精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.269 (第8回:2012/11/3)

E-No.269

本名:ゼーレ・フェアリュクトハイト
通称:ゼーレ

【戦闘結果】【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ

しくじった。



ゼーレは裏通りをずるずると歩く。
こう言う時、膝関節のない義足は動き辛い。
上がらない太ももを何度か殴りながらどうにか前へ進む。

今回はただの諜報活動のつもりだった。
売れそうな情報があるから、といつものように気軽に潜入した。
まさかそこで対立組織との抗争があるだなんて。
ギリギリまで残って欲しいモノは集めた。
あとはこっそりお暇するだけ。
そう思ったが、見つかった。
そして左わき腹に浴びた一太刀。

「どうかしてルよね」

逃げる寸前に見てしまった。
弟と同じ年頃の男の子。
多分あれは人身売買―――商品―――なのだろう。
獣用の檻の中からじっとこちらを見ていた。
そっと伸ばした手はあの子よりも細い。

「ほんとどうにかしてル」

階下から聞こえる音からこちらの軍勢の方が不利なのは分かっていた。
一刻も早く逃げなければ行けない事も理解していた。
それでも、それでも―――――手を、取ってしまった。


* * *


ゼーレの能力の一つに物を異空間に収納すると言うものがある。
それはゼーレの一族のみが使えるもので、最近は全員使えるという訳ではなくなっていた。
とりわけ上手だったのがゼーレだ。
一族の中で一番の能力の―――タシャと呼んでいた―――使い手だった。

タシャには制約がいくつかある。
入れるものの大きさや出し入れのタイミング。
それは個人個人で違っていたが、大きくは一つの制約がある。
それは『生きているものは入れられない』と言うものだ。
生きているもの、それは動物に限らず植物も含まれていた。
つまり『成長』するものはタシャの中では存在できない。
入れたとしても取り出せないのだ。
タシャの中は使い手の意識の中と繋がっている。
どれだけ探そうが、確かに入れた『いきもの』が見つからない。
忽然と存在を消してしまうのだ。
タシャの使い手は『いきもの』を、動物を入れたことはない。
それはやってはいけない事だと言われているから。
一族に言伝で伝わる禁忌だから。

ゼーレもその昔いきものを入れたことがある。
ゼーレがゼーレでない時。
妹達と編んだシロツメクサの髪飾り。
ゼーレがゼーレでない時の思い出の品。
今でもふと思い出す。
今でもふと探してみる。
けれどやはり見つからない。
いきものを入れたからなのか。
それとも『ゼーレ』が入れたものではないからか。

わき腹から流れる血を抑えながら、ふとその髪飾りの事を思い出した。
ぐらりと体が傾く。
地面に顔を打ち付けたが、不思議と何も感じなかった。
傍で誰かの声を聞いた気がする。
そこでゼーレの意識は途絶えた。


* * *


ベットはキライ。
あの時を思い出すから。
上質なシーツは嫌。
べたべたしたものを良く吸うから。
ふわふわの布団はもっと嫌い。
アイツの顔がどうしても浮かぶから。

ゼーレは寝苦しさを感じる。
いつも睡眠時間を故意に短くしているゼーレが体を横にすることはない。
けれど今はどうも頭の位置がおかしい。
体に感じる重力が変だ。
足にお尻に腰に、重力がかかっていない。
足にお尻に腰に背中に肩に頭に、全身に重力を感じる。
自分は今、体を横たえている。

「!?」

ゼーレはすぐに意識を覚醒させた。
だがしかし、頭が思うように働かない。
まるでモヤが掛かったかのように考える事が出来ないのだ。

「気が付いたか」

そんな状態のゼーレに声を掛けてくる者がいた。
一瞬体を強張らせたが、すぐに緊張を解く。
聞き慣れた声。

「全く…久しぶりに顔を出したと思ったら」

いつもの呆れたような声色。
頭を動かすと見える碧の髪色。
ここは宿屋の部屋だろうか。
トレゾアは楽な格好をしている。

「…お前も血まみれになることがあるんだな」

手に持ったタバコを口に持って行く。
ジジジと先端が赤くなりそれが口元へと進んでいく。
煙となって吸い込まれたものがトレゾアの肺を満たす。
それを見ながらゼーレは『あの髪飾りも煙となってどこかに行ってしまったのか」とぼんやり思う。

「また意識がハッキリしてないのか。…まああの出血量じゃ無理もないか」
「ここ、は?」

「喋るな」と小さく制してトレゾアは「俺たちの泊まる宿屋だ」と言った。
そうして先ほどまで吸っていた煙草を揉み消し、新しいものに火をつける。
またジジジと先端が赤く燃える。

「で」
「…?」
「このチビが俺に助けを求めてきた」

トレゾアが顎で示したのはゼーレの足の方。
いつもより大分重い頭をどうにかして動かす。
そこに見えたのは小さな腕。
小さな頭と、小さな手。
少し寝苦しそうな寝息を立てているのはあの『商品』だった。

「僕も仕事帰りでね。裏通りを歩いてたらこのチビが。で、ついてったら見覚えのある女が倒れててね」

そこで言葉を切って、トレゾアはふーっと息を吐いた。
白い煙が自分はここにいると主張していた。

「見たら意識はないし腹から血は流してるしチビは泣いてて要領は得ないし…」

散々だったと毒づくトレゾアはまたタバコを揉み消した。
灰皿に吸殻がまた一つ積まれた。

「で、何なんだこのチビ…って今は喋るなって言ったな」

そう言ってトレゾアは頭をがしがしと掻いた。
そうして大きくため息をついて「そいつ寝ちまったか」と言った。
その言葉にゼーレはなんとか頭を動かして肯定の意思を伝える。
それを見たトレゾアは膝に手を当てながら立ち上がった。
そうしてその少年をひょいと持ち上げる。

「生憎ベットは二つしかないんでね。僕はソファーで寝る」
「トレゾア…」
「あん?」

もう一つの開いたベットに少年を置こうとするトレゾアに声を掛ける。
そうしてなんとか腕を動かし、自分にかかる毛布を持ち上げた。
そのままの姿勢でじっとトレゾアを見つめる。

「………」

トレゾアは怪訝そうな顔をしつつも、結局はゼーレの希望通りにした。
そっとゼーレの隣に少年を寝かせたのだ。

「寝相悪くて傷口蹴られても知らないからな」

それだけ言ってトレゾアは自分もベットへと倒れこんでいった。
明かりを消した部屋に二つの寝息が響く。
一つはトレゾア、一つは少年。
ゼーレはその少年が寒くないように、そっと毛布で包んだ。
小さな体。


* * *


「これで良かったのか?」
「ん?何が?」

トレゾアとゼーレは近くの町の孤児院に来ていた。
昨日の少年を託す為に。

「泣いてたじゃないか」
「そうねぇ。でもいいの?」
「あん?」
「一回引き取ルとトレゾア託児所になっちゃうけど」

トレゾアはぐ、と声を詰まらせた。
子供達に囲まれる自分でも想像したのだろう。
似合うような似合わないその光景にゼーレはお腹を抱えて笑い出す。

「笑うな!!」

左手でゼーレを殴ろうとするその手が宙を舞う。
ゼーレはケラケラと笑いながら、そしてくるくると回りながらトレゾアを翻弄する。

『いっしょにいたいよ』

あの少年はそう言った。
そう言って泣いた。

『いいこにしてるからつれてって』

明るい所で見る少年の体は骨と皮だけだった。
そうして全身に広がる多数のあざ。
トレゾアは知っていたのか特に反応しなかったが、内心良い気はしなかっただろう。
この男は優しい。

「駄目だよー。危ないかラ、だーめ」

ゼーレは故意にこの少年に自分の名前は名乗らなかった。
トレゾアもそれに気付いてゼーレの名前を呼ばなかった。
別室で寝ているリビドとニェヴィンが起きてくる前に、この場所に来たのだった。
別れは早い方が良い。
教会に併設された孤児院なら大丈夫だろう。
優しそうだが意思の強そうなシスターと神父に事情を告げ、引き取ってもらった。
少年は泣いた。
わんわん泣いて、ゼーレの服にしがみついた。
離れたくないと、そう訴えて。

「寝てる隙ってのは卑怯だと思うがね!」
「そう?全部夢だと思えた方が幸せじゃない?」

泣きつかれて寝た隙に二人はその孤児院を後にした。
そうして宿屋へ向かう道すがら、二人は喧嘩し合っていた。
昨日の怪我を見たトレゾアは手加減をしている。
ゼーレにはそれが良く分かった。

「さ、トレゾア。早く宿屋帰んなきゃ!」
「へぇ、お前からそんな言葉が出るだなんてな」
「何言ってルの。帰ルのはトレゾアだけだよ?」
「あ?」
「ゼーレちゃんは、お・仕・事」

そう言ってひらりとトレゾアと街道から離れていく。
背中に「おい!」と言う言葉を浴びながら、手をひらひらと振る。
トレゾアも追いかける事はしない。
大仰につかれたため息が聞こえるが、ゼーレは決して振り向かない。
「勝手にしろ」という声も聞こえた気がするが、風の音だったかもしれない。

「柄じゃないかラね」

弱った自分など見られたくない。
今も昨日ほどではないがわき腹に血が滲むのが分かる。
だがゼーレは歩き続けた。
野良猫が寝場所を探すように。
渡り鳥が羽を休める場所を。
こういう生き方しか知らないから。

何日か後に、トレゾア達の下に一通の手紙が届く。
差出人は不明。
中のメッセージカードには何も書いていない。
ただし、派手な色のキスマークが落とされていた。

「ナニ コレ」
「クソ女…」
「ゼーレが、元気だよって」
「ゲンキ ヨカッタ」

同じ頃…。
とある町のとある孤児院に多額のお金が届けられたのは、また別の話。

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録、セリフ登録、精霊術設定登録
精霊術の習得
精製:精製皆伝 を習得!
精製:合成皆伝 を習得!
→ 素質ポイントが上昇! [1→2]
→ 最大HPが上昇! [1050→1100]
→ スタミナが上昇! [25→30]
→ MP増加量が上昇! [11→12]
→ 戦闘設定枠が増加! [11→12]
→ 精製枠が増加! [1→2]
→ 合成枠が増加! [1→2]
素質の開花
飛行 Lv1 を開花! [-1P]
→ 最大HPが低下! [1100→900]
スキルの鍛練
鍛練によって 精製 のLvが上昇! [10→11]
アイテムの購入
抽選に外れたため アイテム精製の極意 Lv1 を購入できなかった……
抽選に外れたため 匠の技 Lv1 を購入できなかった……
【今回の抽選結果を表示】【次回の販売アイテム一覧を表示】
アイテムの送付
トレゾア [498]諸刃 Lv1 を送付!
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
→ [+1] … 成功! [55%]
→ [+2] … 失敗 [27%]
かばう Lv1 [+1] を獲得!
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [6→7]
攻撃 が上昇! [30→35]
精度 が上昇! [30→35]
同調によって 補助 のLvが上昇! [6→7]
防御 が上昇! [30→35]
精度 が上昇! [30→35]
同調によって 防具 のLvが上昇! [6→7]
防御 が上昇! [30→35]
精度 が上昇! [30→35]
メッセージ送信
ロジェ [48]1件 のメッセージを送信!
スーヴナンス [209]1件 のメッセージを送信!
キルケ [417]1件 のメッセージを送信!
セフェル [418]1件 のメッセージを送信!

メッセージ

メイガス [41]
すみませんね奥手なもので、今日は…ですか。
やれやれ、期待しないほうが良いですよ?

(面白そうに笑いながら相手を気遣いつつ喫茶店へと)
(案内をした場所はクラシックを基調にした喫茶店。
 店員に案内され、相手が上質なソファに座るのを待ってから自分も向かいへと腰をかけ。)

お好きなメニューをどうぞ。
ここの支払いはまかせてください、せっかく美しい女性と知り合えたんだ。
良い顔はしたい。

(緩く笑いかけたあと「さて」と改まり。)
ところでとても派手な衣装ですね、道化の様にも見えるのですがどこかのサーカスか劇団の団員さんなんですか?
サエトラ [108]
「男の目線か…なるほど確かに。
 そういえばデザイナーには男性のほうが多いけれど、
 やはり女性の身体を美しく見せるのは男性の方が得意だからなのかな…」
「ではゼーレ、きみも男性の目線を気にしているのかな。
 その細いウエストに腕を回してもらいたい意中の人がいたりする?」
「…いや、そりゃ時間をかけて整形するよりは、切っちゃったら早いけれど…
 …って」

「わ、わ」
 抱きしめられ、突然落とされるキスの雨に、目を丸くする。
 ゼーレを受け止めるように彼女の腰に手を回すと、自然と抱き合うような形になって。

「…びっくりしたよ!きみの産まれた土地の挨拶?それともきみ流のもの?
 …うん?はちみつみたい?ふふ、はちみつ大好き。嬉しいな。」
「ゼーレ。きみの目の色は、深いエメラルドみたいなきれいな色。
 きれいだけれど…なんだか、危うい印象だよ。
 わたしたちは今初めて出会ったのに、きみはそんなに無防備で大丈夫?
 わたしが悪い人間だったらどうするの?」
 うっとりした表情のゼーレを、互いの息がかかりそうな距離で正面から見据える。

イベント(武術会【混沌杯】)

イベント名
パーティ名
メンバー彩樹
 [E-No.25]
ゼーレ
 [E-No.269]
†レイゼイ†
 [E-No.323]
レヴィ
 [E-No.670]

イベント(ペアマッチ)

イベント戦の設定
「イベント登録」で「対戦相手指定設定」「霊玉の装備」などの設定を行えます。
パーティの編成
トレゾア [498] をパーティに誘ったが断られた……
イベント名
パーティ名
メンバーゼーレ
 [E-No.269]
精霊兵『白虎』
 [NPC]

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーリビ
 [E-No.164]
ゼーレ
 [E-No.269]
トレゾア
 [E-No.498]
ニェー
 [E-No.503]

プロフィール

クラス
種族
性別女性年齢???歳身長???cm体重???kg
ゼーレ・フェアリュクトハイト:seele・verrÜctheit

年齢は外見からは判断できないが、おそらく20代半ば。

一人称:ゼーレちゃん
二人称:キミ
知っている人に対しては呼び捨て、年下(と判断したら)ちゃん付け。

派手な顔は全部化粧。
よっぽど親しい人でないと素顔は見せない。もちろんPTMにも。
行動原理が「面白そう」なので人の迷惑等考えないタイプ。

体は義足や義眼などの改造オンパレード。
今後やりたい事は「腕を切り落とす」事。
足の長さが違うので義足で調節している。
腰もコルセットでぎゅうぎゅうに締め付けている。

痛みが快楽と感じるので積極的にそっちに進んでいく。

痛みを感じる事こそがこの世に存在している証。
痛みこそが自分の存在理由。
けれど、痛みを感じなくなる事が自分の希望。
矛盾した存在。

アイコン(10)はるかさん作

アイコン一覧

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サブプロフィール

ナンシーちゃん(E-no.209)が踊ってくれませんかと言ってくれたのでドレス着ちゃった!
そして力尽きた(色塗りで)
折角なのでここに展示します。

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
900000012301310
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
0000000012.27

素質

素質素質素質素質
飛行 Lv1

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
172精製魔力の木10101010××ガイ=バウ
29精製魔力譲渡10101010カフトゥ・トランスフィア
237精製増幅10101010×フィシュターコン
30精製武器魔力付与20--20--マーグシュヴァッフ
31精製防具魔力付与--20--20マーグシュロイストン
49精製模擬効果10101010ズィムリエッテ
254精製寄贈10101010シュペンデ
255精製徴収10101010ザムロン
1374精製精製皆伝--------××
1376精製合成皆伝--------××

装備品

主力:両手(武器)LvCP攻撃防御精度
ビーネ
毒針を仕込んだゾーンチックマシンガン
7335035
スロット1
スロット2
スロット3
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
グロル
7303535
スロット1
スロット2
スロット3
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
ムタツィオーン
7303535
スロット1
スロット2
スロット3
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1551335067128148
補助0000

所持アイテム (5/25)

No種別装備アイテム名価値
1精製霊玉原石 Lv1(精製するとランダムに霊玉を入手)100
2精製霊玉原石 Lv1(精製するとランダムに霊玉を入手)100
3霊玉かばう Lv1 [+1](防具)100
4素材狼の牙25
5素材精霊兵の破片75
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