精霊伝説
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E-No.148

本名:ミズキ=カラサワ
通称:ミズキ

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一言メッセージ


 陽光が窓から侵入し白い廊下を照らしている。病院の三階にあたるこの階層は談話室などもなく、入院用の部屋ばかりが並んでいて、病院内でも比較的静かな場所だった。
 そこに設置された一室。他と変わらない入院用の部屋からかすかな音がもれていた、それは何かを引っかくような音だったが、人の耳に捉えられるほど大きいものではなかった。
 その原因であるミナト・カラサワは右手の動きを止めなかった。
 彼女は白いシーツが眩しいベッドの上に簡易な机を出してその正面に座っている。視線は手元の辺りを見ていて、眼球がなめらかに文字を追っている。左手はページをゆるく押さえていて、右手に持ったペンが空白を埋めていた。彼女はクロスワードの雑誌に取り組んでいた。
 その速さは殆ど変わることがない、ごく静かに、流れる水を思わせる動きで、よどみなく紙にインクで記している。それを数分続けた後、ため息を一つついてペンを置く。
 組んだ両手を天井へ向けて伸ばす、肩の辺りにかかった負荷が気持ちいよく、小さく声を上げる。
 見ると机には雑誌のほかにも知恵の輪と思われるものや、複数の新聞が置かれている。知恵の輪は殆どとかれているし、新聞もスクラップをしたのか所々で鋏が入っていた。クロスワードの雑誌は問題の空白よりも上下左右の余白へと書き込みされてる。
 ミナトは首をゆっくりと動かして、思いついたように荷物を確認する。
 そういえば、写真が届いてたっけ。
 精霊協会に登録をした妹のミズキ、新聞記者としての代わりを勤めると張り切っていた彼女は逐一状況を報告したり、資料を送ってきたりしている。必要か不要か判断しにくいものはどんどん送るといっていたのだが、その中でも写真は本当に片っ端から送って来ているらしく、辞書のような厚さにとじられていた。
 束になった写真を机の上に並べながら、適当にゴムを外して写っているものを見る。初心者なのだから写真の出来やその利用価値については期待できないけれども。
 ……ん?
 早速眼を落としたミナトは一枚目から疑問に思う、そこに写っているのはどうやら足だった。
 クリーム色のズボンにつつまれた二本の足。筋肉のつき具合からどうやら男性のものと考えられる。しかしこの写真の意味を理解することは出来なかった。
 失敗した、と考えるのが普通よね。
 一枚目を後ろへとやり二枚目を見てみる、今度も足が写っている。先ほどのものとは違いスカートと思われる布から黒タイツに包まれた足が見える、膝裏が見えたので後ろから写したようだった。
 黙ってそれも後ろへ、三枚目もはたして足だった。
 足フェチだったかしら、とぼんやりと思い、スピードを上げて写真を見ていく、その殆どが足の写真で、軽い頭痛を覚えながら、一つ目の束を見終えた。
 マニア向けの写真集になら使えるかもしれないと感想を覚えるが、被写体への許可が取れているか怖くなったので思考を止める。
 もっと記事向けなのはないのかな……。
 新しい束に手を伸ばしゴムを外す、また何枚かの足を見送った後、彼女の手が止まった。
 これは、精霊兵か。
 人の命によって動く精霊兵はその特徴から警備などに用いられる、街に出ればそこらじゅうで見かけることが出来るものの、その特徴から悪用を避けるため、運用は精霊協会の秘匿とされている。
 そういえば、完成したばかりの精霊兵と戦うかもと言っていた。
 全身は白い、鎧のようなものを装備した身体は中々に頑丈そうだ、無機的な印象だがそれが古城に置かれた鎧のような威圧感を与えている。剣を振り上げ今にも斬りかからんとする様子は、中々に格好いい。
 ……あれ?
 この精霊兵は確かに剣を上段に構え何かに襲い掛かろうとしている。……この写真はそれを正面から取っている。
 頭痛がぶり返してきたようで、ミナトは大げさにため息をついた。



 シャッターを切る音に遅れて、振り下ろされた剣が空気を裂いて、その風がミズキに届く。
 彼女は通り過ぎた刃を一瞥しつつ撮影機を構えたが、その動作を止めて一歩さがる。
 またもや風を巻き起こしつつ、剣が今度は下から通り過ぎるのを見送る。砕かれた床の破片が少し埃っぽい。
 今度はシャッターをきるがあまりいい構図でなかったらしく、表情は優れない。その間にも振られた剣が身体の近くを素通りしていく。
 はたから見れば、かなり余裕をもってふざけているように見える。しかし彼女の表情は真剣でどこか次のシャッターチャンスは逃がさないというふうにみえた。
 その真剣っぷりに職員も口を挟みにくく、しばらく黙ってみていたが、一太刀も浴びせないどころか、途中から大鋏を壁にかけて写真しか取ってないミズキに業を煮やして呼び出したが、
「このままでは訓練になりませんので、戦ってください」「記者が撮影対象に暴力を振るうはずないでしょう!」そんな風に自信たっぷりに言われ、説得するのに数十分を要した。
 しぶしぶヴォリュビリスをかつぎなおして、ミズキは再度精霊兵に向き合う。戦う、となるとなんとなく不安になる、のらりくらりと写真を撮っていた先ほどまでが嘘のようだった。
 感覚を尖らせて間合いをはかる、足元だけのフェイントで上から振り下ろされる剣をやり過ごした。
「ヴォリュビリス!」
 気合とともに背後の大鋏を抜き打ちしながら魔剣へと組み替える。光とともに放たれる瞬間、彼女はその異常な軽さに違和感を覚え、一瞬の衝撃の後に来るのはとても空しい手ごたえだった。
 何かが折れるような音、間髪入れずに多数の金属が床へと散らばる音。それを眼で確認して、違和感の正体に気づく。
 多数の剣が転がっていた。それぞれが簡素なデザインで、個性が見られず、大量生産された印象を受ける、だが特筆すべきはその刀身が非常に脆そうに見えたこと、実際に一撃を加えた剣は半ばから折れてしまったことだろう。
 新米精霊兵に与えられたダメージはどのくらいだろうと目算を立て、ミズキは距離を保つ。近すぎず遠すぎずを保つが動揺は隠せそうもない。
 彼女の背中に「ヴォリュビリス」はない。床へと散乱している多数のなまくらがそのなれの果てだった。魔剣へと変化させただけで元に戻る可能性はあると思われるが……。
 使えない武器より使える武器のほうがいい。当然のことで精霊術を授かるとき、暫定的に大鋏を代わりの武器へと変化させる術を学んだ。そのときは石柱を砕くことに成功したのに、
 ……ダメージが通ってるのかぜんぜんわかんない。
 今回は何を間違ったのか。「ヴォリュビリス」は攻めには使いづらくてもとりあえず防御の役割は果たした、だがこの剣たちは、
 精霊兵が距離をつめてきて攻撃を放つ、それを拾い上げた剣で受けると、先ほどと同じようにぽきりと折れてしまう。ため息をついて、柄を投げる。
 攻撃にも防御にも使いにくさを主張しているようだった、粗悪品といっても差し支えないだろう。
 まぁやるしかないか!
 不安要素ばかりが頭をよぎるが、それを振り払うように視線を上げる。剣が落ちてきていた。
 変な声を上げてそれを回避。床を転がるようにしながら一本調達し、精霊兵へと投擲するが鎧に弾かれてしまう。更に悪いことにミズキの周りに剣が見当たらず、ほとんどが精霊兵の後ろへ回らなければならない位置に配置されている。
 あ……この構図はいいなぁ。とシャッターを切るが思いっきり飛び退くようにして離脱する。そうして速度ならばこちらに分があると判断する。
 深呼吸して覚悟を決める、二度、運がよければ一度武器がないまま凌ぐ必要がある。両足でリズムを刻み、精霊兵の攻撃を誘う、大振りの一撃をかわしつつ間合いをつめ、軽く身体を当てる。
 これだけ近ければ剣は振れないはずだよね。
 判断した刹那に嫌な気配を感じ、身体を離す、かするようにして堅い拳が空を切る。回転して裏拳を放たれたと察したが心臓が一つ高くなり、その離れた距離分剣を振るチャンスが出来てしまったことを理解する。
 最初に痛み、つづいて体が弾かれる感覚。わき腹に入った剣はそこを切り裂くことはなかったが、棒で殴ったようなダメージをあたえ、ミズキを弾きとばす、足がたたらを踏み着地すると、間髪いれずに追撃が襲い掛かる。
「このっ……!」
 痛みに耐え無理やりに跳ぶ、剣をかわし精霊兵の背後へと回りながらなまくらを引き抜き、そのままきりつける。……効果が薄い。
 というか効いてないよね、これ。
 心の中で苦笑しながら反撃をかわす、痛みは続いているが動きに直接問題を与えるものではない。次の剣を拾ってきりつけ、反撃を受けないうちに離れる、柄を捨てようとしたところで、その異常に気がついた。
 あれ、光ってる? 今回も剣は半ばから折れ、その断面を見せている、そこをよくよく観察するとかすかな光を感じた。それは魔剣を生成したときの光にも見える。情報を並べて、数瞬考え、なるほどと得心する。
 これなら勝ち目があるかも……! 一つ布石を打つ必要があるし、危険をくぐらなくてはならない、上手くいく保障もあるわけじゃない。それでも他に策もない以上、見えた解決法にすがらない理由はなさそうだった。
 精霊兵が剣を振るう。あわせて折れた剣を出し、それを受け止めようとする、身体は完全に逃がしながら。ぱきり、と見事に折られほぼ柄だけになった剣をはなさず剣戟をくぐって再び体を密着させる。
 先ほどと同じように裏拳が飛んで来る。だが今度は避けない。腕が離れて出来た隙、ちょうどわき腹の辺りに刃が生えていた柄を当て叫ぶ。
「ヴォリュビリス!」
 最初に光が、精霊兵の身体を貫通したのを見る。次いで止まった裏拳。最後に柄に生えた刃を確かめ、一息ついて言う。
「これで、おあいこってことで」
 打たれた場所と同じ場所、剣を貫通させ勝ち誇るように笑った。



 精霊協会の長椅子に腰掛けてミズキは受付に訪れている人々を観察していた。
 もう椅子にはまるのはこりごりのようで、ヴォリュビリスは壁へと立てかける形になっている。
 撮影機は首からかけているので使おうと思えば使えるのだが、相手が気づかないうちに写真を撮るのは失礼かもしれないと考えていた。昨日のことはもう忘れた。
 想像していたよりも、一人でクエストに向かう人は少ない。大概の人が3人ないし4人のパーティを組んでいるようにみえた。またそのパーティもここに来てから知り合った人々で組んでいるのが多いらしく、微妙な距離感が面白かった。
 人を観察することは趣味のようになっていた。世界を旅して花を売っていたときも、個性的な人物に随分であったものだったが、昨日から見る限り、ここではそれらが個性(笑)で片付きそうなレベルの個性に満ち溢れている。
 普通っぽい人もいないわけではないが、見た目が普通でも中身が異常なんてのは良くある話なので油断することは命取りになる、突然首をはねられたりはしないだろうけれど。
 お姉ちゃんならどうやって人に近づくのかな。
 ミナトはおそらくこういう場面での取材も想定していただろう、だけれど彼女の仕事を見たことがないので、参考にすることは出来ない。
 ……ま、次の仕事を請けるか。
 人の姿を伝えることが難しいなら、せめて受けたクエストのことや細々としたことを伝えていくしかない。人がはけてくるのを見計らい、受付へと向かった。
 精霊兵の依頼を終らせてしまったので、残りは護衛しかなく、依頼内容を確認しながら書類へサインして明日の予定は決まった。
 礼を言って受付を離れ、ヴォリュビリスを背負って移動する。協会で聞いた噂によればゴブリンもたいしたことがないらしい、同じ名の化け物が酷く残虐な話を知っているけど、物語よりも実地の噂のほうが頼りになるだろう。
 人を襲うなら容赦するわけにはいかない

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、戦闘設定登録、精霊術設定登録
精霊術の習得
強化:攻撃能力強化 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 強化 のLvが上昇! [1→2]
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
攻撃 が上昇! [10→20]
同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
精度 が上昇! [10→20]
同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
精度 が上昇! [10→20]

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーミズキ
 [E-No.148]

プロフィール

クラス
種族
性別女性年齢21歳身長164cm体重???kg
ミズキ=カラサワ 
肩に届くぐらいの黒髪と茶色い瞳を持った女性。
幼いころからアウトドア派であり、世界各地を旅しながら花を売ったりしていた。
花屋のときはブラウスに長ズボンと動きやすい格好をしていた、花飾りはこのころから
双子の姉がいてそちらはインドア派。
その姉が新聞記者として、大きな仕事を任された直後過労で倒れてしまう。
悠々自適な生活を許してくれた姉に恩返しをしようと、姉の代わりに冒険者として精霊教会へと赴く。
新聞記者を騙るため、ブラウスに赤いネクタイをするようになった。たまにスカートも履く。

試験に合格をして装備を得たため、現在は大鋏を背負い、撮影機は首にかけている、花飾りは頭の右のほうに。
大鋏がかなり重いらしく、ふらふらと歩いている様子がよく見られる

性格は前向きで明るめ、目の前の物事に集中するタイプ、というかそれしかできない。
姉と自分を比較し、自分が劣っていると感じているがそれを直接表に出すことは少ない。ミナトのことを名前で呼ばずおねえちゃんと呼ぶ。
ミナトにはその感情を見抜かれていて、心配されている、だけれどミズキはその心配に気づいていない。
人付き合いには慣れている、人以外にも花を売ったりしていたので人以外の種族へも苦手意識は無い。

戦闘スタイルは身体を鍛えて物理で殴る。
精霊術を授かる時に声を出したため、攻撃の際には大声を上げることが多い。
ヴォリュビリスを上手く扱えないため、わりとやけくそである。


非常識というより勘違いが多く何かが間違っていることが多い。




ーーーーーーーーーーーーーーキリトリーーーーーーーーーーーーーーー

何か噂を聞きつけると、インタビューと称して突撃するかもしれません
噂を聞きつけなくても突撃するかもしれません
突撃されると喜びます、ちょっと個性薄い変な子ですが縁があればよろしくお願いします

サブプロフィール

ミナト・カラサワ
ミズキの双子の姉、現在は入院中。
新聞社に勤めて数年がたち、遊軍記者として連載「最前線」をもてることになったが、それまでの無理がたたり身体をこわしてしまう、入院しながらもミズキの取材を元に記事を書き新聞社に送っている?
元々は自分で冒険者になる予定だったのでそれなりには強いのかもしれない。
ミズキに関して複雑な感情を持っているが……


大鋏「ヴォリュビリス」
ペンで戦うと意気込むミズキが説得され用意してもらった武器。
刃の部分がかなり大きく、開いてはさむのはかなり難しい。
両手を使っても上手く扱えないので、魔剣へと組み替えて戦うことにした
旅を続けるうちになじんでくるのかもしれない。

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
1000000010200200
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
0000203.0300

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
15強化攻撃能力強化20--20--
23具現魔剣具現10101010××変形・明朝の剣
61具現魔斧具現40------××気まぐれの斧

装備品

主力:両手(武器)LvCP攻撃防御精度
大鋏「ヴォリュビリス」
精霊教会に使い慣れた形の武器がいいとリクエストし、与えられた大鋏
212000
スロット1
スロット2
スロット3
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
初心者用撮影機
操作が簡単な撮影機。主に記録に使う
210020
スロット1
スロット2
スロット3
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
花を模すお守り
気分によって見た目を変えられるお守り。現在は黄色いゼラニウムの姿
210020
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力139105505295128
補助0000

所持アイテム (1/25)

No種別装備アイテム名価値
1素材ゴブリン銅貨25
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