精霊伝説
トップページ冒険結果一覧 > E-No.172 (第28回:2013/3/30)

E-No.172

本名:ペーター・リア・フォン・オッフェンレンツ
通称:ペーター

【戦闘結果】【過去の冒険結果】【メッセージ一覧】

一言メッセージ
年経た墓守の男は鬨の声に手を止めて窓の外を見た。窓を叩くものは荒れ狂う風であったのか、人々の怒気であったのか、それとも妖精たちの戸惑いであったのか。彼は一度白い髭を撫で、また自らの手仕事へと返った。カンカンと、規則正しい音を立てて、彼は棺のための釘を打っているのだった。蝋燭にぼんやりと照らされる部屋のなかには、すでに仕上げられたいくつもの、どうしようもなく簡素な棺が積み上げられていた。
厳しい冬の過ぎ、春を待つ季節にあってなお、これほど夥しい数の棺を作ることは彼に初めてだった。けれどメルヴァルツァの兵士の領境にあるよりも以前から、墓守はある種の職業的な第六感により、いくつもの棺へ手を付け始めていたのだった。鳥たちの訪れが、山犬の遠吠えが、商隊の迂回が、進軍を密やかにささやきかけていた……。
(棺は足りる。墓穴は掘りきれるだろうか。男手のあまりに死なないといいが。幸いミモザはすでに開き始めている、送りのためのミモザには事欠くまい……)
また一つ大ぶりな棺が仕上がり、次いで彼は子供用の棺に手をつけた。オッフェンレンツの領に暮らす何人もの子供の顔を一つ一つ浮かべ、その誰が入ろうとも構わない棺を、寸法し、切り取り、継ぎ合わせる作業は、死を取り扱うにはあまりに冷酷だった。葬儀の進行の手続きを計算する理性もまた。けれど彼は死のあとに求められるものがそうした冷酷さであることを知り抜いていた。

領土紛争であるなら、どう転ぶにせよ、大きな人死にの出る戦ではない。農民は逃げればよく、また逃げる農民を殺す意味もない。しかしそれでもなお墓守は手を止めなかった。理性的判断を持ちながら超理性的な呼びかけへ身を委ね飛び込んでいく方策を知っていたのは、領主ペーターよりもむしろその墓守だった。いや、そうした力能に、血統の貴賤の関わるはずもなかった。畢竟は人格である。……

                   

廊下をゆく。すると足音が響く。取り残された残響が次の足音に追いつく。その残響も次の足音に追いつく。響きやまない輪唱が影法師のように私をついてくる。とらえて離さない。逃げられない。足音の響かない床に張り替えなくては。響きの中に私は閉じ込められてゆくようだ。

痛む目を少しだけ伏せる。慣れた廊下だ。瞑っても歩ける。暗闇は恐ろしい。けれど父への怒りが、少しの自暴と蛮勇を私に与えていた。

……幻覚が見える。瞼の裏で踊るような人影。それは錯覚だ。ランプの火が歩調に合わせて揺らめき、それの瞼を通しているに過ぎない。けれどあまりにその影は人間に似ている。首のない人間に似ている。兵士たちに首を刎ねられていく無抵抗の人間に似ている。瞳が熱くなる。幻覚だ、と言い聞かせる。瞼を開ける。まだいかほども進んでいない。これほどに長い廊下だったか。

兵士たちは領境に待機している。エトガルに不穏な挙措は見えなかった。ボニファの焦りは真正のものだった。不意討ち、あり得まい。そんな戦いはいまだ始まっておらぬ。戦はこの土地に押し寄せてはおらぬ。まだ堰き止めることができる。私たちのこの机上の紙と抗弁で。幻覚だ、私の瞳はどうやらだめになりはじめているらしい。見るべきでないものさえいまや見え始めている。貝が欲しい。妻の貝はどこへ行ったのだろうか。彼女の遺品のなかに紛れているのだろうか。海のように冷たい水が欲しい。瞳が熱い。この閉ざされた領城(シュロウス)に一握の泉が。頭痛がする。瞼の重い。瞳を閉ざそう。

……瞼の裏には、ああ、また幻が見える。人影が人影の頭を掴んでいる。強く握り締めている。大口が開かれ、片方が食い千切られる。闇が来て、そのあとを、少年のように小柄な、ちっぽけな、ひどくか弱い、痩せこけた憤怒がさまよっている。足取りは重く、なにかを探し求めている。ふと横顔が輪郭を結ぶ、君は、――おお、けれどそんなはずはない。戦いはいまだ始まっていないのだから。鼻の裏に血の味。瞳の奥から流れてきたのだろうか。

父は凜々しかった。あの年頃の人に付ける形容としては可笑しいのかもしれないが、若者の鋭さがあった。それに加えて、年を重ねた優しさがあった。厳格さと寛容さが同居して偉大さを作り上げている例を、私は父のほかに知らない。知らなかった。父は母を愛していたのだと思う。愛しながら妹を抱いた。なぜそこに一片の自制を保てなかったか? キワコを殺さぬため? 殺さぬためを言い訳に、己の肉欲を許したと? 責めたい。責め、なじり、胸ぐらつかんで、晩年のあの細い体といえ容赦せぬ、壁に押し付けて、問いたい、「何故?」。あなただけが答えを知っているその問い、それになぜ私が、あなた亡きあとに答えを探さねばならない?

目を開ける、まばたきする、まばたきのたびに幻がちらつく。廊下の壁に手をつき、目を閉じる。「ペーター様?」ボニファが呼びかけるが、大丈夫だ、と手で返す。歩みは止めない。私には幻が見える。あるはずのないことがら、ありえないことがら、私にだけそれが見える。
これは私の幻だ。私は私の周囲のあらゆるものから逃げることができる。しかし私の見る幻から逃げることはできない。幻は私を侵略する。言い換えるならそれは私に宛てられた侵略なのだ。ああ……長い糸に絡め取られる細い人影。走っている。それを追う小さな者たちがすがっている。あれは誰だろう。細い人影。それはやがて一人で歩いている。背筋を伸ばし、けれど無数の糸や鎖を引きずりながら、君はなぜそれほど毅然といられる? うずくまる少年がいる、それは私だ。私は人影を見上げている。通りすぎていこうとするその人を、目線は、きっと憧れ。けれど歩いているものももしかするなら私だったのかもしれない。私もそれになれたのかもしれない。だが私はどこかでそれであることを選ばず、どこかで縄打たれることをよしとし、引き受け、受け入れた、このあり方を、このぶざまを、この紛争を。うずくまる彼が手を伸ばす。せめてもの勇気?

目を開けたときに見えるものが現実。閉じたときに見えるものが幻。どうやら私にはまだその区別がついている。父はこうした幻を見たのだろうか。そんな素振りはなかった。と思う。私の見ていた限りでは少なくとも。精霊力がこれほどに内的に作用することも……私の体内で火の精霊力が燃えている、強く、あかあかと。オッフェンレンツの血脈にはミモザに擬えられた炎が燃えている。私の火の精霊力は痛いほどに熱く、もはや私の心身をどうやら害し始めてさえいるようだ。父と母が……例えば
もしも同じくオッフェンレンツであったなら? 人の身に許される領分を超えた精霊力との親和が、この血に、この身に流れているのだとしたら? ああ、それは架空だ。絵空事だ。空想だ。邪推、臆断、当てずっぽう、論理の立つべきどういった確かな拠点のありもしない、ただみなしごの命題だ。(……でも)幻のなかで妻の唇の形に光が割れる。音はしない、けれど唇の動きが言葉を伝える。(呼びかけに応えるということは、闇の中に降りていくこと。本当はそうでないかもしれないもののなかで、誤りながら、そうであるかもしれないと信じて、採択して、見通しのない行為をすること)。じゃあ、これがそうなのか? こんなにもおぞましい、身の毛のよだつ、許されがたい、非道徳的な、高貴なものにあらざる、穢れた、泥まみれの、獣じみた来歴。私は獣の子。私は____の子。そうである具体的な理由はなにひとつなく、そうでなくてはならない制度的な要請はなにひとつなく、むしろあらゆる状況がそうでない方角へと立証を押し流そうとする一つの命題を、私は信じると採択すること。愛。

(ダメだといっているのが解らないの、ペーター!)

私の耳にはなにも聞こえない。ボニファにも聞こえた様子はない。それは音にならない幻、私の瞼の裏にだけ見えるキワコの小さな赤い唇の開閉。あのときの君はたしかに母に思えた。

背筋が伸びていく。恐る恐る、瞳を開く。痛みは引いている。見ることができる。視界の隅にくるくると回る黒い糸が見える。どうやら幻は少しずつ開かれた視界にさえ紛れ込み始めた。意味をなさない形をまだかろうじて保っているとはいえ。せめてサエトラのように歩もう。毅然と。時あらばトモリのように戦おう。誠実に。書庫の奥には世代を超えた文字が私を待ち受けている。私はそれを読まねばならない。なぜであるか? それが文字だからだ。私たちを取り巻いているといういくつもの呼びかけのうちの一つ、文字、その文字の呼びかけにであるなら私は応えてきた。応えられると妻は言った。私に応えられるはじめの呼びかけ、自らのものと採択できる最初のひとつめは、きっとその文字。

「ねえペーター、私ったら真面目な話をしているのよ。これは錯覚の話。呼びかけの錯覚の話。いいこと? あなたに呼びかけているものなんて、本当はひとつもありやしないの。ただ、あなたが文字を通じてあなたに呼びかけている言葉があると錯覚して、その錯覚に、あなたなりの誠意で出頭しているだけ。だからね、ペーター、私は思うのだけど、
文字が読めるというのは誠意の問題なのよ。呼びかけられていやしないそのときに、実は呼びかけられているのじゃないかという慄きに、どこまで誠実でいられるのかという問題。本当は呼びかけはどこからも起こっていない。でも、あなたはそれを選びとる」

頭痛が帰ってくる。瞳が熱くなる。読みたくない。見たくない。私の本音だ。読もう。見よう。けれどそれも私の本音だ。呼びかけは人を二つに引き裂く。だからそこには血が流れる。扉は開くだろう。閉ざされていた古傷が閂に合わせて口を開け、あるいは古びた血をまた流すのだろう。すべての不幸は閉ざされていることに由来し、なにかが開くときには血が流れ出す。私が今受け入れるこの出血の勇気は、どうやら父への怒りに由来する。私の投げ棄てられてあるこの不条理にも由来する。だがどうした澱みに支えられたものであれ、勇気は勇気であるらしい。

ヘラを……キワコを屋敷の外に出してはならない。それは何故だ?
オッフェンレンツに禍を呼ぶ。それは何だ?
キワコと交わってはならない。それは何故だ?
交わらぬことがヘラを殺す唯一の方法。何の意味でだ?

噛み締めた奥歯が鳴る。顎の奥で響く。足音とは違う。残響は追わない。禁忌を守るなら話は簡単になる。キワコを閉じ込め殺せばよい。禁忌を破るなら困難が訪れる。キワコを生かし……禍と戦うことになろう。今、私に判別の基準はない。規則がなく、律法がない。それを求めて書庫に来た。しかし! ことすべて白日に至らば、私は決断をせねばならない。今度こそは、領主として。たった一つの。撤回の利かない、引き受けるべき、私の答え。私への呼びかけ、私への幻、それを引き受けて。誰を責めることもできぬ、自業自得な外傷を伴いながら!

お知らせ

登録状況
【クエスト】継続登録、メッセージ登録、プロフィール登録、サブクエスト登録、コミュニティ設定登録
マーケット出品
ベル [120]匠の技 Lv1 を売却! [+1,700GP]
マーケット落札
キリィ [897] から 狙い撃ち Lv1 を購入! [-250GP]
エレイン [2] から 狙い撃ち Lv1 を購入! [-350GP]
精霊術の習得
増幅:憤怒III を習得!
中和:火の隔絶 を習得!
素質の開花
火炎耐性 Lv1 を開花! [-1P]
→ 火炎耐性が上昇! [0→30]
スキルの鍛練
鍛練によって 増幅 のLvが上昇! [27→28]
アイテムの購入
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
霊玉原石 Lv1 を購入! [-200GP]
【今回の抽選結果を表示】【次回の販売アイテム一覧を表示】
アイテムの精製
霊玉原石 Lv1 を精製!
→ [+1] … 失敗 [40%]
先制 Lv1 を獲得!
霊玉原石 Lv1 を精製!
土重耐性 Lv1 を獲得!
霊玉原石 Lv1 を精製!
ワクチン生成 Lv1 を獲得!
霊玉原石 Lv1 を精製!
自爆 Lv1 を獲得!
霊玉原石 Lv1 を精製!
火炎耐性 Lv1 を獲得!
アイテムの合成
魔闇付加 Lv1 [+1]魔闇付加 Lv5 [+4] を合成!
→ [+1] … 成功! [390%]
→ [+2] … 成功! [270%]
→ [+3] … 成功! [160%]
→ [+4] … 成功! [55%]
→ [+5] … 失敗 [2%]
魔闇付加 Lv6 [+4] を獲得!
→ 合成したアイテムを ロジーヌ [281] に送付!
聖光付加 Lv2 [+1]聖光付加 Lv5 [+3] を合成!
→ [+1] … 成功! [242%]
→ [+2] … 成功! [142%]
→ [+3] … 成功! [42%]
聖光付加 Lv7 [+3] を獲得!
→ 合成したアイテムを ロジーヌ [281] に送付!
サブクエスト:精霊兵研究所(ヘルミーネ)
精霊兵の破片 をポイントに交換! [+75P]
精霊兵の破片 をポイントに交換! [+75P]
装備品の強化
同調によって 主力 のLvが上昇! [26→27]
攻撃 が上昇! [69→71]
精度 が上昇! [191→199]
同調によって 補助 のLvが上昇! [26→27]
攻撃 が上昇! [170→180]
同調によって 防具 のLvが上昇! [26→27]
精度 が上昇! [235→245]
霊玉の装備
【補助:スロット1】覚醒 Lv2 [+1] を取り外して 匠の技 Lv1 を装備!
【防具:スロット1】かばう Lv1 [+1] を装備!
【防具:スロット2】トレジャーハンター Lv1 を装備!
メッセージ送信
バラー [13]1件 のメッセージを送信!
ロジーヌ [281]2件 のメッセージを送信!
コミュニティ
オッフェンレンツ領 ミモザ祭り を設立しました!

メッセージ

キワコ [96]
「『さみしい』…。
キワコ…でも………さみしいことは、いけないこと…?
ペーター様は、おさみしくありませんの…?みんなは……、
サエトラや、トモさん、みんなはどうして、さみしさに支配されないで…
いられますの……。どうしてキワコばかりさみしくて……。」

「……
いけませんわ……キワコとても そんなの……。
キワコは、増えたいの…さみしいというなら……、増えたいの、当たり前ではありませんの……?ずうっと誰かと…、一緒になっていたいもの…」



「…キワコ…心………
心のつながり、どうすれば良いんですの……
…心のつながりかた、…キワコ、知りません。
だって確証が…、確かな感覚がないじゃあ、ありませんの?
どうして、繋がっていると確認する事が出来ますの……?心のつながり……
キワコ今、どなたかと繋がっていますの…?…ペーター様……」



泣きながらウン、ウンと頷いている。大人しくペーターから降る言葉を聞いている。
名家の女であれば何か変わったかもしれない、などの言葉を聴いて、
捨てるようにぽつりと呟く


「……ペーター様…、キワコ、ちゃあんと…家族になりたかっただけですのよ
 …困らせるつもりなんて……。…」






「なにがそれほどお辛いのか」

「キワコには解りませんわ」

「………、狭いところが怖ろしいなんて…、
 お棺、お母様の胎内のようなものでなくて……?きっと心地の良い
 ところですわ……。入っても見ないペーター様にお棺が居心地が悪いなんて、
 どうして解りますの…?」
サエトラ [108]
「お父上の肖像を?たとえ拙くとも、お見せしたらきっと喜んでいただけたでしょうに。
 …かくいうわたしも、絵はからっきしで。
 自分で描いた絵なぞ、1枚でも残っているかどうか…」

「…本当のところは、どうなのでしょうね。
 セロシアの家の夜会で出会ったとは聞きましたが、
 父はあまり母の事を語りませんでしたから…ああ、
 母は早くに亡くなっていて、わたしは母の思い出をほとんど持っていないのです。」

「…ええ、恐れ入ります。どうか、誰にも。」

「そうですね、自由というのは…
 風通しがよいぶん、時に雨ざらしにもなるでしょう。
 でも、雨に当たるのって、存外気持ちがいいものですよ。
 少なくとも、わたしには。」

「…、ペーター様。
 ペーター様は、なぜお屋敷を広くされるのですか?
 お気を悪くされたらごめんなさい。
 お屋敷を大きく、広くすることを悪く思っているのではないんです。
 ただ、なんとういうか…自由、ということばを聞いて、なんとなく、思ったんです。
 ペーター様がお屋敷の壁を壊す理由は、なんなのだろうって。
 わたしのように、雨ざらしになりたいわけではないでしょうから…と…」
「ペーター様が、それは、キワコに応えられないのは…
 道理でしょう。…」

「キワコは…キワコが真に満たされることは、あるんでしょうか。
 わたし、わたしには、できなかった。
 それはわたしが女であって、彼女が求めるものを全て与えることができないからでしょう。
 …癒せるならば、わたしが、癒してあげたい。今もそう思っています。
 男に産まれれば良かった、とは思いませんが…
 わたしが、キワコと恋に落ちることができれば、よかったのかもしれないと…
 …」

「実のところ、トモリに、それを期待していたんです。
 キワコの事を真に愛し、理解し、共に在ってくれないものかと…
 …ふたり、どうでしょうね。キワコ、泣いていた…」

「…わたしたちは、真にキワコを満たすことができないんでしょうか?
 彼女がほんとうに欲しいものは、なんなんだろう…」
「…本当に、そうですね。難しいことばかり…
 こんな穏やかな土地にも、どうしても、どこまでも自由とはいかないのですね。
「でも、ええ。お一人で抱え込む必要はございませんとも、ペーター様。
 わたしも、トモリも、その為にここにいるのですから。
 庭が、日々の食事が、心身の糧となって、それが少しでもあなたを軽やかにできたらと…
 精一杯、ペーター様のお手伝いをさせていただきます。」

「…」
「…え?」

「ぺ、
 ペーター様。ごめんなさい、それはどういう…」

「…」

 ミモザの香りがよぎる。


「…ペーター様。
 わたしはもはやセロシアの家名に連なるものではありません。
 ただのサエトラ・マミテラ、つまらない、何の力も持たない庭師の女です。

 その上で、この一介の庭師に、オッフェンレンツの家名にと仰って下さるならば…
 …そのお言葉、お気持ちだけで、身に余るような…光栄です。
 ペーター様のことも、オッフェンレンツのことも、わたしにできることならば、
 支えて…、差し上げたいと。
 でも、…」

「…ペーター様…
 もしも、わたしたちが、本当の家族になったなら…
 キワコは、満たされるでしょうか。キワコは、どうなるんでしょうか?
 …ペーター様と、結びつきたい、家族になりたい、キワコは…」

「…」


「ごめんなさい。当面のことに、決着がついたら、と仰いましたね。
 心に、留めておきます。…ありがとうございます、ペーター様。」
ヘルム [109]
「恐縮です」

そうとだけ言い、頭を下げた。

「…」

ヘルムは静かに話を聞いている。
合間合間に、頷きを返しながら。

ただ、罰と恐怖のくだりで
一瞬身体が動いたが、ただ、それだけだった。

話が全て終わってから、ヘルムは言葉を発した。

「なるほど、大変参考になりました。
やはり貴方様にお話をお伺いできて、良かった。
バーンシュタインにも通じるお話がありました」

特に農民との信頼関係の構築。
農地の具合を見ての税の調節、裁判の話。
これらは十二分に意識すべき類の話だろう。

国王に仕える公爵とはいえ
上ばかり見ているのではなく、自分を支える民にも目を向けねばなるまい。
そういう事だろう。

その土地にはその土地の流儀がある。
しかし相通ずる部分もやはりあるのだとヘルムは確信した。

「やはり、全てとはいかずとも
多くをペーター様のお父上からお学びになったのですか?」

この方の父親ならば
さぞ立派な方だったのだろうな、と思いつつそう尋ねた。

「そんな事で…宜しいのですか?
我が国花は矢車菊。毎春、送らせていただきましょう。
ですからペーター様もご壮健でいてください」

「お庭も拝見させていただきました。
とても素晴らしいお庭ですね。
お手入れなされている方の気配りが伺えるようでした。

と、真剣な顔つきになり。

「…オッフェンレンツの為に剣を貸せ、とは
仰らないのですね。ご配慮、でしょうか?」

トレード

ロジーヌ [281]
魔闇付加 Lv5 [+4] を受け取りました!
聖光付加 Lv5 [+3] を受け取りました!
聖光付加 Lv2 [+1] を受け取りました!
魔闇付加 Lv1 [+1] を受け取りました!

クエスト

クエスト名
パーティ名
メンバーキワコ
 [E-No.96]
サエトラ
 [E-No.108]
ペーター
 [E-No.172]
トモリ
 [E-No.272]

プロフィール

クラス
種族
性別男性年齢45歳身長172cm体重47kg
Peter Lear von Offenlenz
 名家オッフェンレンツ家を束ねる当代。身なりの整った痩せた男。
 憑かれたように屋敷の増築を繰り返す。

妻には先立たれ、子はない。兄や姉、両親も既に他界し、先祖代々の広大な土地に孤独な屋敷を構える。
ペーターの代での度重なる改修に財政は傾き、使用人たちは去っていった。

穏やかで落ち着いた物腰。常に憂いを帯びた表情。
閉所恐怖症。閉じ込められることを恐れる。
壁の爆破や破壊に安堵を抱く面がある。

酒に強く、酔えない。煙草は吸わない。
屋敷の上階から遠くを見るのが好き。老眼。

素質
火MPアップ オッフェンレンツの血脈に遺伝する火の精霊力は、「春の力」。春の恵みとともに、冬を退ける春の破壊性を象徴する。ミモザの花を媒介とするその精霊武具のように、ペーターの周囲にもまた、ミモザを思わせる甘やかな香りが漂う。

スタミナアップ 精霊力との親和は壮年の肉体にもなお往時の若々しい体力をもたらす。ごく短い時間に限られるが、ペーターは己のうちなる火の精霊力を燃やすことで、体力の代替となしている。

睡眠耐性 あかあかと燃える火の精霊力は、次第にペーターから夜を、睡眠を奪ってゆく。瞳の奥には常におぼろげな明るさがつきまとい、深い眠りを許さない。

領土オッフェンレンツ
「開かれた春」の名を持つ豊かな土地。ハイデルベルクから馬で二日ほどの距離に広がる田園地帯。
古来魔物たちの襲撃から農民を守ってきた家が次第に勢力を増し、農民たちを守る代わりに年貢を受け取るようになり、やがて土地の領有権を持った上で農民に貸し出して税を取る、という形の地方豪族となった。
魔物の対策をするその性質上オッフェンレンツ家は精霊協会とつながりが強く、代々の当主は試験をパスして協会に所属する習いである。
家紋は春の花々が囲む門。家の花はミモザ。オッフェンレンツの春の始まりにはミモザの花束を抛る祭りがある。

地と水の精霊力に恵まれた肥沃な土地で、四季折々の植物が咲く。草原が広がり、木々が生え丘があり、小川が流れ畑が並ぶ。周囲は山に囲まれているが、どの山もそれほど険しくはない。家々はちらほらと並び、住民は多くない。山を降りてくる猪や狐による獣害が土地の悩み。精霊や妖精が息づき、古い伝承をいくつも残している。

クレジット
 icon [9] by キワコ(E-No.96)
 icon [10], party icon by キワコ(E-No.96)
 icon [49] by キワコ(E-No.96)
 icon [11] - [20], {31} - [40] by ロジーヌ(E-No.281)
 icon [41] by ルスキニア(E-No.36)

 第25回更新一言メッセージイラスト by ロジーヌ(E-No.281)

アイコン一覧

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サブプロフィール

オッフェンレンツ家・屋敷

オッフェンレンツ家の屋敷は元来それなりに大きなものだったが、ペーターが当主となってからの十年で大幅にその外観を変えた。
ベージュと赤が基調とした先祖伝来の構造を母体に持ちながら、内部は壁が撤去されつつ大きく拡張され、外観にもいくらかの付け足しがある。

屋敷は今も巨大になり続けている。

現在3階建て。1階から2階にかけては中心のほとんどが吹き抜けになっており、高い天井を思わせる。
塔を建造中。
広い庭は庭師のいなくなってより以降荒れ果てていた。現在はサエトラ(E-No.108)が管理している。

住人は現在、ペーター(172)、キワコ(96)、サエトラ(108)、トモリ(272)の四人のみ。
衛兵のたぐいはないが、屋敷のあちこちに妖精(と呼ばれるなにか)がうごめいている。

山に囲まれたオッフェンレンツの肥沃な土地のなか、見晴らしのいい場所に立つ。

冬の日には煙突から吐き出される煙がオッフェンレンツの野にたなびいている。

家を象徴する花はミモザ。

ステータス

HP火MP水MP風MP土MPMP増加量スタミナ素質PGP
14501000001916511,287
増幅放出治癒結界強化操作具現中和精製
29.2500000013.328.74
混乱耐性猛毒耐性睡眠耐性麻痺耐性火炎耐性水冷耐性風雷耐性土重耐性
00200030000

素質

スタミナアップ Lv2火MPアップ Lv5睡眠耐性 Lv4火炎耐性 Lv1

精霊術

術No系統種別MPコスト対象
拡大
対抗
発動
術名
1増幅強打40------××ミモザの赤熱
1増幅強打II80------××ミモザの赤熱
1増幅強打III120------××ミモザの赤熱
122増幅突撃40------××ミモザの澎湃
122増幅突撃II80------××ミモザの澎湃
250増幅憤怒40------××ミモザの報復
250増幅憤怒II80------××ミモザの報復
250増幅憤怒III120------××ミモザの報復
2増幅連撃----40--××ミモザの散逸
212増幅乱撃----40--××
212増幅乱撃II----80--××
210増幅瞬斬----40--××ミモザの足掻
210増幅瞬斬II----80--××ミモザの足掻
128増幅神速----40--×ミモザの遅咲き
128増幅神速II----80--×ミモザの遅咲き
129増幅超神速----60--×ミモザの急落
129増幅超神速II----120--×ミモザの急落
130増幅命中----40--×レンツの領野
130増幅命中II----80--×レンツの領野
131増幅回避--40----×
131増幅回避II--80----×
3増幅防御------40×拒みのシュロウス
3増幅防御II------80×拒みのシュロウス
36増幅治癒--40----×シュロウスの泉
36増幅治癒II--80----×シュロウスの泉
36増幅治癒III--120----×シュロウスの泉
58増幅属性攻撃耐性増幅10101010×
58増幅属性攻撃耐性増幅II20202020×
265増幅結界斬------40××明るみのベライヒ
265増幅結界斬II------80××明るみのベライヒ
265増幅結界斬III------120××明るみのベライヒ
265増幅結界斬IV------160××明るみのベライヒ
24中和魔力減衰10101010×フェルトの開け
27中和魔力消散10101010
145中和封印10101010×
171中和魂の呪縛10101010擬制へのアプシート
164中和火の隔絶60------××
96中和魔力吸収10101010
28精製魔力回復10101010×レンツの脈動
71精製風の魔力転換------40×
172精製魔力の木10101010××
29精製魔力譲渡10101010
1468精製風の魔力譲渡----40--
237精製魔力増幅10101010×
30精製武器魔力付与20--20--オッフェンレンツの旗印
198精製結界斬付与20--20--
199精製結界貫通付与--20--20

装備品

主力:遠隔(武器)LvCP攻撃防御精度
『開かれた春』
先込式の大砲。弾は協会による特注品であり軽い。『春をよぶ鍵』でのみ着火できる。
2713710199
スロット1狙い撃ち Lv8 [+2]
スロット2火炎爆発 Lv2 [+3]
スロット3必中 Lv1
補助:補具(防具)LvCP攻撃防御精度
『春をよぶ鍵』
春ごとに束ねられるミモザの花束。火の精霊力を持ち、花弁は灼けるように熱い。
27131805040
スロット1匠の技 Lv1
スロット2ヒールスロット Lv2
スロット3治癒力アップ Lv1 [+1]
防具:軽装(防具)LvCP攻撃防御精度
『春の閉域』
オッフェンレンツ家当主を囲う結界の呪い。指に喰い込む構造をした当主の指輪が媒体。
2713025245
スロット1かばう Lv1 [+1]
スロット2トレジャーハンター Lv1
スロット3風MPアップ Lv1
攻撃力命中力受け
防御力
受け
成功力
防御力回避力
主力1842242566165226
補助0000

同調Lv一覧

霊玉名(武器)同調Lv
火炎付加0.7
火炎爆発2
必中0.5
対空0.2
狙い撃ち3.9
霊玉名(防具)同調Lv
防御力アップ0.2
治癒力アップ1
スタミナアップ0.5
睡眠耐性0.5
風雷耐性0.5
土重耐性0.5
鉄壁0.2
飛行0.4
ヒールスロット1
覚醒1.5
治癒活性0.4
かばう0.2
ブロック0.4
霊玉名(武器・防具)同調Lv
水MPアップ0.2
風MPアップ0.5
土MPアップ0.4
ワクチン生成0.4
硬質化0.2
フィナーレ0.2
トレジャーハンター0.2
匠の技0.5

霊玉名:【青字】同調Lvは上昇可能/【赤字】同調Lvは上限に達している

所持アイテム(23/25)

No種別装備アイテム名価値
1霊玉主1狙い撃ち Lv8 [+2] (武器) (遠隔のみ)800
2霊玉主2火炎爆発 Lv2 [+3] (武器)400
3霊玉主3必中 Lv1 (武器)100
4霊玉補1匠の技 Lv1100
5霊玉補2ヒールスロット Lv2 (防具)200
6霊玉補3治癒力アップ Lv1 [+1] (防具)100
7霊玉防1かばう Lv1 [+1] (防具)100
8霊玉防2トレジャーハンター Lv1100
9霊玉防3風MPアップ Lv1100
10霊玉火炎爆発 Lv1 [+1] (武器)200
11霊玉HP吸収 Lv1 (武器)100
12霊玉ウェポンブレイク Lv1 [+1] (武器) (両手のみ)100
13霊玉狙い撃ち Lv1 (武器) (遠隔のみ)100
14霊玉狙い撃ち Lv1 (武器) (遠隔のみ)100
15霊玉狙い撃ち Lv2 [+1] (武器) (遠隔のみ)200
16霊玉火炎耐性 Lv1 (防具)100
17霊玉土重耐性 Lv1 (防具)100
18霊玉先制 Lv1 (防具)100
19霊玉自爆 Lv1 (防具)100
20霊玉覚醒 Lv2 [+1] (防具)200
21霊玉狂戦士 Lv1 [+1]100
22霊玉ワクチン生成 Lv1100
23素材精霊兵の破片75
サブクエストポイント
精霊兵研究所(ヘルミーネ)190
商人(アルベルト)25
鍛冶師(ボフディン)340

拡張機能

精霊兵契約(ステータス)

所属コミュニティ(4)

【コミュニティ一覧】

C-Noコミュニティ名参加
者数
発言
作成
Link
172
オッフェンレンツ領 ミモザ祭り
10
3
精 製 祈 願
20
281
帰ってきた♽もしやあなたもタコ口になるコミュ
164
889
第17(略)集積層ハイデルベルク支部
104
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