背中に負った細長い包みを揺らす。中にはちゃんと、目の前の友人が用意してくれた武器が入っている。トライはそれに少し安心する。
 改めてドアノブに手をかけて、一度だけ振り返る。

「それじゃあ、もう行くよ。あっちに着いて試験が終わったら、どんな結果になっても手紙を書くね。もし落ちたらすぐにまたこっちに戻るから、一緒にヤケ酒飲んでバカ騒ぎしよう?」
「悪くはないがいつぞやみたいに飲み過ぎるのはやめてくれ。ああなると掃除が大変なんだからな、毛とか毛とか毛とか」
「……あれはおれも懲りたんでもうしません」

 飲み過ぎてへべれけになった挙げ句人化が解け、ヒディナの部屋で元の姿に戻ってしまった時の事を思い出し、トライはぶるぶると首を横に振った。
 相手がヒディナだったからその後も何とかなったが、もし往来で元に戻っていたらと考えると未だに恐ろしい。それ以来、羽目を外すような飲み方は控えているトライである。

「それで、受かったらどうする気だ」
「うーん、しばらくこっちには戻ってこないと思う。だから、すぐに手紙で連絡するよ。その時はちょっとだけでも喜んでくれると、おれも嬉しい」

 トライの言葉に、ヒディナは不機嫌そうな顔のまま肩を竦めただけだった。それが否定の動作ではない事をトライは知っている。
 だから満面の笑みで、勢いよくドアを開けた。

「じゃ、行ってきます!」
「……早く行け、寒い」

 照れ隠しなのか、ヒディナがくるりと背を向ける。それがおかしくてトライはまた笑い、そして今度こそ、ヒディナの家を出た。
 東の空がほんの僅かに明るくなり、西の空には傾いた月が色褪せた光を放ちながら浮かんでいる。
 その薄青い空気の中を、トライは早足で歩き始めた。

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、戦闘設定登録、プロフィール登録、セリフ登録、精霊術設定登録、サブクエスト登録
精霊術の習得
増幅:防御 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 増幅 のLvが上昇! [3→4]
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
攻撃 が上昇! [5→12]
精度 が上昇! [5→8]
同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
防御 が上昇! [5→10]
精度 が上昇! [5→10]
同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
防御 が上昇! [10→20]

メッセージ

フィー [331]

(背の高いトライをじっと見上げ)「『トラインフェネス・リアルシッゾ』……、トライ。ええ、あらためて、よろしく。わたしはフィーよ」(『フィーちゃん』と呼ぶのに、少し首を傾けて笑う。すると、髪に混じって生えている飾り羽がふわりと揺れた)

「ありがとう、トライは力持ちですね」(こくりと頷く。そして傍らに居る黒衣の男の方を見やながら)「わたしもグラニアも、まだあまり荷物が多くはないけれど、これからどうなるか分からないし……」

(黒衣の男は肩を軽く竦め)「……精霊協会が、どういう仕事を割り振ってくるかにも寄るだろうが……といっても、俺をあまりあてにするなよ。……占い師なんぞに出来る事は、そう多くない。……何より、手を出しすぎるつもりも……無い」(そこまで言ってから、一旦言葉を切り、己より随分背の高いトライをぐいと見上げる)

(青緑色の目は鋭く目付きがきついが、これは生来のものらしく、特に悪意などはなさそう。真っ直ぐ見上げてくる辺り、それなりに真面目な男なのかもしれない)「……俺は、挨拶がまだだったな、トライ。グラニアだ。占いと、まじないを、生業にしている」

(うん、とフィーが頷き)「グラニアは、占い師で、わたしを見てくれています」(演奏、との言葉に、目をぱたりと一度瞬かせ)「綺麗な音は好き。でも……、わたし、楽器の演奏は出来ないわ。声でいいのなら歌うけれど。それで良いの?」

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーフィー
 [E-No.331]
トライ
 [E-No.333]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢???歳身長196cm体重???kg
古びた弦楽器を抱えて適当に放浪しつつ過ごしていた人外の男。
「自称」吟遊詩人だが、自分で作詩作曲が出来ず、誰かから習った曲や楽譜を読んだ曲しか歌うことができない。
歌う事や演奏はとても好きなので、普段は既存のわらべ歌や伝承歌等を演奏している。曲を知ってさえいれば歌えるので、客のリクエストに応える事も多い。
何故か一人で三部合唱ができる。

彼の実力では演奏だけで食っていけないため、無駄に身体がでかいのを利用して用心棒や雇われ兵的な事をやっているうち、冒険者の道に足を突っ込んでいた。
精霊協会での冒険者募集を聞きつけ、「色々援助してもらえるんならあちこち演奏旅行に行きやすいかも」などと踏んで協会の門を叩くに至る。

人外だが、種族の詳細はよくわからない。イヌ科の生き物に似た何か。
本人もろくに知らない上、自分の素性をあまり気にしていない模様。
常時人の姿に化けており、本来の姿についてはほとんど口にしない。
尻尾はたまに出す。

図体ばかりやたらでかいが、性格は能天気で温厚。
食べ物に弱く、エサやおやつをもらった相手には大体懐く。
言動も行動もバカっぽいが恩も恨みも忘れない性質。
好奇心も強く「とりあえず試してみる」が基本方針。

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ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
1000000010200200
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
5.0300000000

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
1増幅強打40------××思いきり振り回す!
2増幅連撃----40--××二本足打法
3増幅防御------40×

装備品

主力:両手(武器)LvCP攻撃防御精度
黝い足
知人の術者が作ってくれた金属棒。全力で振り回しても一応壊れない。
211208
スロット1
スロット2
スロット3
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
和声と韻律
誰かの形見の、一対の腕輪。頑丈だけが取り柄の安物だが、銘を付けて大事にしている。
2101010
スロット1
スロット2
スロット3
防具:中装(防具)LvCP攻撃防御精度
途上をゆくもの
武器と同様、知人の術者が作ってくれた衣装。着用者を守護する刺繍が施されている。
210200
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1351095054117107
補助0000

所持アイテム (0/25)

No種別装備アイテム名価値
所持アイテムはありません
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