精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.513 (第8回:2012/11/3)

E-No.513

本名:レムエル・フォン・シュエン
通称:レムエル

【戦闘結果】【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ
Witches' prelude

今回はE-no.463クロヴィス氏との合作になります


満月の光だけが木々の隙間から闇をさく夜深くの樹海。風で波立つ葉の音だけが耳朶を打つまるで箱庭のような空間を三つの影が走り抜けていた。

銀色の長髪を蓄えた少女とそのすぐ後ろを着いてゆく男性、そして二人の前を逃げるように駆走る一つの影。

 「いい加減諦めて引き返さないか、アリシア」

すでに気息奄々たる男が荒い足音を立てながら声をあげる。少女は先を走る影を見据えたまま答えない。

 「もう皆やられちまった……二人でなんとかできる相手じゃないだろ」

 「気安く人の名前を呼ばないで。私は貴方の事は嫌いよ」

 「……チッ!」


 ――この近辺で魔女と恐れられる女性を捕らえること。それが今回の依頼の内容だった。

依頼主は品のない趣味を持つことで有名なある貴族。常識を逸するような報酬を約束にアリシアを含めた十数名の冒険者が集められた。

とある街から外れた所にある樹海にてその姿を目撃され、作戦は依頼を受託した日の正午から早々に開始された。

 世界的にも有名な精霊協会から多くの人員が雇われたとだけあって円滑に事は運ばれると誰もが思ったが、現実は違った。

場所の悪さも相まって、手分けをして捜索にあたっていた協会の兵達は、実態の見えない敵を前に為すすべもなく着実に数を減らされつつあったのだ。

 そうしたすでに半日にも及ぶ戦いの折りで、今、こうしてようやく敵の影を捉える事ができたのだ。この機だけは絶対に逃がすまいと、目の前をゆく『魔女』にただくらいつく。

 一つだけわかっている事がある。敵と遭遇した者達の被害は皆、伸された程度であり命までは奪われてはいなかった。また、荒々しい戦闘の形跡から判断するにあまり敵は知略的に事を運ぶタイプだとは考えづらいだろう。

すると、魔女はよほど甘い考え方の人物なのか、ただの自信過剰なのか。希望的解釈に過ぎないが、戦う事そのものに慣れてはいない可能性もある。

このまま追いかけまわしていればやがて相手の方から業を煮やし、直接対決を挑んでくるだろうという確信があったのだ。



 ――間もなくしてその時は訪れる。少しだけ木々が開けた場所にて魔女は突然足を止め、こちらへ向き直りはじめて口を開いた。

「そろそろ諦めてくれないかしら?逃げるのも楽じゃないのよ…。それとも…ワタシが終わらせてもいいわよ。」

 肩よりも少し長く伸びた紅の髪、余裕を描いたような表情。月の照らす光ではじめて捉えたその姿はアリシアと同じくらいの若い少女のようにも見えた。

お互い十メートルにも満たないだろうという距離で足を止め、真正面から対峙する。すぐ後から追いついた男もアリシアの後ろで静止し、魔女の姿を見据えた。

 「はじめまして、えっと……ノワールさん、といったかしら。早速で悪いのだけれど、私のために一緒に来てくれない? 貴方のファンが首を長くして待っているのよね」

 「ファン…ね。出待ちは歓迎しないって伝えておいてくれるかしら?迷惑よ、人気者のワタシにはもう彼が…っ!」

 魔女ノワールがそう言い終わる前にアリシアは一瞬で間合いを詰め、麻痺性の毒を塗り込めた剣を上から下へ、その体をなぞるように振り下ろす。

――金属の弾ける音がした。
視線の先で僅かに剣の刃が欠けていた。目の前には傷ひとつなく先ほどと変わらぬ姿勢で悠然と立ち尽くしているノワール。防御をした風には見えなかったが何故――


 「ふぅん…。熱烈なファンの使いにしては勉強不足ではないのかしら?ワタシの能力はね……!」

 ――瞬間、ノワールの重心が僅かにこちらに傾いた。身の危険を察しアリシアは後方に大きく跳ね飛ぶ。しかし、ノワールが懐に飛び込んでくる動作のが一瞬速かった。その眼前に拳が突き出される。


 「こうやって使うのよ。性質や形状を変化させる事が出来るのって便利だと思わない?鋼鉄にだってなれるん…っだから!」

 顔面に大きな鋼の塊が激突したかのような、激しい衝撃が襲う。脳が激しく揺さぶられ血液が宙に舞う。その勢いで体が激しく後方にはじき飛ばされ、地面に強く叩き付けられた。……一瞬気が遠くなったが、辛うじて意識は保たれている。

その姿を確かめノワールは笑みを浮かべながら語りかけた。


 「あまり痛めつけるのは趣味じゃないのよ。死なない程度に手加減してあげる、寝覚めが悪いのは嫌いなの。先に寝ていてもらえる?」

 アリシアは顔を抑えながらゆっくりと上体を起こす。鼻の奥から熱を帯びた赤い液体が滲み出る。血液の混じった唾液を吐き出しながら茫然とした意識の中でノワールの表情を見改め、彼女の言葉を復唱する。

 (――手加減してあげる、だと?)

 脳が冷静さを取り戻すと同時に、急激に怨嗟と屈辱の入り混じった感情に襲われる。

 「大丈夫か!」

 手負いの少女を隠すようにして男が躍り出る。アリシアに背を向けたまま剣を抜きながら、話しかけた。

 「やはり俺達で敵う相手じゃなかったんだ。俺が時間稼ぎをしている間にお前は逃げろ」

 「それはアナタのファン?物好きな騎士様も居たものね。しっかりとお姫様を守れるのかし…らッ!」

 そう言ってノワールは片腕を剣の形に変化させたかと思うと、その腕を大きく振りかぶりながら勢いよく地を蹴り男に迫り掛かる。男は腰を落とし剣を構え、防御の姿勢で待ち構える。



 ――剣と剣のぶつかり合う音。そして一瞬の静寂、さきほどまで自身の勝利を信じて疑わなかったノワールにとってこの瞬間、風向きは変わっていた。

男の腹部から生え出た一本の剣がノワールの脇腹を刺し貫いていた。男から剣が生えていた訳ではない……その背後から、男ごと串刺しにされていたのだ。

来るはずがないと思い込んでいた位置からの攻撃……完全に油断していた。お互い状況が把握できず、ただ立ちすくむ。

痛みだけが段々と明確になっていく中、まるで時がとまったようなその空間を打ち破るように嘲笑を含んだ少女の声が周囲に響き渡った。

「バカとハサミも使いようね。ふふ、いい目隠しになってくれたわよ、貴方」

「……お前」

 男が呻くように呟く。アリシアがゆっくりと手にした剣を体から引き抜くと同時に二人は地面に崩れ落ちる。ノワールの目の前で倒れた『壁』の先に満面の笑みを浮かべた少女が姿を現した。



 既に気を失った男を一瞥するとすぐにノワールの方へ向き直り楽しそうに語りかける。

 「なかなか優れた毒だと思わない?もう体も動かせないでしょ。あなたもすぐに意識を失うわ」

 「あ…ら…?容赦ないのね、アナタ…仲間を…。」

 「だからこうやって協力して貴方を倒したんじゃない。本当に貴方の胴体部分が生身のままで助かったわぁ」

 「…下衆ね…まだ奴隷商人のが可愛げがあるわ…」

 少しづつ体を毒に蝕まれつつあるノワールを見下ろしながら、突然真顔に戻ったかと思うとアリシアはそっと口を開いた。

 「私に見下される気分はどう?」

 「……仕返しのつもりかしら…?」

 「さっき私の事見下してたでしょう?手加減してあげる――かしら。あれ、とっても傷ついたのよね。だから――」

 感情の篭らない声。霞む視界の中に、瞬き一つせず冷めた目でノワールを見つめながら淡々と語り続ける少女の姿が見える。

 「私を愚弄した事を一生後悔しなさい。そして無様に、敗北という汚辱に一生身を焦がし続けるがいい」


 ノワールは体の限界を感じゆっくりと瞼を閉じる。暗闇の中、途絶えつつある意識の中で抑揚のない少女の言葉だけが響いた。

 「かつての魔女が、囚われ、どんな惨めな余生を送るのか。楽しみにしてるわよ。まぁ、もう二度と会う事もないでしょうけど――」


 「…覚えていなさい、ワタシの余生を伝記にして…アナタに…読み聞かせてあげるわ…」

 そう、アリシアの耳に届いたのかさえわからないほどに小さく呟きながら、ノワールの意識は暗い奈落の奥底に落ちていった。



 ――――


 「というのが事の顛末。……何よその顔は、文句あるの?」

 食事の並べられた小さなテーブルの向かい側で、『ヤバい事をしてしまった』とでも言わんばかりの表情を浮かべたレムエルを睨む。

 「どうして食事中にそんな話するかなあ!」

 「レミュが聞きたいっていったからでしょ……訳のわからない事を言わないで」

 任務がない日にはレムエルとアリシアが共同で暮らしているこの家は、レムエルが協会の試験を受ける数ヶ月前にアリシア自身の稼ぎで購入したものだ。

お世辞にも立派だとはいえないが、それでもこの年で家を構える事ができるのは珍しい。そこを疑問に思った彼に『最も報酬が高額だった依頼の話』を聞かせてやっただけに過ぎない。

 「別に悪事を働いて稼いだワケじゃないでしょ」

 「俺は充分悪事だと思うけどな……その男はどうなったんだ?」

 「知るわけないじゃない、捨て置いてきたもの」

 それを聞いて「え゛」と情けない声をあげながら再びみっともない表情を見せるレムエル。全くみていられない。

 「……私じゃ二人も連れては帰れないから他の人にちゃんと拾ってもらったわ。この前、偶然同じ依頼を受けて久々に会った時には酷い罵詈雑言を受けた気がするけど」

 「まぁ、当然だな……」

 言いながら席を立つ、今日は街へ買い物に出る予定があったからだ。身支度を整える私に神妙な面持ちでレムエルは問いかけた。

 「……『魔女』の方はどうなったのかな」

 「それこそ本当に知らない。依頼主に身柄を引き渡してそれで終わり。あとは会ったこともなければ噂話を耳にしたことすらないもの」

 玄関へ向かいながら、いかにも興味ないといった風に背中ごしで返事をした。その姿を見た彼が「最後にもう一つだけ」と寄越した質問に、何も答えず家を出る。


 本音を言えば彼女のその後について興味がない訳ではない。恨んだり憎んだりとかそういうことではなく、ただ彼女に対しては特別な心境を抱いていた。

少しだけ調べてみたこともあったが、情報として得られたのはあの依頼主の屋敷で陰惨な事件があったということだけだ。

 ――もし、また彼女と出会えたらどうしたい?

家を出る直前に投げかけられた質問が頭の中で響く。隠し事はできないわね、とここには居ない彼へと返事をする。

争いたい訳ではない。ただ少しだけ、私は少しだけ彼女の事を気に入ってたのだ。



 目的地まであと半分に差し掛かった所で、少し先の方――視界の隅に見覚えのある姿が映ったような気がした。緊張が走り、瞳孔が開く感覚。思わず視線を地に伏せる。

あんな話をしたから、ありもしないものが見えてしまう……私も俗っぽくなったものだ。やれやれ、と自分自身に呆れながら降ろした視線を再び持ち上げる。

 ――いや、いる

 見覚えのある、燃えるような紅の髪、変わらない姿。かつて見たままの魔女が確かに、そこにいた。

見間違いなどではない……胸が高鳴る。湧き上がる感情を抑えながら、目的地から僅かに逸れたその方向へ自然と早足で向かっていた。

 (なるほど、面白い)

 不思議な感覚だった。……今日は、とても気分がいい。

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録、プロフィール登録、サブプロフィール登録、精霊術設定登録
【イベント】ペアマッチ
精霊術の習得
強化:均衡能力強化 を習得!
→ 素質ポイントが上昇! [0→1]
→ 最大HPが上昇! [1050→1100]
→ スタミナが上昇! [25→30]
→ MP増加量が上昇! [11→12]
→ 戦闘設定枠が増加! [11→12]
→ 精製枠が増加! [1→2]
→ 合成枠が増加! [1→2]
スキルの鍛練
鍛練によって 精製 のLvが上昇! [4→5]
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
→ [+1] … 失敗 [25%]
フィナーレ Lv1 を獲得!
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [6→7]
攻撃 が上昇! [46→54]
精度 が上昇! [14→16]
同調によって 補助 のLvが上昇! [6→7]
攻撃 が上昇! [18→21]
精度 が上昇! [42→49]
同調によって 防具 のLvが上昇! [6→7]
防御 が上昇! [28→33]
精度 が上昇! [32→37]
霊玉の装備
【主力:スロット1】フィナーレ Lv1 を装備!
【補助:スロット1】フィナーレ Lv1 を装備!
【防具:スロット3】フィナーレ Lv1 を装備!
メッセージ送信
ロバート [406]1件 のメッセージを送信!
クロヴィス [463]1件 のメッセージを送信!
キーア [835]1件 のメッセージを送信!

メッセージ

ネグローク [384]
     ネグロークは、あなたから向けられる視線に気が付いたようです。
     そしてその視線が好奇心に満ちていることを感じ取ると、角を指さし、にやりと笑って言いました。


「かっこいいだろう?」

その表情は、まるで宝物を自慢する少年の様です。

トレード

りこ [368]
匠の技 Lv1 を受け取りました!
レムエルくんって確か精製の精霊術覚えてたよね?
これ役にたたないかなー?私は使わないしもらってよ!

イベント(武術会【混沌杯】)

イベント名
パーティ名
メンバーヒス
 [E-No.200]
レムエル
 [E-No.513]
セレナ
 [E-No.523]
ミリィ
 [E-No.666]

イベント(ペアマッチ)

イベント戦の設定
「イベント登録」で「対戦相手指定設定」「霊玉の装備」などの設定を行えます。
パーティの編成
ロバート [406] をパーティに誘ったが断られた……
イベント名
パーティ名
メンバーレムエル
 [E-No.513]
精霊兵『白虎』
 [NPC]

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーラティク
 [E-No.286]
りこ
 [E-No.368]
シギ
 [E-No.370]
レムエル
 [E-No.513]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢19歳身長173cm体重58kg
レムエル・鳳 旋
Lemuel Feng Xuan


上位中産階級の家庭で生まれ育った華僑の青年。

常に能天気に構えている楽天主義者。
他人を疑う事を知らないが、場の雰囲気に流されやすく優柔不断。
喜怒哀楽が豊かで精神的に幼い部分も多い。


恵まれた環境でなに不自由なく育つが、特別な才能を有する訳でもなくこれまでの生涯においてこれといった趣味や理想を得られずにいた。
精霊協会の試験に挑んだのはそんな無個性な自分を変えるため。

――というのは内訳2割ほどで、動機の大半はただ『面白そうだったから』

兎を狩る程度には剣を扱った事はあるものの、協会を訪れる以前に実戦の経験はない素人。



――――
メインサブキャラ共に交流等お気軽にどうぞ。新しい設定等でも拾える範囲でしたら全力で対応したいと思います。

アイコン一覧

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サブプロフィール

アリシア・フォン・リエン
種族 人間
性別 女性 /年齢 19歳 /身長 155cm /体重 46kg

アリシア・鳳 廉
Alicia Feng lian

レムエルの双子の姉。
レムエルとは極対照的でなにかと自信過剰な小柄の少女。
自覚のない極悪人。

幼い頃より様々な天分に優れ12歳の頃に冒険家として出立しており既に幾分かの経歴を持つ。

基本的に他人の事は道端の雑草程度にしか考えておらず傍若無人な振る舞いが目立つが当人に悪気はない。
しかし、一度気に入った人物にはとことん接近していくがあまり口がよくないので他人と良好な関係を築ける事は稀。


平凡かつ経験不足のレムエル一人ではまともに精霊術や戦闘技術を得ることもできないため、スキルの鍛錬や術の習得は彼女の指導の下行われている。

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
11000020012301460
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
00007.100006

素質

素質素質素質素質
風MPアップ Lv1

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
14強化均衡能力強化10101010
15強化攻撃能力強化20--20--疾駆のメノウ
41強化流水--40----急駛のシベライト
159強化飛行----40--滑翔のパイライト
1596強化強壮------40旺然のヘリオドール
17強化状態異常耐性上昇10101010防禦のアベンチュリン
57強化属性攻撃耐性上昇10101010掩護のインカローズ
237精製増幅10101010×激成のクイソベイル
30精製武器魔力付与20--20--急襲のアゲート
49精製模擬効果10101010虚のロードクロサイト

装備品

主力:二刀流(武器)LvCP攻撃防御精度
長剣
小汚い剣。旅立ちの際、自宅にあったものを拝借しただけなので詳細は不明。
7354016
スロット1
スロット2
スロット3
補助:二刀流(武器)LvCP攻撃防御精度
短刀
何の変哲もない短刀。主に本体の動作をサポートする役割を果たす。
7321049
スロット1
スロット2
スロット3
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
布の服
動きやすい服。身を守るほどの効果は期待できない。
7303337
スロット1覚醒 Lv1
スロット2精度アップ Lv1 [+1]
スロット3フィナーレ Lv1
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1151004050120143
補助1021134056

同調値一覧

霊玉名(防具)同調値
覚醒5
霊玉名(武器・防具)同調値
精度アップ4
フィナーレ2

霊玉名:【青字】同調値は上昇可能/【赤字】同調値は上限に達している

所持アイテム (6/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉防1覚醒 Lv1(防具)100
2霊玉防2精度アップ Lv1 [+1]100
3霊玉防3フィナーレ Lv1100
4霊玉匠の技 Lv1100
5素材狼の牙25
6素材ゴブリン銅貨25
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