精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.269 (第3回:2012/9/29)

E-No.269

本名:ゼーレ・フェアリュクトハイト
通称:ゼーレ

【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ
どこかで見た気がする男だった。
多分覚えていたのは髪の色。
綺麗な碧の髪の色。

雨のあの日。
血と泥の匂い。
痛めつけられる男。
悲鳴。
そして。

思い出した。
あの時の、男だ。

* * * * * 

碧の髪の男、トレゾアは子連れになっていた。
青い髪の男の子と金髪の…これは、人形だろうか。
無機質な表情の少女に、ゼーレは興味を引かれた。
なので少女が一人になる隙を狙って声を掛ける。
トレゾアが一緒にいると何かと五月蝿そうだからだ。

「はぁい、お嬢さん。暇かしラ?」
「?」
「あたしゼーレちゃん。貴女のお名前は?」
「……」

トレゾアの教育の賜物だろうか。
金髪のお人形さんは自分に警戒心を抱いている。
それは見てすぐに分った。
まぁ自分の外見を思えば無理も無い話しかもしれない。

「貴女、トレゾアの所の子でしょ?」
「! トレゾア シッテル?」
「シッテるシッテる。オ揃イオ揃イ」

おどけて言葉を真似てみても目の前の少女の顔に笑みは浮かばない。
自分とは正反対の表情の持ち主なのだろう。
いやもしかしたら全ての感情がないのだろうか。
とても面白い。
そうゼーレは思った。

「トレゾアはお仕事中だから、ちゃんと宿屋で待ってないと駄目だよ?」
「デモ…」
「この街は治安が悪いかラ。貴女みたいな可愛い子攫わレちゃう!」

きゃー!と身を震わせながら笑って言ってもやはりこのお人形さんはきょとんとしている。
すっと手を伸ばして頬に触れようとしたが、それよりも少女の動きの方が早かった。
中途半端に浮いた腕がむなしい。

「宿屋に帰リたくない理由でもあルのかな?」
「………」
「ふふ、冒険しちゃう?」
「………」
「でも一人は駄目だよ?ゼーレちゃんが一緒に行ってあげル」

多分あの男の事だからずっと宿屋に籠ってろとでも言ったのだろう。
もしくは何か理由があるのか。
人の表情から感情を読むのは得意だが、何分彼女は人形だ。
どうも表情が読めない。

「お洋服が欲しいのかな?」
「フク?」
「女の子だもの、可愛いの着たいよね?」

恐らく少女が着ているのはトレゾアの服だろう。
ただ肌を隠すだけの服を着ている。
男物の極めてシンプルなシャツとズボンだ。
…恐らくトレゾアは気付いていない。

『…マニア向けの格好、だよねぇ』

今の彼女は男物の服を着る少女にしか見えない。
こんな格好でこの街に出たらそれこそ誘拐されるか何されるか。
まぁ人形としてその機能がついているかは分らない。
ただこれだけ珍しい形態の人形だ。
欲しがる金持ちはいくらでもいるだろう。

「フク リビ ト カッタ」
「あレ?そレは着ないの?」
「………」
「あぁ、最初はトレゾアに見せたいのかな?」
「…」

こくりと頷く少女にゼーレは笑顔で頷いた。
多分少女の感情ではなく、リビ…確か青い髪の少年の名前だったろうか。
その少年の入れ知恵だろう。
ゼーレはぞくりとする。
少女が想像以上に純粋だからだ。

『これは…いいね…』

無意識にペロリと唇を舐める。
これは面白い。
とても良い玩具を見つけた。
この少女に様々な事を教えたらどれだけ楽しいのだろう。
勿論、常識的な事ではない。
非道徳的な事も、この少女なら何も疑わずにするだろう。
何も感じず、何も考えないこの人形が血に濡れた姿を想像する。

『堪らない』

先ほどから背筋を走るぞくぞくとした物が止まらない。
どんな事よりも気持ちが良いその刺激に、ゼーレは身を委ねてしまいたい気持ちを抑える。
まずは目の前の少女の信頼を得ねばならない。

「お洋服じゃなかったラ、何か他に欲しいものがあルのかな?」
「………」
「お買い物はお金ないと出来ないよ?持ってル?」
「オカネ」
「そう、こんなの」

そう言うとゼーレは宙を掴み、そしてその手を振りながら少女の前に突き出す。
ゆっくりを拳を開けば、そこには数枚の金貨が乗っていた。

「!?」
「ふふ、びっくリした?」
「? ?」

少女はゼーレが掴んだ場所と手の上の金貨を何度も顔を往復させて見ている。
こういう奇術は初めて見たのだろう。
不思議そうに宙を掴んでは自分の掌を見ている。

「で。こレ。持ってルの?」
「…モッテ ナイ」
「ふむ…」

そう言うとゼーレは腕を組み、こつこつとクロスさせた足を鳴らした。
石畳の上の義足はとてもよく響く。
少し考えてからゼーレは「何が欲しいの?」と少女に聞いた。

「…キズグスリ」
「傷薬?誰か怪我したの?」

そう問いかけると少女はふるふると首を横に振った。
連動して揺れる金髪はまるで秋の小麦畑を抜ける風のようだ。

「予備がなくなった?」
「…トレゾア ケガシテ カエッテクル」
「ん?」
「ダカラ クスリ ヨウイ スル」

あぁそういえば彼の今の仕事は少々きな臭いものだったか。
下手な傭兵が行くと簡単に死んでしまうような内容だったはず。
確かに手馴れたトレゾアでも無傷で帰ってくるのは難しいだろう。

「デモ…。オカネ ナイ…。」
「そっか」
「………」
「じゃあ、行こっか」
「…ドコニ?」
「薬屋さん」

それだけ言うとゼーレはすたすたと歩き出す。
少女は訳が分らないと言いたげに立ち尽くしている。
くるりと振り返ったゼーレは「どうしたの?おいで?」と声をかけた。
おずおずと歩き出した少女を視認し、そのまま歩き出す。
そう遠くない場所に道具屋があったので、適当に入る。
狭い店内だが、目的の物は一通り取り揃えてあるようだ。
適当な物を一つ取り上げてゼーレは少女に声を掛けた。

「傷薬でいいよね?打撲のもいル?」
「…トレゾア チ オオイ」
「ふむ、じゃあやっぱり傷薬だね」
「デモ ワタシ オカネ…」

小声で呟く少女にゼーレはにっこり笑いかける。
そしてその少女の呟く声を無視して店主に「すいませーん」と声を掛けた。
何度か言葉を交し、傷薬の瓶と包帯をいくつか包んでもらう。
金額はゼーレがぽいっと払ってしまった。
店主の「どーも」という言葉に背を向けてゼーレは店を出て行く。
おろおろとその様子を見ていた少女もぺこりと店主に頭を下げて慌ててゼーレの後を追った。

「こレだけあったラ足リルよね」
「………」
「はい、どーぞ」
「ア アリガトウ」
「どういたしまして」

今度は手を伸ばしても少女は逃げなかった。
さらさらとした感触がゼーレの手袋越しに伝わってきた。

「トレゾアが帰ってきたラ使ってあげてね」
「ウン」
「じゃ、ゼーレちゃん行くね」
「ア マッテ」
「ん?」

道具屋で買ったものを少女に手渡し、そのまま背を向けたゼーレに少女は声を掛ける。
振り返ってみたが、少女はどうして良いのか分からないという顔をして立ち尽くしている。

「…あ、宿屋の道分かラない?」
「チ チガウ」
「じゃあどうしたの?」
「ニェー デス」
「ん?」
「ニェヴィン ワタシ ノ ナマエ」
「ニェヴィン?」
「ウン」

ああ、そう言えば名前を聞いたのはゼーレからだったか。
少女はずっとそれを覚えていたのだろう。

「そっか、じゃあニェーちゃんだね」
「ハイ。 コンド ゼーレ オカネ カエス」
「いラなーい」
「デモ…」
「トレゾアかラ返して貰うかラ大丈夫だよ」
「トレゾア カラ?」
「だって使うのトレゾアでしょ?」
「リビ モ ツカウ」
「うん、でもトレゾアの方がたくさん」
「…ウン」
「でしょ?」

いたいけな少女、ニェヴィンを言いくるめてゼーレはウインクを一つ。
そんなゼーレを見て、気のせいだろうか。
少女の口角が上がった気がする。

「トレゾアが帰ってきたラ、使ってね」
「ウン」
「じゃ、またね」
「ゼーレ ハ イッショ コナイ?」
「うん、やル事があルから。良い子にしててね」
「ハイ」
「ばいばーい」

手をひらひらと振れば、ニェヴィンもおずおずと手を振る。
その姿に笑顔を見せて、ゼーレは義足を鳴らして去って行った。

『可愛い可愛いお人形さん』

その場を離れたゼーレはニェヴィンには見せなかった笑みを浮かべる。
それは笑顔なのだが笑顔ではない顔だった。
純粋な表情ではなく、様々な感情が含まれた表情。
黒くどろどろとしたヘドロのような感情。
おもちゃを見つけた子供のような。
そんな笑顔だった。

『さぁて、どんな風にしちゃおっかな』

この子をどうすればトレゾアはどう思うだろうか。
この子を自分のようにすればトレゾアはどれだけ叫ぶだろうか。
ゾクゾクする。

「ふふ、ゼーレちゃんのお人形さん…☆」

そう呟いたゼーレの足元には動かなくなった男が二人、石畳に寝そべっていた。
男達は永久に起きない。
それは先ほどまでニェヴィンの後をつけていた男たちだった。

「これでしばラくは退屈しなくてすみそう」

永遠に目を覚まさない男達に「ね?」と問いかける。
答えを発しない男に、詰まらなさそうに唇を尖らせた。
そうだ、服を買ってあげよう。
普段でも使えるような、それでいて可愛いものを。

「お人形さんには、着せ替えしなくっちゃね」

そう言うと、ゼーレはその場から軽やかな足取りで離れていく。
それはまるでこれから初めてパーティーにでも行くような足取りだった。
後に残されたのは次第に変色していく男の死体が二つ。
慣れているのかその街ではたいしたニュースにもならない出来事だった。

* * * * * 

「トレゾア キズグスリ」
「は、んなもんあったのか?」
「ウン ツカッテ」
「ああ・・・。部屋で使うよ。ありがとな」

とある宿屋の一室であまりの薬の痛さに悶絶する男が出たそうだ。

* * * * * 

『一番痛い薬はどレかしら?』
『良く効くの間違いかい?』
『いいえ、痛ければ痛いほど良いんだけど』
『じゃあ…これだな』
『そ。じゃあそれくださル』
『本当に良いのかい?痛いだけで効能は普通だぜ?』
『えぇ、それで』

* * * * *

この後、パーティー顔を見せたゼーレがトレゾアから怒鳴られるのはまた別のお話。

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録、プロフィール登録、セリフ登録
精霊術の習得
精製:増幅 を習得!
スキルの鍛練
鍛練によって 精製 のLvが上昇! [3→4]
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [1→2]
攻撃 が上昇! [5→10]
精度 が上昇! [5→10]
同調によって 補助 のLvが上昇! [1→2]
防御 が上昇! [5→10]
精度 が上昇! [5→10]
同調によって 防具 のLvが上昇! [1→2]
防御 が上昇! [5→10]
精度 が上昇! [5→10]
メッセージ送信
サエトラ [108]1件 のメッセージを送信!
リビ [164]1件 のメッセージを送信!
ニェー [503]1件 のメッセージを送信!
リュシアン [904]1件 のメッセージを送信!

メッセージ

スーヴナンス [209]
「…? ええと…?」
男はおっとりと、取られるままに腕を抱きすくめられ、やや茫然とした笑顔のまま貴方を見返した。
――布越しに触れる腕は、湿った土くれのようにしんなりと冷え、まるで神経が通っていないかのように従順だ。
「…初めまして、Belle femme(きれいなかた)。
 わたしはスーヴナンス。スーヴィとも、ナンシーとも、どうぞお口に合いますようにお呼びください。…あなたのことは、ゼーレ、とお呼びしても?」
「一緒にあそぶ…? 構いませんよ。なにをしましょう?
 わたし、あまり、器用ではありませんから、あなたの退屈にならなければよいけれど…」
――そういうと彼は、自身の腕を艶めいた仕草で撫でる貴方の手に自分の掌を重ね、にっこりと微笑した。
トレゾア [498]
男はひどく不機嫌な様子で貴方を睨みつけた。
「お前が用があるって言ったから来たんだぞ…
わかったから馴れ馴れしく触るんじゃねえ」

男は貴方の体を振りほどくと、舌打ち交じりにそう言い、女を見上げた。
背を向けて苛立った様子で歩き出す。どうやら用事には付き合うつもりらしい。

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーリビ
 [E-No.164]
ゼーレ
 [E-No.269]
トレゾア
 [E-No.498]
ニェー
 [E-No.503]

プロフィール

クラス
種族
性別女性年齢???歳身長???cm体重???kg
ゼーレ・フェアリュクトハイト:seele・verrÜctheit

年齢は外見からは判断できないが、おそらく20代半ば。

一人称:ゼーレちゃん
二人称:キミ
知っている人に対しては呼び捨て、年下(と判断したら)ちゃん付け。

派手な顔は全部化粧。
よっぽど親しい人でないと素顔は見せない。もちろんPTMにも。
行動原理が「面白そう」なので人の迷惑等考えないタイプ。

体は義足や義眼などの改造オンパレード。
今後やりたい事は「腕を切り落とす」事。
足の長さが違うので義足で調節している。
腰もコルセットでぎゅうぎゅうに締め付けている。

痛みが快楽と感じるので積極的にそっちに進んでいく。

痛みを感じる事こそがこの世に存在している証。
痛みこそが自分の存在理由。
けれど、痛みを感じなくなる事が自分の希望。
矛盾した存在。

アイコン(5)はるかさん作

アイコン一覧

12345

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
1000000010200100
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
000000004.52

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
237精製増幅10101010×
30精製武器魔力付与20--20--
49精製模擬効果10101010

装備品

主力:両手(武器)LvCP攻撃防御精度
ビーネ
毒針を仕込んだゾーンチックマシンガン
2110010
スロット1
スロット2
スロット3
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
グロル
2101010
スロット1
スロット2
スロット3
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
ムタツィオーン
2101010
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1351105055101123
補助0000

所持アイテム (1/25)

No種別装備アイテム名価値
1素材精霊兵の破片75
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