E-No.119
![]() | 本名:ライナス=ハシュナ 通称:ライナス |
- 一言メッセージ
――9
「ここに、一つの家庭がある」
暗闇を揺蕩う様な微睡みの中、聴こえてきたのは一つの声。
男なのか、女なのか、幼いのか、老いているのかさえ、そこからは区別がつかない。
「父がいて、母がいた。夫婦で移り住んできた為にその上の系譜は存在しないが、子宝に恵まれ娘と息子の二人を授かった四人の家族」
黒い靄が集い、蠢き、形を成す。不定形だった靄が、男の眼前にて明確な意思に沿って質量と密度を伴いだす。
それは、チェス盤めいた黒卓。
次いで輝くは、光。黒い靄を払う様に照らすそれは、同じく集い、蠢き、形を成す。
それは、駒。王(キング)、女王(クイーン)、そして2つの歩兵(ポーン)の都合4個。それが家族四人の象徴である事は、言われるまでもなく理解出来た。
「子供二人は生まれながらにして大きな障害を抱えていたが、生きる上では健康そのもの。多少の困難はあれど、家族皆で乗り越え、幸せに暮らせるものと夫婦は思っていた」
語る口調は穏やかでありながら、どこか愉しむ様に朗々と。
刹那、歩兵が2つ、障る音を立てて醜く歪む。
先端の球体、その半ばに突き立つ無数の棘。
嗄(しわが)れた様に痩せ細る、駒の全身。
前者は娘で、後者は息子。視覚の全損と、魔力の全損。盤上にある四駒は、まるて支え合う様に寄り添っていて。
「ああ怖い、ああ恐ろしい、これは悪魔だ、悪魔の業に違いない。人の思いは止められない。人と人が交われば、そこには間違いなく排他の意識が生まれる。そして意識が集えば、それは容易に行動へと変化する」
寄り添う駒が中央へ移動する。瞬間、何も存在しなかった場所に、四駒を取り囲む様に、闇の如く黒い駒が幾つも現れていた。
白い駒は、動けない。じりじりと狭められていく包囲網。逃げ場など、何処にも無かった。
やめてくれ、と男が言葉を漏らす。懇願する様な悲鳴はしかし、音にもならず届かない。
未来が見える、結末が見える。その後の展開が容易に予想が出来て、何よりも避けたくて、絶対に起きてはいけない事態だったから。
やめろ、やめろ、頼む、お願いだからやめてくれ。俺はどうなったって構わない。だからあの子たちは、息子は、娘は、妻だけは、助けてくれお願いだ。俺達が一体何をしたという。
開いた口は、やはり音を紡がない。動かすべき身体が、見当たらない。虚空に浮かぶ意識。瞳は閉じる事を許さず、聞こえてくる音に耳を塞ぐことも叶わなかった。
黒が、白に迫る。既にあった
一マスが、詰められる。
チェックメイト。
まず触れられた歩兵が、倒される。その後ろにいたもう一人の歩兵も、同様に。囲いの堅牢さは、女王すら逃さない。倒された駒に与えられるのは、死に至る苦痛。
一つ。それは瞳に悪魔を宿した罪。
見えざる視界など常人が持ちうるものではなく、神からの愛を受けていないのは明白。それは即ち悪魔による呪いを受けた事に他ならない。
ああ、なんて罪深い罰当たり。然るべき裁きが必要となる。
罪科は悪魔憑き。刑種は穢れた眼球の摘出による悪魔祓い。
棘が刺さった歩兵の球体を、黒駒が砕いていく。それはまるで、人間が囲って一人の少女の頭を殴り続けている様にも見えて。
一つ、それは身体に悪魔を宿した罪。
魔力を宿さぬ身体など、常人が持ちうるものではなく、神からの愛を受けていないのは明白。それは即ち、悪魔による呪いを受けた事に他ならない。
あぁ、なんて罪深い罰当たり。然るべき裁きが必要となる。
罪科は悪魔憑き。刑種は穢れた肉体への殴打による悪魔祓い。
歩兵の嗄れた身体が、黒駒が砕いていく。それはまるで、人間が囲って一人の少年を棒で叩いている様にも見えて。
一つ、それは悪魔を孕んだ罪。
悪魔を産み落とすなど、常人が行う事ではなく、神からの愛を受けていないのは明白。それは即ち、悪魔と交わったからに他ならない。
あぁ、なんて罪深い罰当たり。然るべき裁きが必要となる。
罪科は大淫婦。刑種は穢れた子宮の切除による悪魔祓い。
白駒の女王を、黒駒の群れが砕いていく。それはまるで、人間が囲って一人の女性を痛めつけている様で。
やめろという口の動きすら、もう出来ない。
止む事のない惨劇を閉じぬ双眸は映し、木霊する幻聴を鼓膜に震わせた。
文字通りの地獄。何をしてでも目の当たりにしたくない、悪夢の光景。
人間は、心無しでは生きられない。男の瞳は、最早虚ろな光しか宿さない。
伽藍堂となった心に、暗がりの声が滑り込んだ。
「地獄だろう。悪夢だろう、否、夢であればどれだけ良かったろう。こんな現実が起こりうるならば、この世界は文字通り地獄に違いない」
何故だ。何故こんな目に俺達は合わねばならない。
神よ、何故に我らを見捨て給うた。
「見捨てたのではなく、初めから見てすらいないんだよ。神はな」
音の無い言葉に、その声は答える。
では何故と、神ではなく、答えを教えてくれる身近な存在に。男は縋って。
「神などに祈った所で救いはない。現にお前も、お前の家族も、村の馬鹿共からいいように虐げられて苦しんでいる。何故だろうな?」
そうだと、無言の肯定。虚ろな瞳が、僅かに精気を帯びていく。その内に、翳りが生まれた事に男は気付かない。
ニヤリと、黒い靄が表情を浮かべた気がして。
「『私は今まで神に尽くしてきました。だからどうか私たちに祝福を与えてください』――どれだけ祈った? どれだけ叫んだ? お前がこの数週間唱え続けたこの思いは、何一つ叶う事が無かった。全部無駄だったよな、そうだろう?」
反論も、口にすることができない。存在の真偽がどうであれ、聞こえてくる声は彼にとって紛れもない事実。
何よりも、神託のようにすら思えたから。
「お前の信奉する神は存在する。ただ、お前を見ていないだけだ。ならば、どうする? 辛い現状を、苦しい現実を誰が救うんだ? ――そうだ、お前だ。お前が、お前自身で、お前の手で、家族を救うんだ」
そうして、靄が蠢き、形を成す。
黒卓が消え、駒が消える。虚ろとなった男の身体を、靄が取り巻き包んでいく。
それは力だと、お前が救う為の手段だと、何かが呟いた。
――それこそが三つ目の『呪い』だと、父親はついぞ気付く事はなかった。
――『あなたはいま、しあわせですか (うそつきね)』
お知らせ
- 登録状況
- 【クエスト】継続登録、メッセージ登録、戦闘設定登録
【イベント】ペアマッチ
- 精霊術の習得
- 増幅:限定解除 を習得!
→ 素質ポイントが上昇! [0→1]
→ 最大HPが上昇! [1100→1150]
→ スタミナが上昇! [25→30]
→ MP増加量が上昇! [11→12]
→ 戦闘設定枠が増加! [11→12]
→ 精製枠が増加! [1→2]
→ 合成枠が増加! [1→2]
増幅:突撃 を習得!
- スキルの鍛練
- 鍛練によって 増幅 のLvが上昇! [8→9]
- 装備品の強化
- 同調によって 主力 のLvが上昇! [6→7]
→ 攻撃 が上昇! [50→60] - 同調によって 補助 のLvが上昇! [6→7]
→ 攻撃 が上昇! [20→25]
→ 精度 が上昇! [25→30] - 同調によって 防具 のLvが上昇! [6→7]
→ 防御 が上昇! [45→50]
→ 精度 が上昇! [15→20]
- 霊玉の装備
- 【主力:スロット2】結界斬 Lv1 を装備!
- メッセージ送信
- ディグ [31] に 5件 のメッセージを送信!
リリス [80] に 6件 のメッセージを送信!
ナコ [171] に 7件 のメッセージを送信!
ヨザクヤ [230] に 6件 のメッセージを送信!
ユーノ [325] に 1件 のメッセージを送信!
ヤスナ [397] に 5件 のメッセージを送信!
ナギ [446] に 8件 のメッセージを送信!
メッセージ
- フロー [408]
「…そんなに拒まなくったっていいでしょうに…。」
笑みをどこか寂しげに崩しながら、フローは言う。
それが、対する相手にとって、なんらよい影響を与えないどころか、より強い不信感をもたらすとわかっていながら。
「…そうそう、あなた、協会の異端者狩りの方だそうですね。知り合いから聞きましたよ。」
知、り、合、いと。続けて、ゆっくり発音しながら、彼は『微笑(苦笑【嘲笑】)』い続けている。
「もう彼女とじゃれあった後だそうじゃないですか。
お若いのにたいそうな自制心をお持ちのようですね。”彼女”を見ていながら、虜になっていないなんて。」
少なくとも、彼が”見た目通り”の”年齢”でないことを、”存在”でないことを。彼自身はすでに隠す気が無いようだ。
…あるいは、”自然な”人間のように振舞わないほうが、君にとって良いと、彼自身が要らない気を回した―あるいは思い違えて―いるのかも知れない。
「きっと、あなたのここ(と言って、彼は自身の胸を指差す。)にも。立派な神が居られるのでしょうね。」
と言って、彼は暫し目を閉じ。
「…ああ、『お前のような者が神を語るな』なんて、無粋なことは言わないでくださいよ。
安心して…いただくかどうかは別として、僕のここ(と言って、再び彼は自身の胸を指差した)には、神は居られませんから。」
と、取り繕うように言うフロー。
「神を宿していたのは…僕ではなく、僕が”まっとうな”(疑わしいことことこの上ない、と君は思うかもしれない。)道に戻るための、きっかけをくれた人ですよ。」
「彼は、伝道師だと言っていました。あなたと同じ宗派の方かどうかは知らないですけれど。」
けれど、彼の持っていたクロスは、あなたの持っているものと似ていた気がします。と。
フローはそういって、今度こそ、カウンターへと向かって歩いていった。
イベント(武術会【混沌杯】)
イベント名 | 武術会【混沌杯】(組み合わせ)(試合結果) | |||
---|---|---|---|---|
パーティ名 | ![]() | 第38パーティ [P-No.38] | ||
メンバー | ![]() | ライナス [E-No.119] | ![]() | オボロネ [E-No.150] |
![]() | ななこ [E-No.784] | ![]() | ゲオルグ [E-No.865] |
イベント(ペアマッチ)
- イベント戦の設定
- 「イベント登録」で「対戦相手指定設定」「霊玉の装備」などの設定を行えます。
イベント名 | ペアマッチ(組み合わせ) | |||
---|---|---|---|---|
パーティ名 | ![]() | 第230パーティ [P-No.230] | ||
メンバー | ![]() | ライナス [E-No.119] | ![]() | イサナ [E-No.496] |
クエスト
クエスト名 | 精霊協会−初級戦闘技術訓練 [+1]【戦闘結果】 | |||
---|---|---|---|---|
パーティ名 | ![]() | どうみても修羅場 [P-No.408] | ||
メンバー | ![]() | ライナス [E-No.119] | ![]() | ナコ [E-No.171] |
![]() | ヨザクヤ [E-No.230] | ![]() | フロー [E-No.408] |
プロフィール

クラス | "教会"特務第13課対化物専門機関 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
種族 | 人間 | ||||||
性別 | 男性 | 年齢 | 15歳 | 身長 | 201cm | 体重 | 96kg |
短く刈られた藍色の髪、若緑の眼。
鍛えられた肉体は頑強そのもので、墨黒の僧衣の下からでもその存在感を主張する。
常に閉ざされている様な細目の奥の瞳は、どこか少年の様な純真さを秘めていた。
その姿とは対照的に、幼きに傾倒した思考回路。
職業柄か丁寧に徹した言葉遣いをするものの、年齢を鑑みれば時折使い方が怪しくなるのも仕方ないと言える。
彼は精霊術師ではない。
それどころか、力を借りるべき精霊の姿すら、彼の眼は映さない。
・"教会"
救いが欲しいと、誰かが求めた。
信仰心を礎に、人々は集団を形成し、やがて組織を構成した。
唱えられるのは、唯一神への祈り。唄われるのは、賛美歌と感謝。
故に、人々は恐怖した。その与えられた救いが破壊されることを。
共同体が忌む物とは外。それこそ即ち、自らに迎合せぬ異端。
裁きを与えよと、誰もが求めた。
鍛えられた肉体は頑強そのもので、墨黒の僧衣の下からでもその存在感を主張する。
常に閉ざされている様な細目の奥の瞳は、どこか少年の様な純真さを秘めていた。
その姿とは対照的に、幼きに傾倒した思考回路。
職業柄か丁寧に徹した言葉遣いをするものの、年齢を鑑みれば時折使い方が怪しくなるのも仕方ないと言える。
彼は精霊術師ではない。
それどころか、力を借りるべき精霊の姿すら、彼の眼は映さない。
・"教会"
救いが欲しいと、誰かが求めた。
信仰心を礎に、人々は集団を形成し、やがて組織を構成した。
唱えられるのは、唯一神への祈り。唄われるのは、賛美歌と感謝。
故に、人々は恐怖した。その与えられた救いが破壊されることを。
共同体が忌む物とは外。それこそ即ち、自らに迎合せぬ異端。
裁きを与えよと、誰もが求めた。
アイコン一覧
1 | ![]() | 2 | ![]() |
---|
ステータス
HP | 火MP | 水MP | 風MP | 土MP | MP増加量 | スタミナ | 素質P | GP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1150 | 0 | 0 | 0 | 0 | 12 | 30 | 1 | 420 |
増幅 | 放出 | 治癒 | 結界 | 強化 | 操作 | 具現 | 中和 | 精製 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9.78 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
素質
素質 | 素質 | 素質 | 素質 |
---|---|---|---|
HPアップ Lv1 |
精霊術
術No | 系統 | 種別 | MPコスト | 対象 拡大 | 対抗 発動 | 術名 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
火 | 水 | 風 | 土 | ||||||
1 | 増幅 | 強打 | 40 | -- | -- | -- | × | × | |
122 | 増幅 | 突撃 | 40 | -- | -- | -- | × | × | |
2 | 増幅 | 連撃 | -- | -- | 40 | -- | × | × | |
210 | 増幅 | 瞬斬 | -- | -- | 40 | -- | × | × | |
128 | 増幅 | 神速 | -- | -- | 40 | -- | × | ○ | |
130 | 増幅 | 命中 | -- | -- | 40 | -- | × | ○ | |
3 | 増幅 | 防御 | -- | -- | -- | 40 | × | ○ | |
58 | 増幅 | 属性攻撃耐性増幅 | 10 | 10 | 10 | 10 | × | ○ | |
278 | 増幅 | 限定解除 | 10 | 10 | 10 | 10 | × | ○ | |
14 | 強化 | 均衡能力強化 | 10 | 10 | 10 | 10 | ○ | ○ | |
15 | 強化 | 攻撃能力強化 | 20 | -- | 20 | -- | ○ | ○ |
装備品
主力:両手(武器) | Lv | CP | 攻撃 | 防御 | 精度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | 3 | 60 | 0 | 10 | ||
スロット1 | 土MPアップ Lv1 | ||||||
スロット2 | 結界斬 Lv1 | ||||||
スロット3 |
補助:補具(防具) | Lv | CP | 攻撃 | 防御 | 精度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | 3 | 25 | 15 | 30 | ||
スロット1 | |||||||
スロット2 | |||||||
スロット3 |
防具:重装(防具) | Lv | CP | 攻撃 | 防御 | 精度 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | 3 | 0 | 50 | 20 | ||
スロット1 | |||||||
スロット2 | |||||||
スロット3 |
攻撃力 | 命中力 | 受け 防御力 | 受け 成功力 | 防御力 | 回避力 | |
---|---|---|---|---|---|---|
主力 | 165 | 122 | 50 | 61 | 151 | 122 |
補助 | 0 | 0 | 0 | 0 |
同調値一覧
霊玉名(武器) | 同調値 |
---|---|
結界斬 | 2 |
霊玉名(武器・防具) | 同調値 |
---|---|
土MPアップ | 4 |
土の支配者 | 4 |
霊玉名:【青字】同調値は上昇可能/【赤字】同調値は上限に達している
所持アイテム (2/25)
No | 種別 | 装備 | アイテム名 | 価値 |
---|---|---|---|---|
1 | 霊玉 | 主1 | 土MPアップ Lv1 | 100 |
2 | 霊玉 | 主2 | 結界斬 Lv1(武器) | 100 |
サブクエスト | ポイント |
---|---|
精霊兵研究所(ヘルミーネ) | 300 |