精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.330 (第3回:2012/9/29)

E-No.330

本名:クァール
通称:クァール

【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ

      ぱたぱたと、窓を打つ雨の音で目が覚める。

      ベッドに寝そべったまま 窓から空を見上げると、
      厚く広がった雲に遮られた、か細く弱々しい陽の光が目に入る。
      ほの暗く照らされた時計を見ると、5時を30分ほど過ぎていた。


      ( ああ、もう朝か… )


      ゆっくりと身体を起こし、一息吸って大きく伸びをする。
      まだ靄の掛かっている頭を振るい、無理矢理に意識を覚醒させる。

      上掛け布団を脇に押しやって足を放り出し、ベッドに腰掛けた状態になると、
      傍のナイトテーブルからスリッカーブラシを手に取り、軽く毛を梳いてゆく。

      腕、肩、首筋、脇腹、脚…そして尻尾と、全身をくまなく梳いて、抜けた毛を絡め取る。
      ブラシに纏わり付いた死毛を一瞥すると、丸めて毛玉にし、ゴミ箱に放り込む。


      いつの頃からか身に付いた、起き抜けのブラッシングの習慣。
      日課のようになったとは言っても、決して好き好んでやっている訳ではなかった。


      故郷で暮らしていた時は、抜け毛なんて気にしたこともなかった。
      風に吹かれ、自然に散るままに任せておけばよかった。

      街で暮らすなら…家に住み留まるならば、そうはいかない。
      抜けて床に落ちた毛は、いつまでも消えずに留まり続け、見苦しい埃となる。
      土に還ることなく、不必要なものとして、ひとの手で排除しなければならない。

      それに、まだ、慣れない。


      ベッドから立ち上がってズボンを履き、寝室を出る。
      6時を回ったというのに、家の中は薄暗いままだ。

      壁際に置かれた、電灯のスイッチを入れる。


      点かない。


      ( ………。 そうか。先生は、昨日から出かけてたんだっけ。 )


      この家にある様々な道具は、先生のものだ。
      どの道具も、電気という仕組みで動いているらしい。

      電気で灯りを点けるランプ。
      電気で火を起こすコンロ。
      電気で埃を集めるホウキ。

      でも、どれも先生が居ないと動かない。
      先生が、その電気というものを道具に供することで、道具が働くそうだ。

      俺にはそれが、魔法と どう違うのか良く判らない。
      けれど、先生に言わせると全然違うものらしい。
      ともかく、魔法や精霊力とはまた違った仕組みで動くもの。

      俺には、使い方は判っても、理屈はその程度しか判らなかった。

      故郷のセルフォリーフでも、似たような、電気で動く機械仕掛けの道具を見かけたことはある。
      けれどそれは、別の分割世界から持ち込まれたものばかりだった。
      確か、アンテ… なんだっけ? 世界の名前は忘れてしまったけれど、
      そういう電気の道具を使う世界…機械の世界がある… ''あった'' らしい。


      ( もしかしたら… 先生は、そんな世界の出身だったりするんだろうか?
       それとも、そんな世界を旅したことがあったのかなぁ…? )


      そんなことをぼんやりと思いながら、
      ランプに菜種油を注ぎ、マッチを擦って芯に火を灯す。
      マッチの燃えた硫黄の臭いと、ランプの油の焦げる臭いが部屋に篭る。

      火掻き棒を使って、ランプを天井に吊るす。
      ゆらゆらとゆれるランプの光で、棚やテーブルや椅子の影が揺れる。

      ( ………。掃除でもしておこう。 )


      箒で埃を掃き取ってゆく。
      やっぱり、毛が多い。
      いくら身繕いをしていても、家の中ではどうしても溜まっていってしまう。

      一通り掃除を終える。
      時計は8時を指している。


      ( ………。そういえば、起きてからまだ何も食べてなかったや 。)


      キッチンで冷蔵庫の扉を開ける。
      ヴヴヴヴンと低い音を響かせる。

      これだけは、先生が居ないあいだもしばらく動くような仕組みになっている。
      俺は、先生の道具の中では、これがいちばん素晴らしいものだと思ってる。
      この道具のおかげで、傷み易い食材も気軽に扱える。

      冷蔵庫の冷たい風が、毛皮の上から身体を冷やしてゆく。

      コンロの方を見る。先生が居ないと、火を起こすところから始めないといけない。


      ( 面倒くさいな…。 これでいいや。 )


      手前にあったニンジンとリンゴを手に取る。


      ダイニングルームに戻るのも面倒になり、キッチンの椅子にもたれかかって齧る。

      がじり。とニンジンを齧る。
      ほのかな甘みと、舌に残る皮のざらつきを飲み下す。

      ( ………。皮くらい、剥けばよかったかな。 )


      がじり。とリンゴを齧る。
      ぱさっとした歯触りと、僅かに残った甘酸っぱい香りが口の中に澱む。

      ( 少し、古くなってたかな? 先生に出さなくてよかった。 )


      時計を見ると、9時になろうとしていた。
      空は、相変わらず黒く厚い雲で覆われている。


      ( ………。 雨の日は、嫌だな。 )


      晴れていれば、洗濯もできるし、水汲みにもいけるし、買い物にもいける。

      雨の日は、家でじっとしているしかない。

      身体を動かしているあいだは、働いているあいだは、忘れられる。
      働けないと、じっとしていると、思い出してしまう。


      自分が ひとり だということを。


      何もやる気が起こらず、机に突っ伏したまま、ぼうっと窓の外を眺める。


      ( ………。 俺、いつからこんなに怠け者になったんだろう? )


      ふたたび、時計を見る。


      先生、確か昼過ぎには帰ってくるって言ってた。
      戻ってきて昼食を取ったら、午後から精霊協会の依頼に行く予定だって。

      お昼の献立は何にしようか…?
      鶏肉とキノコがあったから、パエリアにしようか? それともクリームパスタの方がいいかな?
      あんまり早く用意しても料理が冷めちゃうし、10時くらいから準備を始めればいいよね…


      ( 少し、疲れたなぁ… ちょっとだけ眠ろうか。 )


      そう思って、テーブルに伏せたまま目を閉じる。


      ぱたぱたぱたと窓を打つ雨の音
      かちりかりちと時を刻む時計の針
      とくんとくんと脈打つ自分の鼓動


      目を閉じると、耳障りに響く。


      ぱたぱたぱた かちりかちり とくんとくん


      ( うるさいなぁ… )


      ぱたぱたぱた かちりかちり とくんとくん


      ( ああ、うるさいよ。 静かにしてくれ。 )


      ぱたぱたぱた かちりかちり とくんとくん


      ( もう、いいから…  静かに、なってくれ… )



      ………


      ……


      …


--------------------------------



      ― がちゃり ―


      唐突に、鍵を開ける音が聞こえた


      ( ん…? ああ。先生、帰ってきたんだ。 )


      時計に目をやると、13時を過ぎている


      ( もう、こんな時間なのか… )


      '' それ '' に気付き、一気に目が覚めて、弾かれたように椅子から立ち上がる


      ( えっ?! 先生、帰ってきたの!? マズいッ!! )


「ただいま にゃ〜わん! 帰ってくるのちょっと遅くなっちゃった。ゴメンね☆ 
 さ、ご飯食べたら研究所に行こっ♪」


  ― もちろん ―


「え゛っ… あ。 いや… その…ッ!」


  ― 寝こけていたので ―



「………?」


  ― 出来ているはずがなかった ―


「先生… ごめんなさいっ!」


平謝りしつつ、ちらりと窓の外を見ると、
いつの間にか雨は止んで、雲間から太陽が顔を覗かせていた。

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録
精霊術の習得
強化:防御能力強化 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 中和 のLvが上昇! [1→2]
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
精度 が上昇! [10→20]
同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
精度 が上昇! [10→20]
同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
精度 が上昇! [10→20]
メッセージ送信
クァール [330]1件 のメッセージを送信!

メッセージ

クァール [330]

「しくしく… お昼ごはん楽しみにしてたのに、パンとチーズと水だけだなんて…」


「先生、悪かったって。 機嫌、直してよ。ホラ、お詫びに夕飯は先生の食べたいもの作るからさ!」


「ホント?! じゃあ きつね、テリーヌがいいっ♪ エビとホタテと野菜がたっぷり入ったやつ!!」



「………。」

(先生、ここぞとばかりに手間のかかる料理を指定してくるなぁ。
 あれ、食材を全部別々に下ごしらえしないといけないし、
 コンソメも作らないといけないしで、すごく面倒くさいんだけど…)


「………。ダメなの?」

「めそめそ」


「あー! 判ったよ!作るよ!作らせて頂きますっ!
それじゃあ依頼が終わったら、材料を買って帰ろうよ、先生。」


「やった〜☆ ありがと!にゃ〜わん♪」

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバークァール
 [E-No.330]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢17歳身長160cm体重51kg
緑色の髪に赤紫の毛並みの、獣人の少年。
犬と猫を混ぜたような容姿をしている。
耳は猫のように広くて大きいが、
尾は犬のようにふんわりしている。
手や指は人間と同様の形状だが、
足はいわゆる逆関節の獣脚。

生を受けた時は獣人の姿だが、
年を経るごとに獣の身体へと変化してゆく種族。
完全な獣となるまでの時間には個人差があり、
生涯獣人の姿を保つ者もいれば、若くして獣となる者もいる。

身に纏う衣服は、簡素なケープとフリンジ付きのズボン。
そして、羽根飾りの付いた髪留。


分割世界のひとつ、躍動の世界 セルフォリーフの出身。
数ヶ月前に起こった分割世界群の崩壊により、
それらの世界群と共に消え行く運命ではあったが、
奇縁で狐に拾われて、ここハイデルベルクに移り住むこととなった。


幼い頃に両親を亡くしており、
姉が親代わりとなって彼の面倒を見ていた。
唯一の肉親であり、狩りの名手でもあった姉を慕っていたが、
数年前、その姉が突然行方知れずとなり、彼は姉を探す旅をしていた。

ハイデルベルクに移り住んだ後も、姉の身を案じ続けてはいるが、
いまの彼に、その安否を確かめるすべは無い。


懐かしむ故郷も、敬愛する姉も失った少年は、
 独り異邦の地で 何を想い 何を願うのか…


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精霊協会への所属資格は狐が所持しており、
クァールはその助手として共に行動している。

狐からは『にゃ〜わん』と呼ばれているが、
恥ずかしいので勘弁して欲しいと思っている。

アイコン一覧

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サブプロフィール

■緋色の狐
(アイコンNo.11-17&20)

クラス:ライブラリアン
 種族:キツネ?
 性別:男性
 年齢:? ? 歳
 身長:92cm
 体重:6kg


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見た目ごく普通の喋る狐。

喋ってる時点で普通では無い気もしますが、
突っ込みは不許可。


2足歩行も可能。もちろん前足で物も掴めます。

どう見ても普通の狐では無い気がします。
本当にありがとうございました。


 まぁ、キツネだし。


お気楽極楽♪ お遊戯気分でのんびり協会の依頼をこなしてます☆


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中和と精製の精霊術を得意とする狐。
精霊協会所属資格を有しているのは狐の方で、
クァールはその助手という扱い。

戦闘では、狐が術を行使しつつ相手の注意を引き付け、
その隙にクアールが攻撃するというスタイル。

クァールからは『先生』と呼ばれているが、
むずむずして落ち着かないので止めて欲しいと思っている。

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
1000000010200200
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
00001002.311.82

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
16強化防御能力強化--20--20
25中和解除10101010
30精製武器魔力付与20--20--

装備品

主力:片手(武器)LvCP攻撃防御精度
絶塵の刺衝
マナを矢として番える魔具。理力の矢弾は、塵も立たぬほど疾く翔ける。クァールの装備品。
210020
スロット1
スロット2
スロット3
補助:盾(防具)LvCP攻撃防御精度
司書の腕章
魂の名前が刻まれた、天鵞絨の腕章。狐の装備品。魔法書架への扉を開く鍵。知識こそ光。
210020
スロット1
スロット2
スロット3
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
躍動の羽根飾
大型の猛禽類の尾羽根が2枚飾られた髪留め。怯まぬ勇気を示した証。クァールの装備品。
210020
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力105115505795125
補助00105115

所持アイテム (0/25)

No種別装備アイテム名価値
所持アイテムはありません
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