E-No.149
![]() | 本名:七井 みちる 通称:みちる |
- 一言メッセージ
- 初めてチームを組み、精霊兵とのスパーリングを終えたその夜。宿に戻ったみちるはベッドに座りふう、と溜息を吐いた。
「……いやいや、大分力が落ちちゃってるねえ。いくらムラサメ本体の助力無しとはいえ」
――世界渡航の際に、位相ギャップの自動修正作用が掛かったか……いずれにせよ、今は以前のように術は使えまい。再度この世界に身体を馴染ませていくしかないな。
彼女は、以前もこの世界で精霊術の使い手として戦っていたことがあった。基本的なスタイルは今と変わらず、本体と具現化したムラサメによる連携攻撃を主体とした戦法だ。相違点としては、今回は二丁のナイフから日本刀に得物を変え、ムラサメの具現化の方法もムラサメ自身を主体としたものからみちる主体へとシフトしている。
「これは一度復讐――違う違う、復習が必要かな。敵を知り己を知れば百戦危うからず、ってね」
――近く術使い同士の大会も始まる。効率よく力を上げていくには、より多くの成功体験が必要だ。
だからこそ。
「勝っておきたいねえ。可能な限り」
――知っておかねばな。より高いレベルの戦いを。
==========
……起キロ……
「ん……やだ、あと五分……」
『起キロッッッ!!』
「うわひゃあああああっ!?」
やたら甲高い声に耳元で叫ばれ、みちるは飛び起きた。その眼に映る光景は見知らぬ世界。ただ白一色で、そこには上下左右の概念すら存在しない。
「あれ……私、何で……ここは」
『ココハ――貴様の[内面世界]ッ! 貴様ハ今、現実カラ離レタ夢ノ世界ニ居ルッッ!』
声のする方へ改めて目を向けると、そこに立っていたのは奇妙な人形だった。交通事故の検証の際に使われるダミー人形……という形容が一番近いだろうか。胴体や腕には、危険を現す虎縞のテープを模したデザインの塗装が施されている。
「……内面世界……聞いたことがある、気がする。お父さんも昔、そこに至ったことがある――って」
乱れた精神と息を整えつつ、父の言葉を思い出す。そう――そこでお父さんは、お父さんのお父さん(つまり、私から見るとおじいちゃん)の記憶と出会って――。
『フム。ソコマデ理解デキテイルノナラ、今ハソレデ十分ッ! 私ノ役目ハ、貴様ノ身体ニ戦イノ記憶ヲ思イ出サセル事ッ! ――構エロ、ミチルッッ!!』
言うが早いか、人形は力を溜めた膝をぐんと伸ばし、一跳びににこちらへと近づいてくる。
「え――ちょ、待っ」
『遅イッ! ソノ遅サガ実戦デハ命取リダッ!』
みちるが刀を抜く暇も無いまま、人形は躊躇なく彼女の鳩尾に右の拳撃を放った。もろにそれを受けたみちるは、後ろに数メートル程吹っ飛ばされる。転がりながら受け身を取り、どうにか戦闘態勢に移行すると同時、刀を抜きぺっと血混じりの痰を吐いた。
「いっつ、これは強烈だぁ……」
『今ノ一撃ハ、増幅系ノ基礎精霊術[強打]ッ! 増幅系ノ術ハ、自ラノ身体能力ヲ活カシタ物理攻撃ガ主体トナルッッ!! 躱スコトヤ武装デ受ケルコトモ可能ダガ、今ノヨウナ油断ヲシテイレバ、再ビ手痛イ直撃を喰ラウコトニナルゾッッ!!』
言いながら、両手を前に押し出し追撃の構えをとる人形。それに応じてみちるも自らの影に手を触れる。
「来てっ、ムラサメ!」
『[魔力ノ槍]ッッ!!』
人形から放たれた風の一閃は、みちるを守るように立ちふさがった影に命中した。影が揺らぐのと同調するかのように、みちるの顔も苦悶に歪む。
「う……そう、だったね。私の使う具現系精霊術[精霊召喚]……私の場合は自身の影を具現化させて共に戦わせるけれど、例えどういう形態をとろうが本体と召喚された精霊のダメージはシンクロする。頭数が増えても、単純な壁とはならないってこと……だね」
『ソシテッ! 今私ガ放ッタ一撃ハ放出系ノ基礎精霊術[魔力ノ槍]ッ! 基本的ニ絶対命中デアル無属性・属性攻撃ノ術ガ多ク、安定シテダメージヲ与エルコトガデキルッッ! 対象拡大ヲ用イルコトニヨリ、一度デ複数ノ敵ニダメージヲ食ラワセラレル点モ優秀ト言エルダロウッッ!!』
二発分の痛みを押し殺しながら、みちるは精霊と共に人形への距離を詰める。
「行くよムラサメ! 左右から挟撃だっ!」
――いいだろう。
みちるは右、ムラサメは左から人形へ襲い掛かる。人形はその場から動かず、右手を前に出し再度術の発動を行った。
「えああああっ!」
――!
『甘イナッ!』
刃の切っ先が触れるかという所で、彼女の剣撃とムラサメの一撃は不可視の壁に阻まれた。数瞬の鍔迫り合いの後、みちるとムラサメは自ら後ろに跳び、迎撃態勢をとる。
「っち。防がれたか」
――否。みちると我の同時攻撃、あの木偶では完全に無傷とはいくまい――
『――イイ攻撃ダ。ナラバ、次ハッ!』
人形は腕を抱くようなポーズでマナを集中させ、そしてそれを一気に全身へと巡らせた。見た目にも細かな傷が消え、駆動部分がその役割を取り戻していく様が見て取れる。
『結界系ノ基礎精霊術[障壁結界]、ソシテ治癒系ノ基礎精霊術[回復]ッ! コノ二ツの系統ハ、事前対処ト事後対処ノ違イハアルガ、共ニ継戦能力ノ上昇ヲ目的トシタ術ヲ中心トシテ構成サレルッッ! 相手方ニ二人以上コノタイプガ存在スル場合ハ、ソレナリノ長期戦ヲ覚悟シテオイタ方ガ良イダロウッッ!!』
「そうやってくっちゃべってる余裕ある? もう一撃行くよっ!」
再びの挟撃。しかし今度は人形が両腕で受けた。がきん、と嫌な音を立て、通ったはずの攻撃が受け止められる。
「う……さっきよりも、堅い……?」
『強化系ノ基礎精霊術[均衡能力強化]。見タ目デハ分カラヌダロウガ、術使イ同士ノ戦イデハ細カナ違イガ終盤ニナルホド響イテクルッ! 各種能力ノ上昇ヲ得意分野トスルコノ系統ノ使イ手ハ、侮リガタイ存在ダッッ!!』
「くっ……まだ。一度で駄目なら、何度でも」
三度攻撃を仕掛けようとした所で、ムラサメの姿が溶けるようにしてみちるの影へ戻った。
「ちぇ、時間切れか。次の召喚でケリ着けてやる」
掌から影にマナを流し込み、再度影が盛り上がり精霊と呼ばれる姿を形作る。
「よおし、これで――終いだあああっ!!」
先程と同じく同時攻撃を仕掛けようとした所で、ムラサメの影が揺らいだ。
――ぐ、な――何、だと――
『甘イゾッッ!!』
挟み撃ちになるはずだった攻撃は、一方が掻き消えたことにより単純な斬撃となった。人形はそれを俊敏な動きで躱すと、お返しとばかりに人差し指でみちるを指す。
『――[睡眠]ッ!』
指された瞬間、ずしり、とみちるの後頭部が重くなる。戦闘中というこの状況を認識しながら、それでも意識を保つことすら困難な眠気が彼女を襲った。
(く……何故……? まだ召喚精霊の持続時間はあったはずなのに……どうして……ムラサメの霊圧が、消え……)
突然の眠気に為す術も無くみちるは倒れる。その姿を暫く見ていた人形だったが、起き上がらないことを確認するとふう、と息を吐くような仕草をし、間接の可動域を確認するように首をぐるりと回した。
==========
――上出来だ。ご苦労。
いつの間にか姿を現したムラサメが、人形に言葉をかけた。
『アア、オ疲レ様デス。……一応補足シテオキマスト、最後ニ使ッタノハ中和系基礎精霊術[減衰]ト、操作系基礎精霊術[睡眠]。中和系ハ多少扱イヅラク、漫然ト連発シテイテモアドバンテージが取リニクイ術ガ多イデスガ、相手ノ行動ニ直接干渉デキル点ヲ上手ク活カスコトガデキレバ、相手ノプランヲブチ壊スコトモ可能デスネ』
――操作系は異常全般を司る術系統、だったな。以前の大会では特に[睡眠の網]に好きにやられた事がある……可能なら霊玉等で対策をしておかせたい所だ。
『今回ハ省略シマシタガ、精製系モ多対多ニナルト侮リガタイ存在デスネ。マナノ譲渡ヤ追加効果ノ付与等、強化系トハマタ違ッタサポートガ脅威トナル系統デス』
――よし、そんなところだろう。ではまたそのうちに、な。
『……エエ。マダマダ伸ビテモラワナキャ困リマスカラネ、彼女ニハ』
そう言い残し、人形は何処かへと去って行った。
――チュートリアルはこんな所か。
涎を垂らし、気持ちよさげに眠るみちるを見下げながら、ムラサメは彼女の影へと戻っていった。
――強くなれ。いずれ我に喰われる未来のために。
お知らせ
- 登録状況
- 【クエスト】継続登録、戦闘設定登録、セリフ登録、精霊術設定登録
- 精霊術の習得
- 具現:火の行使 を習得!
- スキルの鍛練
- 鍛練によって 具現 のLvが上昇! [3→4]
- 装備品の強化
- 同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
→ 攻撃 が上昇! [10→20] - 同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
→ 攻撃 が上昇! [10→20] - 同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
→ 精度 が上昇! [10→20]
クエスト
クエスト名 | 精霊街道−隊商護衛【戦闘結果】 | |||
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パーティ名 | ![]() | Round of Chaos Elemental [P-No.95] | ||
メンバー | ![]() | トライ [E-No.95] | ![]() | みちる [E-No.149] |
![]() | セラゆき [E-No.756] | ![]() | ヒーレ [E-No.980] |
プロフィール
クラス | 呪術師見習い | ||||||
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種族 | 人間 | ||||||
性別 | 女性 | 年齢 | 14歳 | 身長 | 154cm | 体重 | 48kg |
元呪術師の父をもつ少女。その血は確かに受け継がれており、技術は未熟ながらもポテンシャルは高い。
おかっぱ頭の眼鏡っ子。父親大好きのファザコン。母親に対しては、ちょっと複雑な感情をもつ。
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『通天閣倒壊事件』の主犯格。
ヒステリーを起こす度に方々で暴れまわるため、その筋では『国道2号線の悪魔』『道頓堀の魔女』『南港の狂犬』等々、多くの異名で呼ばれる。
おかっぱ頭の眼鏡っ子。父親大好きのファザコン。母親に対しては、ちょっと複雑な感情をもつ。
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『通天閣倒壊事件』の主犯格。
ヒステリーを起こす度に方々で暴れまわるため、その筋では『国道2号線の悪魔』『道頓堀の魔女』『南港の狂犬』等々、多くの異名で呼ばれる。
アイコン一覧
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サブプロフィール

・ムラサメ
『村雨』の血に潜む化物。かつて埒外の強さを振るい、彼の住まう世界の大陸のおよそ10%を消し飛ばした。その後、世界中の術師が結集して行われた術式により厳重に封じられるが、永き時を経て再び世に蘇った。
とはいえ、その復活はまだ完全なものではなく、今はみちるの身体に間借りしている状態。
==========
『通天閣倒壊事件』の共犯者。
今のところ、表向きはみちるにいいように使われている。
『村雨』の血に潜む化物。かつて埒外の強さを振るい、彼の住まう世界の大陸のおよそ10%を消し飛ばした。その後、世界中の術師が結集して行われた術式により厳重に封じられるが、永き時を経て再び世に蘇った。
とはいえ、その復活はまだ完全なものではなく、今はみちるの身体に間借りしている状態。
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『通天閣倒壊事件』の共犯者。
今のところ、表向きはみちるにいいように使われている。
ステータス
HP | 火MP | 水MP | 風MP | 土MP | MP増加量 | スタミナ | 素質P | GP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1000 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 20 | 0 | 200 |
増幅 | 放出 | 治癒 | 結界 | 強化 | 操作 | 具現 | 中和 | 精製 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5.03 | 0 | 0 |
精霊術
術No | 系統 | 種別 | MPコスト | 対象 拡大 | 対抗 発動 | 術名 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
火 | 水 | 風 | 土 | ||||||
22 | 具現 | 精霊召喚 | 10 | 10 | 10 | 10 | × | × | 影具現 |
44 | 具現 | 治癒精霊召喚 | -- | 40 | -- | -- | × | × | 影具現(青) |
1383 | 具現 | 火の行使 | 40 | -- | -- | -- | × | × |
装備品
主力:両手(武器) | Lv | CP | 攻撃 | 防御 | 精度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 1 | 20 | 0 | 0 | ||
スロット1 | |||||||
スロット2 | |||||||
スロット3 |
補助:補具(防具) | Lv | CP | 攻撃 | 防御 | 精度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 1 | 20 | 0 | 0 | ||
スロット1 | |||||||
スロット2 | |||||||
スロット3 |
防具:軽装(防具) | Lv | CP | 攻撃 | 防御 | 精度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 1 | 0 | 0 | 20 | ||
スロット1 | |||||||
スロット2 | |||||||
スロット3 |
攻撃力 | 命中力 | 受け 防御力 | 受け 成功力 | 防御力 | 回避力 | |
---|---|---|---|---|---|---|
主力 | 140 | 105 | 50 | 52 | 95 | 126 |
補助 | 0 | 0 | 0 | 0 |
所持アイテム (1/25)
No | 種別 | 装備 | アイテム名 | 価値 |
---|---|---|---|---|
1 | 素材 | ゴブリン銅貨 | 25 |