精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.96 (第3回:2012/9/29)

E-No.96

本名:キワコ
通称:キワコ

【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ
XX年XX月XX日 --(数十年前、まだオッフェンレンツが先代の日付である)--
エトガル・レオ・テオ・ヤークトヴァルト
若く血気盛んな若者であるエトガルは、変革を掲げ
友人と共にサロンに人を集め、反精霊的思想を説く。
定期的に集会を催し、不道徳の罪で摘発されるも
名士の子息であるエトガルを正規の法で裁くことは出来ず
交渉までその身柄を拘束する運びとなった。









                   -地下牢にて-



・・・
裁判の日刻まで、私の身柄を預かる事を申し出たのは近隣領オッフェンレンツの当主だった。
オッフェンレンツの当主は人格者だ。
私が案内された部屋も、地下牢と言っても、牢らしいつくりを持たぬ単なる貯蔵庫だった。
人間の尊厳を傷つけるものはなく人の寄り付かぬ部屋を貸したというに過ぎないのだろう。
貯蔵庫に並べられた保存食の数々、熟成中のワイン等に手を出したとしても強くとがめられない。…
陽の光に当たらないでいるのはストレスだった。
こんな所にいる訳には行かない…
いつまで無為な時間を過ごせばよいのか、焦りを感じる。
焦燥と退屈と静寂が交じり合って、耐えかねて
私はスプーンでワインの瓶を軽く叩いた。
甲高い音がした。もう一いっぺん叩いた。同じ音がした。
キン、キン、キン、規則的に叩いた。
縦に振っていた動きを変えて、横に振ってみた。
瓶と、隣の瓶との間をスプーンが行き来し、キン、カン、キン、カンと僅かに違う音が交互に鳴る。
私はそのまま、スプーンを上下に振りながら、どんどんワインの棚を歩いていった。
キン、カン、コン、キン、ゴン、ドン、ピン、カン、コン…

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初めの内私は
時間は手の中にあるのだから、なるべく思索に励もうと思ったものだがそう上手くはいかなかった。
地下の息苦しさと硬い床では、直ぐに身体的な不快感が思考を妨げるのだ。
私に堪え性がない為だろうが、出来ないものは仕方ない。
仕方なく私は昨日叩いたワインの瓶を、失敬して棚から取り出し、
順番に、音の高い順からずらりと並べた。
キン、カン、コン
キン、カン、コン
ドン、ピン、カン、コン、
コン、キン、カン
的外れな音階だろうが、簡単な祭りの歌を思い浮かべて
それに則ったリズムで瓶をたたくと、ほんの少し、頭の中に音楽が流れた。

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小石を石壁にぶつけ、柱を叩き、瓶を奏でる。
退屈だが、手慰みは必要だ。カカカカン、カカカカン…
・・・
私の奏でるメロディに応えるように、同じ旋律で、子供の歌声が聞こえた。
数秒の間を置いて、それが頭の中に流れる音楽ではないと気がついた。
私はハッとして顔を上げた。
そこには、胡坐をかいた私を見下ろす様にして、世にも美しい子供が立っていた。
花に透かして見る柔らかな光の様な眼光に、上等なワインの雫の様な唇
透き通った肌と流れるような黒髪、あどけない、骨の存在を思わせない丸みを帯びた手足。
目が合うと、花開くような、不思議な感動があった。
形容するなら「美しさを感じる」という感覚だろうが…

驚き竦み、私は思わず後ずさりした。
私の行動につられるように子供も身を引いて、ワインの棚の影へと消えていく。
呆気にとられた私は後を追うことができなかった。

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幻を追っていくと常軌を逸した世界に迷い込む。
私は自分自身の意識に対する信頼を無くした。
もしかするともう孤独に耐えかねて、陽の無いこんな地下の影を
人影に仕立て上げたのかもしれない。
それも、友の何れでもなく、母や父や恩師でもなく、あんな子供を必要とするのなら
自分の意識は何か…さもしい。

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しかし、追わずとも、幻は訪れた。それは次第に実体を持った。
音楽を鳴らせば顔を出す…
オッフェンレンツは精霊の祝福を受ける土地と聞く。
あの子供は、もしや私が人生で始めて交友を持つ精霊なのかもしれない。
いや、そこに確かに存在していると理解するにつれ、ただの子供にも思えてきた。
子供…こんな地下に
もしもあの子供がこの地下牢を自由に出入りできるなら、興味をそそられない訳が無い。
私には身分がある。身分がある以上、脱走は目的ではない。
だが・・・。

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子供…少女、は、およそ子供らしくもない貴婦人の様な上品な歩き方で現れる。
私は意を決して一つ胸に息を吸い込んでから、
努めて驚かさないように、静かな声で少女に話しかけた。
内容は何でも良かったのだが、とりあえず

「何をしているのか?」と。

少女は何も応えず、ただ、困ったように視線を泳がせた。私は続けて

「お屋敷の子供かい?」と尋ねるた。

すると、少女は泳がせていた視線を次第に私に戻し、今度は、控えめに頷いた。

「一緒に食事でもしていかないか」といって、保存食の袋を広げると

少女は四つんばいになって、おずおずとこちらへ近寄って来た。
少女は保存食と、私の顔とを交互に見る。私は保存食から手を離し

「食べていいよ、食欲はないんだから。」と言った。

少女は硬パンをポケットに入れる。

「食べないのかい」と尋ねると

妖精さんにあげる、と応えた。

妖精。
私が思わずくっくと笑うと、少女の顔も綻んだ。
そして少女は私の顔に口づけをした。
挨拶や、親愛の表現のそれではない。
唇に吸いつき、舐り、体の中に沈み込もうとするような、婦人の――いや、娼婦の、…
突然の事に驚いて、――今思い出しても胸が痛むが、私は少女を引っ叩いてしまった。
払い退けられた少女は、頬を押えて、呆然としている。
大きく見開かれた目から、はらはらと涙が零れ落ちた。
その仕草が妙に大人びていて、ぞっとした。
子供の癖に――声ひとつあげず、息の音すら立てず、最も優雅に泣こうとする。
…。
恐怖とは別に私は自分のした事を後悔して、直ぐに少女に謝った。
すると少女は困惑した表情で

「キワコ.スキ?」

と言ったのだった。



・・・
少女の言った事の意味が解らずに沈黙していると、
少女は頬を抑えたまま、後ずさり、そのまま踵を返して走り去ってしまった。
いつもよりも幾分粗い、少しは子供らしさに近づいた走り方だった。
子供の軽い足音が遠くなり、聞こえなくなった時…
俄かにブワッ、と、体中に鳥肌が立った。
後に残された私を、獣の唸り声が包んだ。
幻聴だろうか、いや、その時は確かに聞こえた。
耳元や、部屋の隅で、液体を啜る様な音の混じった唸り声が…

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私は申し訳ない気持ちを持ちながら、
それでもいつものように音楽を奏でてみた。
いつものように、少女は現れた。
その顔は少し曇っていたが、別段怒っていると言う訳でもなさそうだった。

「昨日は悪かったね」と、私は微笑みかけた。そして、

「おわびに、私が子供の頃、父から聞いたおとぎばなしをしてあげよう」と言った。

子供の機嫌の取り方といって、思いつく事はこの位だった。
安易な提案だったが、少女の心は掴めたようで、私がお話の冒頭を語りだすと
少女は腰を下ろし、傍らの壁に首をもたげて私の話に聞き入った。
私は覚えている限りの伝承を語った。愚かな争いの笑い話や、永遠を誓った恋人達の幸福だったことなど…
記憶が曖昧になっているところは創作した。
私が四つか五つか話を終わった頃、気がつくと少女は眠っていた。
私は…
ひょっとすると少女がこの牢の鍵か何か持っているかと、探るつもりで…いや、そうではないだろう。
何故そうしたのだろう。
私は眠っている少女の腕に自らのてのひらを擦り合わせた。
すると、再び全身総毛だった。触れた、右のてのひらから伝染するように
痛みと寒気の中間の様な、極弱い何かが走り抜けた。
少女は一体、何だろうか

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(数ページにわたる不自然な空白が文字の消失を思わせる)

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父による私の引取りが成立したのは6ヵ月後の事だった。
その知らせを聞いたとき、やっと出られるという喜びよりも
むしろもう…という気持ちが一番に来て…私は、
私は自分自身が、もう少しここに居たいと思っている事に恐怖した。
"キワコ"の他に何も無い地下牢に。
・・・
開放された私を沢山の友人が迎えてくれた。
だが私は、親しかったはずの彼らをほとんど初めて会う人間のように感じた。
彼等は私が全くの健康体である事に驚いていた。
私と共に拘束された友人は、気を病んだらしいのだ。
聞けば、彼と私は全く同じ様な待遇であったらしいが、私達の違いは…性格だろうか、それとも

私は時折彼女の夢を見る。
雪のような肌は、触れば触るほどに沈み込んでいく。飲み込まれるほどに柔らかい。

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秋の始まり、決まって私は自分の屋敷の地下を徘徊する。
彼女が紛れ込んでやしないかと、地下の影を探してしまうのだ。
…無益な事だ。彼女と再会して、どうしたいと言うようなこともないのに。

・・・
ある年の秋、私が幽鬼の足取りで地下牢を彷徨っていると、一羽の小鳥が眠っていた。
鼠や鼬ならいざ知らず、こんな地下に鳥とは…と、そっと布をかぶせ捕まえてみた。
すると、布の中で暖かな楕円形のふくらみが、"あの"動物の声でうなったのだ。
驚いて思わず手を離すと、布は地べたに被さり、平らになった。
布を持ち上げると、小鳥は跡形もなく消えていた。
…彼女の面影を見たのはそれが最初で最後だった。
だが、私の中に芽生えたのは確かな形を持った恋心だった。

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     (ある、寝苦しい夜、私は自分のいびき声で眠りから呼び覚まされた。
      それは獣の唸り声に似た。暗闇の中、液体を啜るような音の混じった唸り声だった)






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お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録、プロフィール登録、セリフ登録、精霊術設定登録、サブクエスト登録
精霊術の習得
増幅:防御 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 増幅 のLvが上昇! [3→4]
GPの送付
サエトラ [108]100GP を送付!
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
攻撃 が上昇! [8→16]
精度 が上昇! [2→4]
同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
攻撃 が上昇! [10→20]
同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
防御 が上昇! [5→10]
精度 が上昇! [5→10]
メッセージ送信
キワコ [96]1件 のメッセージを送信!

メッセージ

キワコ [96]
               私は時折彼女の夢を見る。
雪のような肌は、触れば触るほどに沈み込んでいく。飲み込まれるほどに柔らかい。
             美しく、優しく、私を愛している。
サエトラ [108]
「!おや。」
(糸くずを追ったキワコの指先を目で追って)
「ふふ、キワコの注意を引こうとした妖精にとられてしまったかな。
わたしには見えない友達が、今日もたくさん傍にいるんだね。キワコ」
「硬い髪の人生はね…そうだね、朝が来て、鏡を見るたびにびっくりすると思うよ。
硬いというか、わたしの場合は…なんだろうね?明らかに重力に逆らっているんだよね。
これも家系なんだけど…。」
(屋敷にあるものを羅列してゆくキワコの姿に、ふ、と笑って)
「キワコ!
ふふ、そうだね。カサブランカは切ってあげる。トモリの骨も、きっとくれるよ。
ただ、ペーター様の挿絵はどうかなあ…」
「…キワコはあの屋敷が本当に好きなんだね。わたしも好きだよ。
お屋敷のことも、ペーター様、トモリ、キワコのことも。
もう少し、キワコの周りにいる妖精たちとも仲良くなれたらいいんだけどな…」
ペーター [172]
「ありがとう、キワコ。君なくしては、僕はあの家をもっと早くだめにしてしまっていただろう。……お金も少しずつ増えていく、きっとどこかで、お屋敷のことも、一つの区切りをつけるからね」

「そうだね、妖精たちも近ごろはずいぶんと元気だ。嬉しいよ。
 ……耳を澄ますと、お皿をこする音。僕ではああうまくはできない、お皿こすりなんて」


「……」

「辞めた彼らも、きっと帰ってくるさ。今はまだ、家のことが、少し心配なだけなんだ。
 彼らに心配されないような、立派な、きちんとした、隙のない、増築の余地ない、完結した家にすれば、きっとまた、働きたいと戻ってくる」


「それまで、胡桃は隠しておかなくてはね」
トモリ [272]

「えっ」

(しばらく、どうしたものかと戸惑い顔で聞いていたが、キワコが笑うのに合わせて安心したように笑みをこぼした)

(人の多さに、ペンを取り出そうにも上手くいかず…… 喧騒を避けるように、少し顔を近づけて)

「おぇも 、 だ  めだ。 ひ と、 ごみ、 わ。(耳を指で示し)あ、た、ま、   いた、く 、  な る」
「 で、 も、 な  な、 いと」
「かぃ、もの。 は、 やめ  に、  すま 、、そう」

(前に立ち、人並みをかきわけるような調子で歩きはじめる。
 キワコの前に、手袋をした手のひらが、そっと差し出された)

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーキワコ
 [E-No.96]
サエトラ
 [E-No.108]
ペーター
 [E-No.172]
トモリ
 [E-No.272]

プロフィール

クラス
種族
性別女性年齢???歳身長160cm体重50kg
ハイデルベルクから馬で二日くらいの距離に広がる田園地帯を治めるオッフェンレンツ家の使用人。
//関係人物// Eno108 サエトラ Eno172ペーター Eno272徒守

❀屋敷妖精をまとめるメイド長。
使役している訳ではなく、仕事の割り振りやトラブルが起きた時に仲裁するような緩い責任者。
妖精・精霊・その他霊的なものとの意思疎通が得意すぎて、人間と会話が成り立ち難い。
あまり外には出ないで屋敷の中に篭もっている。
ふわふわ天然 ❀ 動物好きで傷つきやすい。

✿ながい髪の毛は影のように屋敷中をするすると移動する
辿っていくとキワコが見つかる 踏むとどこかで物音がする アリアドネの糸ごっこもラプンツェルごっこも出来る

❆物質やエネルギー、ものものの「結びつき」を増幅させる術を使う。
妖精その他の霊的存在との交渉の他、
空気中に漂う精霊力と身のまわりのものを結合させて精霊もどきの異形を産み出したり、
妖精・精霊・異型の力を借りて(結びつき)魔物等を撃退する。





(アイコンNo9はEno281ロジーヌ・リアブチンスカさんの
 精霊伝説用フリーアイコンをお借りしています
 http://rainpark.sub.jp/palir/loeiconfree.html)

(アイコンNo10はパーティ掲示板用!)

アイコン一覧

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サブプロフィール

オッフェンレンツ邸 内装

1-暖炉のある部屋

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
1000000010200200
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
5.0300000000

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
1増幅強打40------××トランス✿イッパイアシ
2増幅連撃----40--××トランス❀ヨゴレモノオクチ
3増幅防御------40×

装備品

主力:両手(武器)LvCP攻撃防御精度
✿トランス・パレンツ✿
トランス:変化 パレンツ:親 トランスパレンツ:透明
211604
スロット1
スロット2
スロット3
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
❅妖精伝説❅
だれかがはなしてきかせたよ やしきのなか ねものがたり いきをひそめたようだけど
212000
スロット1
スロット2
スロット3
防具:中装(防具)LvCP攻撃防御精度
❆極壷❆
ドウブツノ ウナリゴエ キコエルヨ
2101010
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1391075053111111
補助0000

所持アイテム (0/25)

No種別装備アイテム名価値
所持アイテムはありません
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